紀州新聞 THE KISYU SIMBUN ONLINE

和歌山県の御坊市と日高郡をカバーする地方紙「紀州新聞」のウェブサイトです。主要記事、バックナンバーなどを紹介。

第34回危険業務従事者叙勲、管内唯一人 有本学氏(元県警部 日高川町)に瑞宝単光章 〈2020年4月12日〉

2020年04月12日 08時30分00秒 | 記事

「すべてのことに誠実に」と当時を振り返る有本氏


 警察官や消防士、自衛官など危険性の高い業務に精励した人に贈られる第34回危険業務従事者叙勲の受章者が決まった。日高地方からは唯一人、警察功労で瑞宝単光章に、日高川町小熊3852の1、元県警部の有本学氏(71)が選ばれた。警察業務に献身的に務め、県民の安心、安全に尽力した。5月に伝達され、その後拝謁する。県下での受章者は30人で、今回を含めて885人となった。

 有本氏は大学卒業後、昭和46年4月に県警察官を拝命。その後、38年の長きにわたり、主に刑事畑で防犯係として「すべての事に誠実に」を胸に、薬物、少年犯罪などの捜査に尽力した。
 振り出しは御坊署で、地域課由良交番、吹井、藤田駐在所で勤務後、巡査部長に昇進し、新宮署で防犯係として4年間経験を積んだ。再び御坊署勤務となり、薬物事犯、少年犯罪、暴力団関係などを担当。御坊広域青少年補導センターにも出向した。警部補になると、湯浅署、最後は田辺署で知能犯係や補導センター出向で、平成21年3月で退職した。
 昭和50年代、御坊署に勤務しているころ。少年の校内暴力事件が多発しており、当時の生徒指導の教諭らと、対応に追われた。少年の補導、場合によっては逮捕するときも、常に「更生」、「立ち直り」を願い、成長途中で経験の少ない少年のために、時には厳しい指導もした。
「覚せい剤の汚染度も高く、常習者も多かった」と当時の悲惨な状況を振り返る。薬物は異常な行動や普段にない力が出るといい、「高いところから飛び降りたあと、100メートルほど走った。その人の足の骨は粉々になっていた」。薬物の怖さを改めて、思い知らされたという。「一旦やるとやめられない。なかなか立ち直れない。どうすればいいのかというのが永遠の課題だった。今では少なくなったと聞いて、多少でも貢献できたかな思う」と眼を細めた。一からリセットして、社会復帰することの大変を痛感し、「当時、補導した少年が立ち直り、立派に子どもを育てていると知ったときはうれしかった」と笑顔を浮かべた。
 現役を退いたあとは、警察相談員を5年務め、その後、和歌山市の更生保護法人「端正会」で、非常勤職員として、犯罪者の更生、薬物使用者の立ち直り支援などに携わり、今年3月に退職した。
 有本氏の話 受章できたのは、先輩、同僚のお陰です。組織には感謝しています。事件には、大勢の人が一生懸命やっている。これからはそういう人達の応援をして、地域に貢献できることがあれば、真面目にやっていきたい。


 その他の主なニュース

御坊市ふるさと納税の寄付者に送付するスターチスのメッセージカード300枚作成

御坊市内小中学校  休校19日まで延長、13日は登校

御坊市 令和元年度ふるさと納税も好調 前年度比2.4倍の約6億円

御坊市 学童保育週明けから午前中は学校側が応援