とのさま不経済新聞 by 雲葉

「よるのとのさま」から改題(2013年2月1日)

いったいどうしろと?

2010年05月17日 | 新聞投書から
  今日の朝日新聞「声」欄から。投書者は横浜市泉区の30歳主婦です。

人命第一に交通安全設備を

  車線が4車線に拡幅され、交通量が増し、トラックもひっきりなしに行き交う近所の県道。近くには小学校もあって、歩道は通学路にもなっているが、横断防止さくなどの安全設備がほとんどない。
  数カ月前に自転車で横断中の女性がトラックにはねられて亡くなる事故もあり、ベビーカーを押して歩道を行き来する私は、一層恐怖を覚えるようになった。重量感のある大型トラックや、スピードを上げて走る車の脇の、ノーガードの歩道を、子どもたちが歩いている。心臓がドキドキするほど恐い光景だ。
  事故前に、現場付近の車道と歩道の間に横断防止さくが設置されたが、ぽつん、ぽつん、という状態。どんどん設置されるものと期待していたのに、事故後もそれ以上設置されることはなかった。
  車の出入りや商品などの搬出入に支障が出るという理由で、設置には商店などの反対があることも設置の進まぬ一因という。民主党政権は「コンクリートより人」と説く。まさに人命第一の交通安全対策を優先してもらいたい。
(引用終)


  結論から書くと、論旨がさっぱり分かりません。横浜市泉区で拡幅された県道というと環状4号か長後街道を思い浮かべますけど、どちらも歩道の幅が狭いという記憶はありません。それに柵はない場所でも段差などでハッキリ区分されています。

  「横断防止さく」という表現も初耳ですし、自転車が交通ルールを無視して事故にあっても、それは本人の責任です。『自転車で横断中の女性がトラックにはねられて亡くなる』ってのも、“事故前”に柵が設置されている場所であることから、横断禁止場所での自転車の無謀横断が原因でしょう。歩行者も「道路は横断歩道を渡る」「渡るときは信号と左右をよく見て」なんて幼稚園でも教わります。ベビーカーに乗ったお子さんは、将来どういう交通安全教育を親御さんから受けるのか、他人事ながら心配になります。

  この投書者は車を持っていないんでしょうかね。持っていたら『車の出入りや商品などの搬出入に支障が出るという理由で、設置には商店などの反対がある』なんて分かりきったことを書けるはずがありません。自宅の前に柵を作られたらどうなるか想像できないのでしょうか。家や店の前が柵で出入りできないなら、交差点などから車が歩道上を通って出入りするしかなくなります。

  あるいは鉄道のような可動柵を設置しろと? 維持費は誰が負担するんでしょう。着脱式にしたら金属盗の恰好の標的でしょうし、コンビニやファミレスは営業になりません。

  「コンクリートより人」というのは「自分は努力せず保護してもらって当たり前」という話ではありません。それとも高速道路無料化などの自動車優遇政策どころか、自動車自体を廃止すべきだという考えなのでしょうか。どうも支持率が続落している政権批判という最後の一文だけで掲載した投書のように思えてなりません。

  話は変わりますけど、今朝方、目蒲線(電鉄の呼称は目黒線)多摩川園駅(同多摩川駅)で乗客が線路に転落したとのこと(東急線運行情報メール7時23分現在、同03分頃発生)。ホームドアがあってなんで落ちるの? カーブ区間があるため車輌とホームの僅かな隙間から落ちたのかもしれませんが、これで「ホームドア設置路線での乗客の転落事故ゼロ」という記録は潰えたわけです。