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美浜・日高町両町とクヌッセン機関長誕生のまち(デンマーク)が覚書交わす 〈2017年7月12日〉

2017年07月12日 08時30分00秒 | 記事

署名した覚書を手に松本町長、ハンセン市長、
森下市長(左から)と下副知事


 美浜・日高両町は、海の勇者と知られるヨハネス・クヌッセン機関長誕生の地、デンマーク王国フレデリクスハウン市と、友好交流に係る覚書を交わした。日本国とデンマーク王国との外交関係樹立150年、クヌッセン機関長誕生100年の記念すべき年に実現。森下誠史美浜町長、松本秀司日高町長らは2日から8日までの日程でデンマークを訪問して、覚書に署名するとともに次世代への機関長の遺徳伝承、友好親善関係を深めることを誓った。

 デンマーク船エレン・マークス号に乗船していたクヌッセン機関長は、日の岬沖で火災を起こした機帆船「高砂丸」の乗組員を救おうと、悪天候の中、果敢に海に飛び込んで殉難した。命日は2月10日で今年で60年を迎えた。美浜、日高両町や関係機関は機関長の遺徳顕彰会を設立し、毎年、命日に慰霊献花の集いを開き、機関長の遺体と救命艇が発見された日高町田杭区では供養塔と保管庫を建て、定期的に区民が供養を続けている。
 この殉難60年に合わせ、デンマーク訪問を計画し、下宏副知事、美浜町から谷重幸町議会副議長、古屋修教育長、日高町から清水正巳町議会議長、玉井幸吉教育長らも参加。訪問のメーン行事となる覚書署名は現地時間4日に下副知事立ち合いの下、フレデリクスハウン市役所で行い、森下美浜町長、松本日高町長、フレデリクスハウン市のビアデッキ・ハンセン市長の3者が「ヨハネス・クヌッセン機関長の殉職に深い哀悼の意を表するとともに、今日の友好関係が末永く続いていくことを目的とし、有効の礎となったクヌッセン機関長の遺徳について次世代を担う若者に伝承し、現在の友好親善関係をさらに深化させるべく互いに尽力する」「両町と同市の深い友情と尊敬の絆で固く結び、次世代の発展に大きく寄与する一里塚となることを信じて」などとする、日本語と英語で正文化した覚書にサインした。
 一行は、フレデリクスハウン市の機関長の墓に森下、松本両町長が献花して手を合わせ、バングスボー博物館で、機関長のめいと面会。館内には機関長にちなんだ展示を行うコーナーがあり、じっくりと見学した。博物館のスタッフは、機関長の勇気ある海難救助の行動を「デンマークは海に面している。機関長の行動は素晴らしいが、デンマーク人にとっては自然な行動」と一行に説明。幼少期を過ごした家も視察した。
 日高高校と姉妹校提携しているフレデリクスハウン高校を訪問。フレデリクスハウン市長主催の夕食会にも参加するなど歓迎を受けたほか、機関長が殉難の日に乗船していたエレン・マークス号の所属会社・マースクライン社を訪れるなどした。
 地元地方紙は、松本日高町長、森下美浜町長らが機関長の墓に献花する様子を一面トップで報道。フレデリクスハウン市長の案内で、機関長が幼少期に過ごした家などゆかりの場所を巡る様子も、中面見開きの特集記事で大きく紹介した。
 森下町長は「デンマークではみなさんフレンドリーで、とても歓待していただき、充実した時間を持てた。60年前の出来事だが、クヌッセン機関長の縁でこのような交流を持ててうれしい。クヌッセン機関長の偉業とデンマークとの縁は、ふるさと教育でも取り上げ後世にも伝えたい」。
 松本町長は「マースクライン社では田杭区民にただただ尊敬の念しかなく大変ありがたいとのメッセージをいただけ、田杭区民に伝えたい。この機会に覚書署名もでき、大変有意義な訪問で、クヌッセン機関長の崇高な行動や思いを引き継いで未来に生かしたい」と話した。


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