ジジババのたわごと

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牛・豚は食べて良い クジラはだめ?

2018年12月28日 | Weblog
欧米では生の魚を食べる習慣がなかったが、日本食ブームによって健康で美味しいことが広まって、外国人の寿司人気が急上昇している。
日本ハムのレアード選手は寿司ポーズがトレードマークだ。

日本でも、昔は食べなかった世界各国の様々な食べ物が出回っている。
濃淡はあれ他の国も同様に食生活が拡大している。

「自分は食べない、だからお前も食べるな」と強要するのは許されるのか。



インドではヒンドゥー教が、「牛は聖なる動物だから牛肉を食べてはならない」としている。
イスラム圏ではブタを食べることを禁じている。間接的に豚の成分が使われても不浄のものと見なされてダメなのだ。




オーストラリアでは、野生のカンガルーを食肉とかペット用に販売している。数100万頭も年間に捕獲しているという。
イギリスではウサギを食べている。食用ウサギが飼育され、輸入もしている。スーパーの商品棚にも陳列されレシピも豊富である。

ほかにもサルや犬を食べるところもある。
霜降り牛とかフォアグラは、不健康な肉だという見方がある。

だからといって外部のものが、それはおかしいとか間違っているとか言うべきことではない
食文化は国や地域の歴史そのものである。伝統があり特殊性があり宗教とも密接に結びついている。

仮定の話として、イスラムの主張が支配的になって「ブタを食べるのはけしからん」と言われたら、ブタを食べている人たちはどう反発するだろうか?
そんな可愛いウサギやカンガルーを食用にしているなんて残酷だと非難したら?
国連などで、食用にすることを禁止せよと主張し、他の国にも強制しようとしたらどうだろう?


一つだけ許されるのは、その動物が絶滅の恐れがある場合だ。
乱獲を防ぎ持続的な生態系を保つために、国際的な管理のもとで枠組みを定めることが有効である。


いま関心を呼んでいるのがクジラである。
ジジが小・中学生のころは、魚屋で日常的にクジラ肉を売っていた記憶がある。
それが大人になってから次第に姿を消した。
代わりにマグロが日常的に見られるようになった。
マグロはいま、スーパーの魚コーナーで中心的存在である。

クジラの捕獲については、国際的に複雑な経過をたどってきた。
当初は、クジラの頭数が減っているので、「保護と秩序ある利用」を目的としてIWC(国際捕鯨委員会)が設立された。
やがて、商業捕鯨が原則禁止され、日本は調査捕鯨という名目で捕鯨を行うようになった。


2014年にはオーストラリアが「日本の調査捕鯨は事実上の商業捕鯨であり国際条約に違反している」として日本を提訴した。
日本はザトウクジラやナガスクジラなど大型鯨類に顕著な回復傾向がみられ、鯨が絶滅の危機にないと主張した。
国際司法裁判所は「日本の調査捕鯨は科学的ではない」という判決を下した。

日本が科学的な調査に本腰でなく、調査捕鯨の名のもと頭数確保を主眼にしてきた実態を突かれた恰好になった。

今年9月のIWC総会で日本は、資源量が豊富なクジラの商業捕鯨を再開するよう提案したが、反対多数で否決された。

近年のIWCは動物愛護の主張が勢いを増して、いかなる場合でも捕鯨も認めないという国が大勢を占めるようになった。
クジラはとても知能の高い特別な動物だから、それを殺すのは殺人と同じだ!
たとえクジラ資源が豊富にあって持続可能でも捕鯨に反対する」と。

しかしそれを言いいだしたら次元が違う議論になる。
「カラスは極めて知能が高い。しかるにカラスを殺すのはいけない」と言ったら、どう反論するだろか。
野生ならダメで、飼育した動物なら殺してよいというのも屁理屈だ。


日本政府はIWCから脱退することを正式に表明した。
「IWCは発展的討議が出来ないので脱退することとした。来年から商業捕鯨を再開する」と不満を述べた。
「捕鯨は日本の伝統文化に基づくもので、そもそも何を食べていいか悪いかを外国人に指図されるいわれはない」という日本政府の主張は独善ではない。


さて、脱退までの政治家の係わりが取りざたされているようだが、脱退決定を受けて、「脱退によるマイナス面のほうが大きい」という意見が少なくない。
先の大戦のとき孤立を深めた「国際連盟脱退」を想起させるという深刻な見方さえある。
IWCの中にとどまって、文化、歴史、伝統の維持などに日本の主張を貫いていく方が賢明だろう。
マグロの規制に悪影響がでなければよいのだが…!

産業としての捕鯨はこれからますます厳しい状況になる。日本の鯨肉の消費量も減少の一途という予想だ。

ところで、優柔不断な日本政府が、米国と違う路線をここまで態度を鮮明にしたのは珍しいことだ。
国際的な委員会から離脱したという実績は、マイナス面ばかりでないかもしれない。


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