事業実施想定区域
(赤枠の着色部分、着色部以外は海底ケーブル設置想定範囲)
関西電力(株)=大阪市=は30日、御坊市と印南町沖で仮称・和歌山県沖洋上風力発電事業の検討を始めたと表明。沖合10~30キロに世界最大級となる最大総発電出力100万キロワット(原発1基分に相当、御坊発電所は180万キロワット)の浮体式洋上風力発電設備を設置する計画。今回の表明は実現の可能性を探るスタートラインに立った段階。実現までには地元の理解、法手続きなど課題が多く、その道のりは険しいが、同社関係者は「チャレンジしたい」と話している。
昨年3月に公表した関電グループ「ゼロカーボンロードマップ」で再エネ分野は2040年までに洋上風力を中心に国内で1兆円規模の投資を行い、再エネ新規開発500万キロワット、累計開発900万キロワット規模を実現するとし、今回の計画もこの一環。ドイツ最大の再エネ企業のRWE社の「RWE Renewables Japan」=東京=との共同で進める。
30日に環境影響評価法に基づく計画段階環境配慮書等を経産大臣に提出、県知事に意見を求めた。配慮書等は4日から8月2日まで県庁、御坊市役所、印南町役場で縦覧。関電が配慮書を提出したのは北海道、山形、佐賀に続いて全国4カ所目、関電エリアは初めて。県内では別の事業者が御坊市、日高町、美浜町の沖合で事業を計画しており、関電は2番目。
関電の事業実施想定区域は沖合10~30キロ、水深70~300メートル程度、面積5万8336ヘクタール(うち発電設備設置想定範囲は2万4906ヘクタール)。関電エリアで風況が最も良い地域として選定した。
最大総発電出力は100万キロワットで、発電機は50基から110基程度設置。1基当たりの発電出力は50基なら2万キロワット、110基なら9500キロワット。3枚翼でプロペラの最大高さ(ブレードの先端高さ)は海水面から187~310メートル、ローター長径は164~284メートルを想定している。
今回の表明は、実現の可能性を探るためのスタートラインに立った段階。関電は「今後、地域の皆さまや関係行政機関からご意見を賜り、環境保全に十分配慮し、事業実施の可能性など検討を進めていきたい」とし、同社関係者も「ハードルは高いが、チャレンジしたい」と話している。
地元理解へ「最大限努力」
再エネ法手続きなど課題山積
実現に向け、クリアすべき課題は山積。最も大きいのは地元の理解。想定区域は共同漁業権設定区域外だが、知事許可のまき網漁業、底びき網漁業が操業しており、船舶の航行も多いため、関電関係者は「地元の皆様からご理解が得られるよう最大限努力していきたい」と話す。
再エネ海域利用法の手続きでは、国が指定する準備区域(全国11カ所)有望区域(5カ所)促進区域(8カ所)の段階を踏む必要があるが、和歌山県沖は準備区域にすら指定されていない空白地帯。準備区域指定には、まず国の募集(年1回)に県が情報提供する必要があり、まだその段階には至っていないという。
準備、有望区域と段階を踏んでも促進区域指定には「漁業に支障を及ぼさないことが見込まれること」など6つの基準をクリアする必要がある。さらに促進区域に指定されても事業実施には、国が公募する事業者選定を勝ち抜く必要があり、その道のりは険しい。
環境アセスメント実施に向けては、今回の配慮書に続き、方法書、準備書、評価書の手続きがあり、それぞれの段階で住民や行政から環境保全上の意見を聞き、専門家による審査を受けるため、一般的に調査に入るまで4年程度かかる。
岸本周平知事は今年2月県議会で洋上風力発電について「県でもチャレンジする意味があり、検討を進めていきたい」と前向きな姿勢を示し「事業化を検討する発電事業者の皆さんに地元の理解や関係者との調整等に努めてもらう必要がある。県としても事業者の活動をしっかり後押ししながら一歩一歩進めていくことが重要」と答弁した。
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