"暮らしのリズム"的できごと

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『居酒屋寄席~師走の会』満員御礼!

2011年12月12日 17時05分15秒 | 主催する催し

 旧十一月十八日。満月から二日過ぎました。夜明けが遅い冬のこの時期、晴れた早朝西の空に輝く月は大きく明るく、とても美しいです。
 今月の満月。土曜日夜の皆既月食は皆さんご覧になりましたでしょうか。雲一つない好条件に恵まれた東京では、街行く人が皆夜空を仰ぎ、神秘的な天体ショウに見入っていました。当たり前のことですが、夜空には毎晩あんなに大きな地球の影があるのですね。

 その月食を前に、恒例の落語会『居酒屋寄席~師走の会』を渋谷の居酒屋ニュー信州で開催しました。今回もたくさんのお客様にお運び頂き、お陰様で満席となりました。皆様、師走のお忙しい中、本当にありがとうございました。
1212kichiharu  今回のご出演は立川志の輔一門、一番弟子の立川志の吉さん(上)と、三番目の弟子、立川志の春さん(下)のお二人でした。
 去る11月21日に落語立川流の家元、立川談志師匠が亡くなりました。想像していた以上に大きなニュースとしてマスコミに取り上げられ、二週間が経過してもなおテレビやラジオ各局では追悼番組として、談志師匠の高座やドキュメンタリー、トークなどを編成し、立川流への注目度も上がっているように感じています。そんな空気の中、立川流の落語会では、お客様の談志師匠に対する追悼の想いと喪失感、登場する弟子、孫弟子からはどんなエピソードが聞けるのかという期待感が、なんとなく支配しているのでは、と思いました。

 そんないつも『居酒屋寄席』とはちょっと違う空気感に包まれた今回、まずは志の春さんが登場。噺は「短命」。才色兼備な伊勢屋の娘に婿入りする男が三人立て続けに死んでしまう。1212taidan そのわけを説く隠居と八五郎のやりとりが可笑しく、艶っぽさもある古典落語。堂々とてどこか飄々とした落ち着きのある志の春さんは、大師匠・談志の師匠、五代目柳家小さんを彷彿とさせるものがある、とはあるお客様のご感想。
 志の吉さん、噺は古典落語の「茶の湯」です。茶道をまったく知らないご隠居と小僧のが、でたらめな作法で茶の湯を行い、周囲を巻き込んでいくドタバタの滑稽噺。青きな粉とムクの皮で立てた液体石鹸のようなお茶を口に含んで、なんとも苦しそうに飲み込む仕草が可笑しいのです。
 続いてはお二人によるトーク。志の吉さんは家元とのエピソードをいくつかご紹介し、立川流新年会くらいでしか家元と会う機会が無かったという志の春さんは、その新年会の裏話を聞かせてくれました。

 落語のあとは、高座を片付けテーブルの用意をして、宴であります。
1212shuen居酒屋ニュー信州のご厚意によるお振舞いのお酒は、山口県岩国の銘酒「獺祭」の純米大吟醸スパークリングです。お二人のご発声で乾杯し、宴はスタート。季節の味覚のお楽しみは、新潟県小出にある晴屋商店自家製の野沢菜漬けと、晩秋の味覚、食用菊の酢の物です。一段と寒さが厳しくなって来たこの頃、季節の味と銘酒に酔いしれ、月食の夜は更けて行きました。

(photos by Minoru Mizuno ありがとうございます)