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瀬戸際の暇人

今年も休みがちな予定(汗)

君と一緒に(ルナミ編-その14-)

2010年03月16日 22時02分43秒 | 君と一緒に(ワンピ長編)
前回の続きです。】




「なんだ、すぐ隣がホテルだったのか!」
「うん…地図で見るとその筈なんだけど…果たして入口は何処に在るのやら」

「解り辛いよねェ」と言って、俺に向い、指で場所を示す。
地図で見ると、今歩いてる通りの左わき一直線に並んでる建物は、全部ホテルらしい。
だったらどこから入ってもかまわねーんじゃないかな?俺達そのホテルに泊まる客なんだし。

「…と言って、カフェやレストラン通過して入るのは恥ずかしいじゃないのさ!」

チラリとナミが目を向けた角はきっ茶店らしく、ガラス窓の向うにお茶飲んでるやつらが見えた。
その横はかん板によるとレストランらしい、しかもバイキングの食べ放題だ!

「じゃーどこから入れば良いんだ?地図を見て俺を目的地に連れてくのはナミの役目だからな。ナミの言う通りに進むから、早く案内しろよ!」
「まったく清々しいくらい俺様気質な奴ねェ!…取敢えず、も少し先へ歩いてみましょ。最悪でも1周する頃には、きっと見付かるわよ」

入口を探すのに1周もしなきゃいけないのか、面どーだなァと思ったけど、道を半分位進んだ所でナミの足は止った。
地図を確認して、建物を見上げ、横に立ってたバス停を確認してから、奥へ続く通路をもぐってく。
どうやら入口はここらしい。

「ここがホテル・アームストロングかァ!」
「ホテル・アムステルダムよ!!何その寛ぎの欠片も感じられない名前!?」

うす暗いトンネルの中こだました俺の声をかき消すように、ナミのツッコミが響いた。
思った以上に大きく響いた自分の声が恥ずかしかったんだろう。
慌てて口をふさいで、さっさとトンネルを抜けて行く。
トンネルの終点わきには、サンタ帽をかぶった馬の像が立っていて、見つけたナミは無邪気にはしゃいだ。

「見て見てルフィ、馬サンタ!カワイ~♪写真撮ってよ♪」

俺の了解を待とうともせず、手の平にカメラが乗せられる。
しょーがなくカメラをかまえて、馬サンタに抱きつくナミの前に立った。
お決まり通り、「ハイ、チーズ!」と言ってから、シャッターを押す。
カメラを返す俺の背後に目を向けたナミは、お宝発見でもしたかのごとく、瞳をキラキラ輝かせた。

「後ろ見てルフィ!綺麗な庭園…!」
「おわっ!ホントだ!建物の中に庭が在る!おもしれー!」
「中庭、パティオって言うのよ。こういうのって」

そう言うとナミは、ハートや花の形をした花だんに近付き、観て回る。
赤レンガの外見からは考えられない世界だ。
白いかべで四角く囲われた庭の上には天井が無くて、紫色に染まった空がダイレクトに広がっていた。

「トンネルを抜けたそこは秘密の花園だった。クリスマスに合わせて花壇を主に緑と赤で纏めてあるのが、お洒落よね~♪」

よっぽど庭がお気に召したらしいナミは、チェックインするのも忘れて、しばらく動こうとしなかった。
細かく区切られた花だんの前に座ってはうっとり、中心の小さくて円い噴水の前に座ってはうっとり。
「レディは花が好きだ」ってサンジの言葉を、俺は思い出してあきれてた。
口に出したら怒られるから言わないけど、ナミもレディの一員だったんだなァ。

日が暮れて庭にライトが点くころ、さすがにがまん出来なくなった俺は、ナミの肩を揺さぶってチェックインを急かした。
ぼんやり赤く光る時計が屋根に付いてる建物、そこが玄関になってるらしく、扉の上にはクリスマスリースが飾ってあった。
ガラス扉を手で開けようとしたら自動ドアでビックリする。
けどホテルの中は、もっとビックリだった。

「うっわ!すっげ!神殿みてー!」
「と言うよりローマの聖堂の様な雰囲気、豪華ねー!」

2人そろって想像をはるかに超えるゴージャスさに目を見張った。
ギリシャにパルプンテとか何とか言う神殿が有るだろ?
あんな風に白くて太い柱が、広間を囲んで建ってんだ。
もんのすげー高い天井の一部には、宗教画みてーな絵が描いてあって、ダイヤみたいに輝く重たそーなシャンデリアがぶら下がってた。
でもって玄関の前には2階まで届きそーなほど、でっかいクリスマスツリーが飾ってあって、周りには沢山のプレゼントに熊のぬいぐるみが積まれてた。

「すげーな、こんな高級ホテルに泊まるのか?」
「どうしよう…あんまり豪華過ぎて気後れしちゃうわ」
「けどここに予約入れたんだろ?だったら堂々と泊まりゃーいいじゃん」
「そんな事言ったって、今迄質素な倹約生活送って来た身には眩し過ぎるんだもん。もっとフォーマルな装いで来るべきだったかしら?ドレスコードなんて有ったらどうしよ~!」
「ドレスコード??ひょっとしてドレス着なきゃ泊れねーのか??男も??…意味解んねーけど、歩き廻って疲れたし、早く部屋に案内してもらって休もうぜェ」
「ルフィ、あんたの恐いもの知らずを見込んでお願い!私の代わりにフロントでチェックイン済まして来て――」

玄関前で立ち止まって会話してたのが耳に入ったのか、スーツ姿のホテルマンがニコニコ顔で近付いて来た。
「本日宿泊される予定ですか?」と、ていねいな口調で聞かれ、ナミがカチンコチンに固まったまま「ハイ」と答える。
答えを聞いたホテルマンは、にっこり笑うと右側のフロントへ案内してくれた。

フロント前に立った所で度胸がすわったのか、そこからはナミもスムーズに応対してるように見えた。
一通り説明を受けてる間、俺は後ろのイスに座って待つ事にする。

広いロビーの中央には2列に並んだテーブルセット。
俺達と同じくチェックインを待ってるのか、とっくに済ませてあるのか、そこには客が数人座ってくつろいでいた。

ぼーっと観察してた俺をナミが呼ぶ、説明が終り、部屋へ案内してくれるらしい。
ホテルの女…ホテルウーマンか?…を先頭に、階段上ってエレベーターの有る方へ向う。
エレベーターの前でチョロチョロ水が流れる音が聞こえ、見たら中心に向って水が落ちてく妙な銅像が置いてあった。
何だありゃ??と不思議に思ったと同時にエレベーターが閉まり、聞くタイミングを失っちまった。
手洗い用だろうか?外から帰って来たら手を洗えって意味で置いてあるのかも。
新型インフルエンザが流行ってるって言うしな。

1番上の階で俺達を降ろすと、女はまた先頭に立って歩いてった。

「…なんかさっきから良いにおいがしねェ?」

クンクンと鼻を鳴らしながらつぶやく。

「ポプリの香りを立ち込ませてるみたいよ。さっきエレベーターの前で、皿に入ってるポプリを見付けたし」
「ポプリィ??」
「乾燥させた花弁や果物の皮なんかを混ぜて作る香りの事!」
「へー、そんなもんが有んのかー」

案内役の女が振り返り、俺とナミが言い合う様子を、おかしそうに眺める。
ニコニコ笑いながら、どこから来たのかーとか、今日はどこを廻って来たのかーとか、たずねられた。
質問に答える途中で幼なじみだという事を知った女は、「どうりで仲が宜しいと思った!」と、合点がいったような笑顔を見せた。

「会話の全てが阿吽の呼吸、まるで長く連れ添った夫婦の様だなァなんてv」

女の言葉を聞いたナミが、俺の顔をチラリ見た後、顔を真っ赤にして下を向く。
俺も急に気恥ずかしさを感じて、窓の向うへ視線をそらした。
じゅうたんがしいてある長い長い廊下の片側には、窓がズラズラズララ~っと、奥へ見えなくなるまで続いてる。
窓から見下ろしたそこには、さっき見た中庭が有った。
上から見ると花だんがハートや花の形してるのが一目りょーぜんだ。
隣を歩いてるナミの肩を突いて教えてやると、俺と同様にガラスが白くくもるまで顔をくっ付けてのぞいた。

子供のころ、座席に並んでひざをついて、電車の窓から景色を眺めたっけ。
こーゆー時に見る顔は昔のまま、ちゃんとつながってるようで安心する。

案内役の女が急かさないのを良い事に、俺達はただでさえ長い廊下を、美術館でも廻るみたいに時間をかけて歩いた。






…写真は話に出したホテル・アムステルダムの中庭、隠れた花のスポットです。
春~初夏は特に華やかで綺麗v

すっかりほのぼのラブコメモードですが(汗)、これは自分の中のルナミに対するイメージが、ほのぼのだからと思われ。
んで話の続きは(書ければ)明日に上げます。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ドキドキしてます (四条)
2010-03-17 00:44:09
お話を読んで改めてホテルアムステルダムの中庭、ロビーの様子を思い出したりしました^^。

そして、もうすぐルナミでお泊りですね。ドキドキしてます♪
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ようやく、 (びょり)
2010-03-17 22:50:45
お泊りの旅っぽくなって来ました。(笑)
頭の中で割り振った感じだと後5話くらいかなと。
…ルナミ編が終ったら、今度はゾロナミ編、サンナミ編…と続くんですが。(汗)
先は長いですが、宜しければお付き合い下さい。

コメント有難う御座いました~♪
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