ジジババのたわごと

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ごまかせなくなった原発 

2018年12月22日 | Weblog
「原発の発電コストが高い」ことは誤魔化しようがなくなった。
原発のコストを安く見せようと細工して国民の目をくらましてきたが、次々に現実が突きつけられている。

政府が主導して原発の輸出を進めてきたが、軒並み建設断念に追い込まれている。
コストがかかりすぎることが原因だ。
原発輸出計画の断念が何よりも明瞭に語っている。

三菱重工業と政府が進めてきたトルコへの原発4基の建設は、建設費や事業費が当初の2倍の5兆円となり、電気料金の引き上げが避けられなくなった。


英国では、日立製作所の子会社が原発2基を建設 するが、当初の1・5倍の3兆円に膨らむ。
電気料金を引き上げなければ採算割れに陥る。
しかしトルコ、英国とも電力買い取り価格の引き上げに強く抵抗している。


資金調達も難航している。事業の採算性が疑問視されているのだ。
ひとたび事故が発生時すると巨額な賠償が想定されるため、出資企業は及び腰になっている。
米国の子会社が原発事業で失敗したことによって、経営危機に陥った東芝の前例もある。

これを打開するために、日本政府は融資に対して債務保証をするとした
一民間企業が事故などで損失を出したら、巨額な損失を国民が補てんするという不明朗な措置なのだが…それでも資金が集まらなかった
リスクが大きすぎて手を引かざるをえないというわけだ。
日立が英国の原発建設から撤退する場合、2700億円の損失が発生するという。

安倍政権が成長戦略の目玉にしていた原発輸出政策は全て暗礁に乗り上げたと言える。
ベトナム、リトアニア、台湾でも計画の見直しが相次いだ。


さて、人類史に残る福島第一原発事故を起こし、その原因や経過が十分に解明されていない中で、海外に原発を売ることに首をかしげる人も少なくない。
それを抜きにしても、そもそも、原発輸出によって経済成長を目指すという政策自体がもはや成り立たなくなっている
割高とされてきた「風力発電」、「太陽光発電」のコストは目覚ましく下がって、原発よりも安い発電単価になっている。

原発のコスト計算には様々なカラクリがあると指摘されてきた
原発に付随する隠れた経費や補助金がコスト計算に入らないようにして、原発の発電コストが安くなるようにしている。
それなのに、これらの費用を電気料金に紛れ込ませて徴収している。
原発にまったく関係ない「再生可能エネルギー」の料金にも原発の費用分が上乗せされている。


日本はひと時、太陽光発電で世界の先端を走っていた。
だが、原発の再稼働に固執している間に中国に完全に逆転されてしまった
福島原発事故のあと中国政府は、再エネへ舵を切り国内産業を後押した。
太陽光のパネルだけでなく発電所のインフラを丸ごと輸出するまでになっている。
いまやドイツなど欧州勢と肩を並べて世界の先端を走っている。



ところで、原発輸出とは別の動きもあった。
日本とフランスが共同研究するために建設する予定だった「高速炉アストリッド」をフランス政府が中止すると発表した
日本政府は核燃料サイクルを保ち、プルトニウムを減らすことにも使えるという一応の建前で、もんじゅ廃炉に代わる高速炉と位置づけていた。

日本の原子力政策は総崩れと言ってよかろう。
喫緊の課題は、原子力発電や関連事業に向けてきた資金を、再生可能エネルギーの研究や産業育成などに注いで加速し、世界の先端に追い付くことである


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