和食を堪能するタイの観光客
日高町志賀のカフェ「Coast Cafe 楽」=湯川克巳さん(61)経営=は、インバウンドの誘客に乗りだし、3日にタイからの観光客9人が来店して地元産品を使った料理で食事を楽しんだ。日高地方への観光振興に積極的な対策が必要と町内で初めてとなる民泊や、県が推進するサイクリングロードが同店前を通ることからサイクルステーション設置へ注力。今後も日高地方の観光関係者と協力するなどで活動の幅を広げられたらと意気込んでいる。
湯川さんは日高郡6町が各町商工会、日本政策金融公庫、各支援機関と連携して創業希望者に支援する「特定総合支援事業」を受け、地域の居場所を作ろうと、Uターンして自宅の農業用倉庫を改築し、平成29年4月に同店をオープン。カフェ営業とともにヨガ教室開催など取り組んできた。
そんな中、日高地方の観光振興にも取り組もうと、去る2月28日に県民文化会館で行われた県観光プロモーター市場説明会に参加。香港、台湾、韓国、タイ、中国、インドネシア、ベトナムのプロモーターからの説明と個別挨拶で、湯川さんは同店のほか、白崎海洋公園や道成寺、日高町温泉館「海の里」みちしおの湯など日高地方の観光スポットをパワーポイントでまとめて売り込んだ。
この結果、観光ルートの一環で、タイの一行が2日に和歌山市や白浜町での観光を楽しんだ後、3日は田辺市でのイチゴ園を訪れ、同店へ来店して「ブリの照り焼き」や「豆腐とエビしんじょのあんかけ」など和食メニューを堪能。白崎海洋公園での景色を楽しんだ。
同行した観光プロモーターによると、タイ人は桜とともに地元の人が普段から食べるおいしい料理や白崎海洋公園などのような美しい景色も好きで、来県はリピーターとして増えてきており、今回、伊勢神宮など県外もあるが、県内ルートは湯川さんのプレゼンから、旅行者の趣向と合わせて選んだという。
湯川さんは独自に民泊も検討し、タイの観光客に食事前に、活用する日本建築の家屋も紹介。10人程度が泊まれ、ヒノキ風呂も使えるようにしており、許可申請に取りかかって、6月中旬以降に始めたい考え。同店前を通る県道はサイクリングの「湯浅の町並み・白崎海岸コース」の途中に位置していることから、スペースを確保してトイレが利用できるようにし、スポーツサイクル対応空気入れを置くなど県サイクルステーションに登録申請中。通れば、町内で「みちしおの湯」やファミリーマート日高萩原店に次いで3カ所目になる。
世界的旅行ガイドブック「ロンリープラネット」が日本で訪れるべき12の地域を掲載した特集で紀伊半島が定番の東京や京都などと肩を並べるベスト5に選出され、高野山や熊野古道など紀伊半島への来訪も期待できるという。湯川さんは「紀中地域に訪問していただくために、魅力ある取り組みや努力が必要。私の活動は小さいですが、日高川町や印南町で先進的に進められている民泊を日高町でも取り組むことで振興のきっかけになれば。御坊日高博覧会実行委員会のメンバーでもあり、今後も協力できる仲間とともに働きかけて、少しでも輪を広げたい」と話した。
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