旧三月二十二日。二十四節気の【立夏】です。
夏の立つがゆえなり。
『暦便覧』(天明八年 /1788年出版)
まさに今日はそんな陽気でした。二十四節気の季節の始まりを表す中で、立春・立秋・立冬と比べて明らかにその季節の到来を感じさせるのが立夏だと思います。5月に入って大型連休に突入した途端、暖かく爽やかな陽気に恵まれました。4月の不安定な陽気が嘘のようです。
個人的な話ではありますが、妻の祖母が数え九十九で他界したため、急遽5月2日朝一番の新幹線に飛び乗り、翌3日の夕方には帰京するという、慌ただしい行程で岩手・北上に行ってきました。
東北新幹線の車窓から望む風景は何度通っても魅力的です。都会から田園風景・山間の農村と旅情をかきたてるストーリーがあります。福島を過ぎた辺りから桜前線に追いついたようです。さらに岩手県に入って一ノ関辺りからソメイヨシノが見頃になってきました。目的地の北上はJRの駅に貼ってあるポスターの通り、東北三大桜の一つ(あと二つは弘前と角館)で、名所の北上川に沿った展勝地はたいへんな賑わいだったようです。のんびり花見というわけにはいきませんでしたが、3日の早朝にカメラを握って実家近くをジョギングした際には妻の母校である中学校の桜が見事に咲き誇っていました。
祖母を埋葬する実家のお墓は、北上川から奥羽山脈を望む小高い丘の斜面にある、曹洞宗の古寺の境内にあります。
その墓地には孤高のしだれ桜が満開を迎えていました。まだ4~50年くらいの樹齢でしょうが、これからますます枝を伸ばし立派になってゆくと思います。樹の下は柔らかく淡い色の草が生え始め、よく見ると、ノカンゾウにわらび、ノビルが群生していました。一気に春がやって来たのだなぁ、と実感させられました。
東北では3月から4月にかけてたいへんに寒さが厳しく、その上日照時間も短かったので、水稲の苗の生育が遅れ少し田植が遅くなるそうす。
義父に言わせれば「焦らず昔の習慣通りに二十四節気【芒種】(6月6日頃)に田植をする方が美味しい米が出来るのだ」とのことです。この天候不順や北半球での大きな火山の爆発などが、さらなる異常気象を招かぬよう祈るばかりです。