「とびやま花しょうぶ園」(写真手前は池)
御坊市野口の「とびやま花しょうぶ園」(浅井了二園長)が、現在地から数百メートル離れた場所に移転し、来年初夏にリニューアルオープンする。県下唯一の花しょうぶ園として県内外の愛好者から人気を集めているが、手狭で場所も分かりづらいなど欠点があり、今より1・7倍の広さがある新しい場所に移転。観賞用4面のほか、品種別区画や池も手づくりするなど創意工夫し、高齢者や車椅子の人でもゆっくり花を愛でられる環境を整えた。
同園は地域の有志で平成24年に設立。休耕田(6アール)を活用した園内には70品種1500株のショウブが植えられ、珍しい品種もある。県下唯一の花しょうぶ園として5月下旬から6月下旬の開花シーズンには京阪神や県内各地から毎年約1000人が訪れ、人気を集めている。今年、コロナ禍で開催できなかった「花しょうぶまつり」を3年ぶりに催し、にぎわった。
現在の場所は入り口や通路の幅が狭い、駐車場がない、場所が分かりづらいなど欠点があり、特に足元の悪い高齢者や車椅子の人らが園内に入れず、車の中から鑑賞するだけという事例もあったため「より多くの人に、ゆっくり花を愛でてほしい」と、現在地から北側(日高川左岸堤防方面)に数百メートル離れた浅井園長の所有地に移転し、リニューアルすることにした。
新しい園は、野口新橋や野口橋東詰から野口オートキャンプ場に向かう市道野口堤防線沿いにあり、降り口を示す看板を設置すればすぐに分かる場所。面積は10アールあり、今より1・7倍広く、8台程度の駐車スペースも確保できる。元々は水田で、専門の人に重機で手を加えてもらったあとは浅井園長を中心に手作業で整備を進め、おおねむ園の形が出来上がっている。
鑑賞用に4面取り、早咲きの品種、遅咲きの品種、人気品種や珍しい品種などに区分けして定植。黄色系を十字に植え、その周りに赤紫や青紫系を配置するなど植え方も工夫した。一花一花をゆっくり愛でたい人のために1メートル四方をブロックで区割りした区画を67つくり、それぞれ異なる品種を4株づつ植えている。奥には約25平方メートルの池もつくり、スイレンを植え、金魚を泳がす予定。ゆくゆくは池に橋をかけたり、東屋の設置も考えている。
近くの育苗所ではメンバーが来年のメインとなる「宇宙の実生」と「鶴の毛衣」も育てている。浅井園長は「いろんな見方、楽しみ方ができるよう創意工夫しながら美しい花を咲かせようと、ボランティア一同頑張っています。入り口や通路の幅も広いため、足元の悪い方、車椅子の方も、ゆっくり花を愛でていただけると思います。来年、リニューアルした花しょうぶ園にぜひお越しください」と話している。
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