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仏師・前田昌宏さん(日高町出身)聖地へ普賢菩薩像奉納 〈2018年4月26日〉

2018年04月26日 08時30分00秒 | 記事

普賢菩薩像が釈迦如来像の右隣に備わり、開眼法要

智教さん(左)が導師を務め、清めた写仏を納める昌宏さん


 日高町小浦出身で、京都市右京区在住の仏師・浄土宗僧侶、前田昌宏さん(45)が、聖地インドのビハール州ガヤ区ブッダガヤに建立された仏心寺に、釈迦如来像の両脇に安置する仏像(脇侍)の一方となる普賢菩薩を完成させ、現地で開眼法要を行った。同寺は日本とインドの交流のシンボルで、交流の懸け橋にと前田さんが釈迦如来像を彫り始めて17年間続けた一連の仏像彫刻ボランティアは、両脇時の3体の立派な仏像の姿が現地にそろうことで完了。帰郷した前田さんは「これからが始まり。今後もできることで支援したい」と話した。

 前田さんが仏師を目指したのは、中学2年生のころで、浄土院の薬師如来像が盗まれたことから「自分で仏像を彫る」と心に決めたのがきっかけ。平成11年から仏師として独立して本格的に活動している。
 一方でインドの仏心寺は僧侶や信徒らが「日本人と交流できる寺を」と平成12年に完成。偶然、「インドに仏心寺を建てる会」の理事が京都市の知恩院を訪れていた際、本尊が決まっていないので、ボランティアで仏像を彫ってほしいと依頼されたのが、前田さんのインドへの仏像彫刻の始まり。
 平成15年に釈迦如来像、さらに両脇侍も作ろうと、平成27年に文殊菩薩像を彫り現地へ奉納。今回の普賢菩薩で3体目で、ヒバの木を使い、高さ80センチの座像と、普賢菩薩が座る60センチの白像の台座も完成。3月1日から奉納・開眼法要参列や聖地巡りなどのツアーも組み、インドへ渡った。
 開眼法要は4日に仏心寺で行い、前田さんの父・智教さん(70)=小浦、浄土院住職=が導師を務め、普賢菩薩像に入魂。一般に募って菩薩像が描かれた用紙をペンや筆でなぞった写仏も清めて像内に納め、ブータンやチベットの僧侶も経を唱えた。
 釈迦如来像の隣に、左手には仏具の如意を持ち、姿は色鮮やかに半眼の穏やかな表情の普賢菩薩像が備わった。法要後、地域の子どもたちに呼びかけてカレーを振る舞うと、250人が集まり、同寺の庭がいっぱいになるほどにぎわった。
 智教さんは「浄土院での展示会を見に来てくれた人たちの気持ちも報告させてもらう思いで読経させてもらいました。同寺の理事が導師を務めるのが道理のところを私に頼まれ、携わらせてもらえたことに、感謝です」。
 昌宏さんは「仏心寺はチルドレンスクールを開いたり、宿坊もあり、地域や多くの人々に親しまれている。今回、一緒に昼ご飯を食べ、子どもたちの笑顔が見られて良かった。仏像彫刻ボランティアは終えましたが、拝む対象物がそろったことが始まり。子どもたちには教育が大切で、できることで支援したい」と話した。


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