実が腐り畑に落としたミカン
昨年から続く暖冬などの気象の影響で管内のミカン農家が大打撃を受けた。収量減や品質低下は顕著で、農家が悲鳴を上げている。単価のいい生果として出荷できないものは、ジュースなどの加工柑にしたが、最悪の場合は腐って使えず、1年間丹精込めて育ててきた自慢のミカンを断腸の思いで畑に落とすことを余儀なくされた。
日高川町の川辺選果場管内では、温州ミカンは昨年は前年の出荷量より約1割減(約50トン)だった。出荷量見込みよりは約2割減った。半面、収量減で単価は高くなった。由良町の由良選果場管内では、出荷量は前年並みだったが、見込みよりも約2割(約300トン)減るなど、同様の被害がみられた。
この減少量には、やむを得ず畑に落とした分は含まれず、数字以上に被害は大きいとみられる。暖冬や、乾燥と100ミリ以上の雨が繰り返し起こることが原因として挙げられ、それによって皮が浮いたようになる「浮き皮」や、果実が過度に熟して腐りやすくなる「過熟症」などの果皮障害で出荷できない状態になり、落とすしかないミカンが増えたという。
JA紀州営農指導員によると、各農家では選果・選別を徹底するなどの対策をとっているが、品質を見極める時間や労力がかかりすぎて、果実を落とすしかないという。生果での出荷をあきらめ、ジュース用の加工柑として使うものも、保管中に果実が腐り、出荷できないこともあった。ミカンの熟度が早くなっていることから、ハッサクなど晩柑類のシーズンを控え、選果場ではミカンの出荷時期を早めるなどの対応策も検討しているという。同指導員は「全国的な暖冬で今後、晩柑類の果皮の弱り、腐りも懸念される」と話している。
日高川町の60代農家男性は「温州ミカンは早く出荷した分に問題はなかったが、11月は気温が高いなか雨が降ったため果実が傷んで、12月に入って腐敗が出た。ハッサクや伊予柑などの晩柑類についてはいまのところ被害は出ていない。ここ数日の寒さの影響も特にない」、同じく同町の30代農家男性は「せっかく一年間かけて育ててきたミカンがあまり出荷できずに残念。悔しい」という声も聞かれ、農家の悲鳴が後を絶たない。
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