千の天使がバスケットボールする

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「FACTA」まもなく創刊

2006-02-22 23:36:31 | Nonsense
「日はまた昇る」のだろうか。
英経済誌「エコノミスト」の名編集長であるビル・エモット氏の少子高齢化が進んでも高成長は可能で、格差は逆に縮小すると大胆に我が国の未来を予測したこの著書がすでに12万部も売れているという。”日”に”日出る国”をかけたタイトルもさえているが、やはりバブル絶頂期の数年前に、日本経済の凋落を予言した「日はまた沈む」は、その業績が輝かしい。

今年の表紙は夕暮れを見つめるキング・コングと美女というジョークの表紙で、旧メディアの優位性を説いた英国の「エコノミスト」。その編集長は、社内外からの公募で選ぶしきたりがあり、エモット氏も立候補して面接を繰り返して多くの候補者から選抜された。その決め手になったのが、「日はまた沈む」だったという。1843年の創刊以来、「エコノミスト」は英国らしい良き伝統のもと、優れた世界経済分析をひろげている。
「The Economist」の先見性を鑑として、”産直”報道を命とするオンリーワンの経済総合誌「FACTA」が、まもなく創刊される。編集長は、「選択」から独立した編集長である阿部重夫氏である。編集長が変わったのは、こういうことだったのかと納得する。そこで見本誌を早速取り寄せて、読んでみた。

「エコノミスト」誌が教授クラスのライターを無署名で投稿しているのにならい、やはりライターの知名度に依存しないよう無署名方式で書かせるとのこと。また100ページ程度で、コンテンツの5割は経済記事、1本につきすべて2ページにまとめる。記事のターゲットは練られた焦点にしぼられていて、知識人としてこの1冊で先見性を養えると思われる。ただ、如何せん300万人の情報誌とうたっている「選択」と重なる部分が多い。こうしたグルメやデジタル機器ではない情報誌を手にとる読者層は限られている。「選択」のライバル誌になるのか、それとも新規開拓と裾野をひろげられる先見性とジャーナリズムを喧伝できるのか、4月20日の創刊を見守りたい。

見本誌で巻頭を飾る外交ジャーナリストの手嶋龍一氏が編集長との対談で、「インテリジェンス」について語っているのが、なかなか含蓄深いのである。

「大文字で始まるインテリジェンス、これは知の神である。さかしらな人間の知恵を離れ、神の高みまで飛翔し、人間界を見下ろして事態の本質をとられるのが、インテリジェンス・サービス。
知性によって彫琢した情報こそが、我々がインテリジェンスと呼ぶものの本質だ。」

私は、限られた時間での情報収集は厳選したごく少数に徹するというタイプである。おびたたしい情報の洪水よりも、自分の感性と嗅覚を信じたい。「選択」と後発「FACTA」の比較を楽しみたいが、無署名の執筆者というのも結局しぼられていくから大差がないのでは、とも考えている。
少年ジャンプとマガジンの両方を読みたいというようなわけには、いかないだろう。

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