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日高川漁協 海産そ上アユ再生プロジェクト 個人や企業の賛同者を募集 〈2020年4月10日〉

2020年04月10日 08時30分00秒 | 記事

日高川に造成した産卵場に放流した養成親魚が産卵


 日高川漁協(大杉達組合長)は、平成23年の紀伊半島大水害以降に河川環境が悪化した日高川の清流を取り戻すためのプロジェクトとして、海産そ上アユを再生する計画に賛同する個人や団体、企業をクラウドファンディングのような形で資金を募集。住民や地域の力を受けて産卵場の造成と海産養成親魚の放流に取り組み、海産そ上アユの増加を通して母なる川「日高川」を以前のような魅力ある川に再生し、地域経済の活性化を目指す。

 日高川の海産そ上アユ(天然アユそ上)は、昭和54年の約1870万匹など昭和50年代半ばまでは1000万匹近い数を記録していたが、平成以降は、平成3年の約630万匹が最高だった。平成10年に過去最低の20万匹まで落ち込んだあとも100万匹に届かない悪況が続いたが、平成23年は459万匹まで復活。しかし同年9月、紀伊半島大水害が発生。翌年の平成24年は前年のわずか16分の1の27万匹に激減した。
 災害後、日高川漁協が天然そ上の復活に向けて本格的に取り組んだのは、川底の泥を取って産卵に適した砂利場の面積を広げる産卵場の整備と、産卵直前の親魚の放流。日の岬周辺の海域で特別さい採捕した県内産の海産稚アユを親魚に養成し、産卵期の10月末から11月に御坊市野口から日高川町小熊地内に整備した産卵場に放流。その成果が顕著に表れ、2018年に405万匹を記録すると、翌年は約660万匹まで飛躍的に増加するなど同手法が天然そ上増加のモデルとして確立した。
 事業実施には、産卵場の造成と海産稚アユから親魚の養成と放流までに1シーズン約500万円、毎年継続するには多額の資金が必要となる。入漁者の減少などで運営が厳しい漁協だけの活動では限界があり、個人や団体から財源の提供と協力を求める「クラウドファンディング」のような形を全国の漁協では初めて採用し、地域の人や団体の支援を受けて事業を将来にわたって継続したい考え。以前のように日高川にアユが戻ることで旅館や民宿、飲食店など日高川周辺の観光業の活性化を目指すもので、成果が現れれば協力者にアユの加工品や入漁券の優待を検討していく。


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