"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

ご来場感謝【居酒屋寄席~夏至の会】

2014年06月23日 13時13分27秒 | 主催する催し

 旧五月二十六日。二日前の6月21日は二十四節気の【夏至】でした。

陽熱至極し、また日の長さのいたりなるを以てなり。
         『暦便覧』(天明八年/1788年発行)

  梅雨も後半戦。気温・湿度共に徐々に高くなってゆき、蒸し暑く感じる日が多くなってきました。もう一息の辛抱です。

 まさに夏至の
日に開催となった、【居酒屋寄席~夏至の会】。一杯のご来場ありがとうございました。ご都合悪くお越しになれなかった皆さんは、次の機会にはぜひ。
14_06_23izakayayose  今回は、居酒屋寄席初の三人による会となりました。そして、このところは人気と実力を兼ね備えた若手を中心に企画しておりましたが、今回は立川流の重鎮、大御所の立川龍志師匠にご登場願いました。

 
師匠に先立って高座に上がったのは、談志師匠の没後に龍志師匠の弟子となった泉水亭錦魚さんです。根多は、飄々とした物腰でウィットに富んだ笑いを聞かせる錦魚さんのはまり役といってもいい、したたか者が登場する「夏どろ」。泥棒から逆にお金を巻き上げる痛快な噺です。
 続いては、立川吉幸さん。居酒屋寄席は4回目の出演でお馴染みの存在です。根多は、談志師匠の十八番でもある滑稽噺の「野ざらし」。噺の中にサイサイ節を歌うシーンが出てくるのですが、これが者にとって難しいところ。談志師匠こういうものをしっかり演じるために、弟子に伝統芸能の歌舞音曲を義務づけていました。吉幸さんのサイサイ節は実に見事。いい雰囲気を醸し出していましたね。
 そして、龍志師匠が登場。14_06_23talk大御所が上がると、空気がピーンと引き締まるもの。会場の気が一点に注がれている緊張感は心地良いです。根多は「酢豆腐」。上方では「ちりとてちん」でお馴染みの噺です。知ったかぶりの若旦那に腐った豆腐を食べさせるという痛快な滑稽を、龍志師匠はただただ圧巻の話術とアクションで聞かせてくれました。流石です。
 三席の落語に続いて、三人
によるトークのコーナー。「龍志師匠に聞く」として、入門~修業時代から、真打昇進の貴重な話を聞かせて頂きました。

 落語のあとは、居酒屋寄席ならではの宴です。龍志師匠のご発声で
乾杯。振舞酒は、山口県の銘酒「獺祭 純米大吟醸」です。14_06_23furumai先ずの肴、季節の味覚のお楽しみは、琵琶湖産「天然小あゆの山椒煮」、そして、葉の直径が1.5mにもなる「秋田蕗の煮物」です。いずれも梅雨時ならではの味わい。お酒も進みます。
 三人には、テーブルを回り、お客様との
懇親を深めて頂きました。一年で最も短い夜はあっと言う間に更けて、龍志師匠の手締めでお開き。皆さん、ありがとうございました。


盛夏のごとき旧端午なり

2014年06月02日 17時53分39秒 | 主催する催し

 旧五月五日。旧暦端午の節句です。
 どこを見回しても、鯉のぼりは無く、花屋さんやスーパーに菖蒲の葉は売っていません。和菓子屋さんでは柏餅は姿を消し、陽気に合わせて水菓子が並んでいます。それでも、旧暦の風習が色濃く残る中華街では、粽が盛んに売られていることでしょう。
 端午の節句の風情はすっかり影をひそめても、やっぱり五節句は旧暦でお祝いしたいものです。毎年、この日には浜離宮恩賜14_06_02syoubu庭園に行ってみます。梅雨入り前と、ここ数日の暑さの影響で、満開とはいきませんが、菖蒲が見事に花開いていました。
 今年の暦では少し早い旧端午は、おおむね梅雨の走りの頃に当たります。
気温と湿度が上がって、雑菌が繁殖しやすい頃。菖蒲やよもぎ、柏、笹の葉の殺菌作用を上手に利用していたのでしょう。
 端午の節句については、このblogで昨年の今日にアップしたものもぜひご覧ください。写真は変わりはえしませんが。
 週の半ば頃から西日本で愚図つき始め、いよい
よ梅雨入りも近いようです。時々訪れる、五月晴れの青空に思いを馳せて元気に過ごしましょう。


【猫と落語の宵噺】~町田・鶴川の古民家スペースでやります

2014年05月18日 16時04分28秒 | 主催する催し

 旧四月二十日。初夏らしい心地良い青空が広がっています。5月なので「五月晴れ」と言いたいところですが、本当の意味は旧暦五月の頃、梅雨の合間に見られる有り難い晴れの日のことを言います。
3日後の5月21日水曜日は二十四節気の【小満】。

万物盈満すれば草木枝葉繁る
          『暦便覧』(天明八年/1788年発行)

 「物事が満ち足りる」がごとく、淡かった新緑がしっかりと繁り、強い日差しを遮ってくれるようになりました。

 立川志の春さんによる猫が登場する落語と、イラストレーター/エッセイストの浅生ハルミンさんとのトークでお楽しみ頂くイベント【猫と落語の宵噺】。14_05_18flyer昨年10月と今年2月に渋谷の「光塾」で開催し、お陰様でたくさんのお客様にお運び頂きました。その第3弾の開催が決定しましたので、お知らせします。
 都下、町田市の小田急線鶴川駅にほど近いところに、江戸後期に建てられた小さな古民家のスペース
「可喜庵(かきあん)」があります。今回の舞台は、ここです。この地に根ざす老舗、鈴木工務店の隠居小屋だった家を、8年前にリノベーションし、"暮らしのサロン"として活用されています。「可喜庵」の和室にある4枚の襖絵は、浅生ハルミンさんによるものです。

『温故知新の家づくり

(著:可喜庵の会著/出版:鈴木工務店出版/発売:農山漁村文化協会)のイラストをハルミンさんが手がけたご縁が結ばれて、今回の開催となりました。

14_05_18fusumae 志の春さんは、猫が登場する噺など、落語を二席聞かせてくれます。只今大ヒット中、猫のパラパラブックスシリーズ第5弾

猫のたんじょうび

を青幻社から刊行したばかりのハルミンさんは、襖絵の製作秘話などをお話頂けるそうです。

 落語と、猫のおはなし。縁側でのびのびと猫が昼寝をしていそうな古民家での開催、ぜひお楽しみ下さい。近隣には白洲次郎・正子夫妻の旧邸宅「武相荘(ぶあいそう)」があります。梅雨明けも近い頃、大人の遠足を兼ねて、いかがでしょうか。

【可喜庵で...猫と落語の宵噺(よいはなし)】
出演:立川志の春・浅生ハルミン
2014年7月5日
土曜日
15:00開場・15:30開演

可喜庵
町田市能ヶ谷3-6-22鈴木工務店内
小田急線鶴川駅から世田谷町田線を柿生方面に徒歩8分
3,000円


立川志の春
昭和51年大阪府豊中市生まれ。平成14年立川志の輔に入門。平成23年1月に二つ目昇進を果たす。IVYリーグの名門Yale大学卒業~大手商社勤務という経歴を持ちながら、通りがかりにふと立ち寄って聞いた志の輔の落語に魅せられ入門を決意。醸し出す落ち着いた雰囲気で、古典から創作までをじっくり聞かせる。昨年12月にはCDブック『誰でも笑える英語落語』をリリース。日比谷コンベンションホールで月例独演会を開催している。愛猫トラとタマと暮らす。

浅生ハルミン
三重県生まれ。イラストレーター/エッセイスト。著書に『私は猫ストーカー』(平成21年に映画化)、『猫座の女の生活と意見』、『三時のわたし』などがある。資生堂『花椿』本誌で「美肌歳時記」を連載中。平成24年には初の絵本『キッキとトーちゃん ふねをつくる』を発表した。京都の青幻社から出版した『猫のパラパラブックス(5巻)』がヒット中。三重の実家のキッキちゃんは昨年から天国に。東京の住まいでトーちゃんと暮らす。

14_05_18kanbaji【猫と落語の宵噺】2013年10月23日開催の模様
【猫と落語の宵噺】2014年2月22日開催の模様
2007年9月に【可喜庵】で開催されたハルミンさんのイラスト展の模様

     →オリジナル缶バッジも販売します→


龍志・吉幸・錦魚が登場【居酒屋寄席~夏至の会】やります

2014年05月02日 15時19分30秒 | 主催する催し

 旧四月四日。「八十八夜」です。日本古来の暦日で、立春から数えて88日目となります。昔から茶摘みや苗代の籾撒きの頃とされていますが、気象変動が激しく、深刻な被害をもたらす遅霜の危険と隣り合わせている時期でもあります。その注意喚起として、お目出度く覚えやすい「八十八」をあてはめたのでしょう。春から初夏へ、三日後の5月5日は、二十四節気の【立夏】です。

 恒例の落語会を開催します。【居酒屋寄席~夏至の会】の名の通り、6月21日(土)です。今回は、初めて三人が出演します。そして、このところは若手を中心とした会でしたが、大御所が登場します。
 立川龍志師匠は、
生まれも育ちも向島。生粋の江戸っ子です。高座に上がってひと言発すると、もうその場は瞬時に江戸の空気に。立川吉幸さんは、居酒屋寄席四度目の出演。奇をてらわないオーソドックスなスタイルで力強く古典落語を聞かせてくれます。泉水亭錦魚さんは、龍志師匠にとって初めてとなるお弟子さんです。どこかひょうひょうとした空気感の中、クスリとさせる可笑しが魅力です。
 三者三様、個性が際立つ落語をどうぞお楽しみに。お誘い合わせの上、ぜひお運び下さい。

14_05_02flyer “暮らしのリズム”presents
【居酒屋寄席~夏至の会】
出演:立川龍志、立川吉幸、泉水亭錦魚
日時:平成26年6月21日土曜日
18:30開場 19:00開演
場所:渋谷・居酒屋ニュー信州
渋谷区渋谷3-20-16 (03-3797-6966)
料金:4000円(先ずの一杯と季節の味覚のお楽しみつき)


落語の第一部、酒宴を愉しむ第二部の二部構成となります。
ご入場の際に先ずの一杯をサービスさせていただいた後、酒肴のご注文は第二部(20:45頃)からとなりますので、予めご了承下さい。
龍志師匠・吉幸さん・錦魚さんを交えての酒宴では、季節の肴や銘酒を一品一杯500円でご用意しております。お時間許す限りお付き合い下さい。

14_05_02ryushi_2 立川龍志

昭和23年東京都墨田区向島生まれ。昭和45年立川談志に入門。昭和51年に二つ目に昇進し、金魚家錦魚を名乗る。昭和62年に真打昇進を果たし、龍志となる。平成3年に、国立花形演芸会で金賞を受賞。今や落語会において希少とも言える生粋の江戸っ子。自然な語り口から瞬時に聞き手を噺の世界へと誘う技量は群を抜く。『龍志四季の会』を定期開催中。

『立川龍志公式ウェブサイト』
http://www.toshima.ne.jp/~ryushi/


14_05_02kikkou 立川吉幸

昭和48年千葉県勝浦市生まれ。平成9年二代目快楽亭ブラックに入門。前座名ブラ房を名乗る。平成17年8月立川談幸門下に移り吉幸と改名。平成19年7月に二つ目昇進を果たす。前座時代から果敢に大根多に挑戦し、小気味よい江戸前の語り口に定評がある。「落語野郎☆爆走★一番星~立川吉幸勉強会~」を定期開催中。

『立川吉幸のホームページ』
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=t_kikkou 


14_05_02kingyo 泉水亭錦魚

昭和51年岐阜県揖斐郡生まれ。平成11年立川談志に入門。前座名談吉から談一、千弗と改名。平成19年7月に二つ目昇進を果たし、泉水亭錦魚となる。平成24年4月に立川龍志門下へ。どこか飄々とした物腰から、ウィットに富んだ笑いを聞かせる。月例の独演会を開催中。

『錦魚のブログ お知らせ編』
http://sensuiteikingyo.cocolog-nifty.com/blog/


【居酒屋寄席~立川晴の輔真打昇進記念の会】超満員御礼!

2014年04月21日 16時44分05秒 | 主催する催し

 旧三月二十二日。昨日(4月20日)、二十四節気の【穀雨(こくう)】に入りました。春も残りわずかです。「百穀を潤す春雨」ということで、農業にはとても大事な雨です東京では、金曜日あたりから肌寒く、スッキリしないお天気が続いています。この雨が長引くと「菜種梅雨」ということになります。菜の花や桜の季節は終わり、そろそろ藤の花が色づいてくる頃でしょう。

 4月19日(土)は、“暮らしのリズム”が主催する【居酒屋寄席~志の吉あらため立川晴の輔真打昇進記念の会】でした。ご予約受付け開始からほどなくして満席となり、ご参加を希望されたたくさんの皆様をお断りしなければならない事態となってしまいました。ご要望にお応えできなかった皆様にはお詫びを、お運び頂いた皆様には御礼を申し上げます。

14_04_21shino8  まず、高座に上がったのは、立川志の
さん。居酒屋寄席を始めるきっかけとなった、亡き立川文都師匠の形見である帯を締めての登場です。ネタは、この季節にぴったりの噺「長屋の花見」でした。貧乏長屋の大屋が発声し、長屋一同で上野の山に花見に行くという滑稽噺。酒の代わりに煮出した番茶を薄めたもの、卵焼きとかまぼこは、沢庵と大根のこうこで代用。なんとも楽しそうな江戸っ子のドタバタを、志の八さんは歯切れ良くリズミカルに聞かせてくれました。
14_04_21harenosuke  続いて登場するのが、立川晴のさん。ご本人の希望もあって、しばらくは"師匠"とお呼びするのは控えることにしました(笑)。昨年12月1日に、立川志の輔一門から初の真打として昇進。3月30日には有楽町のよみうりホールで、お披露目の落語会を、4月6日にはホテルニューオータニで700人以上の出席者を迎えて昇進披露パーティを行ったばかりです。落語は人情噺の「薮入り」。奉公している息子が初めての薮入りで実家に帰ってくるというストーリー。気が短くて粗忽な職人気質の父親のふるまいがなんとも可笑しい。こういう噺は、晴の輔さんの手に掛かると、リアルに映像となって蘇ります。それぞれのキャラクターが活き活きしているからでしょう。成長ぶりと、真打としての落ち着きを感じさせる高座でした。

 落語のあとは、お二人で、ちょっとトーク(左上)を。晴の輔さんの真打昇進の舞台裏など、面白すぎるので、14_04_21talkkanpaiここでは触れられません。内容は封印しておきましょう。

 第二部は、お二人を交えての宴です。晴の輔さん、志の八さんの発声で乾杯しスタート(右下)。振舞酒は、山形の銘酒「十四代本丸」(左下)です。そして、居酒屋ニュー信州から季節の味覚のお楽しみ、肴が三品。ようやく雪解けが始まった越後の山から山菜の「こごみ」。福岡の小倉からブランド筍の「合馬(おうま)たけのこ」の煮物。そして、東京農業大学出身の晴の輔さんの昇進披露パーティで、現役応援団とと共に踊った農大名物「大根踊り」。そこで実際に使われた大根を、ちり酢ともみじおろしで漬けた香の物(右上)です。蒲鉾じゃあありません。
14_04_21tejime
 宴の間、お二人は、お客様のテーブルを回って、話に花を咲かせていました。宴もたけなわ、中締めは、皆さんで三本締め。名残惜しい想いが強かったのですが、ここでお開きです。皆様ありがとうございました。


 
次回は6月21日土曜日。【居酒屋寄席~夏至の会】です。出演は、立川流の重鎮、江戸の風を吹かせたらピカイチの、向島生まれ向島育ち。立川龍志師匠。両脇を固めるのは、立川吉幸さんと龍志一門の泉水亭錦魚さんです。近日詳細をアップしますので、お楽しみに。