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そこは完全な杭上というより作業場が海に張り出している感じだ。
人気のない集落だが、歩いてみる。
小さな祠がある。漢字が書いてある。
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何か薄い煎餅のようなものを干している。
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戻ってレストランに入って昼食の後、土産物屋を廻ると、
魚の干物の多さに驚いた。
大小の魚の開きや小エビ、スルメの束も売っている。
魚の干物は日本特産だと思っていたら、こちらの方が遥かに種類が多い。
干してあった大きな煎餅も売っている。
かって食べてみるとエビセンの味だ。おいしい。
帰国してからいろいろ本を読んで知ったのだが、
かってオラン・ラウト(海の人、ちなみにオラン・ウータンは森の人)
と呼ばれる海の民が、このあたりに住み、漁業を営んでいた。
そこに福建漁民が進出して、どんどん拡大して行き、今に至っている。
マングローブを切り開いて、
日本に輸出するための海老の養殖をしているのもこの人々だ。
資金は華僑資本。
マレーシアの発展を支えているのは、進取の気性に富んだ華僑資本らしい。
もう一つ、家船(えぶね)をご存知だろうか。
舟を住処として、漁業をしている人々。
私の子供時代までは瀬戸内海に残っていた。
家船による漁業は済州島から南中国、東南アジアまで広がっている。
日本はその分布の北のはずれだ。
南中国では蛋民と呼ばれもう風前の灯だ。
去年だったかNHKテレビで
ミャンマーの沿岸に住む漁民モーケン族の生活を放送した。
「黄色い葉の精霊」という本の中に出てくる家船で暮らす人々だ。
それを取材したのだからすごい。
素もぐりを中心にして魚をとり、陸に上がって干物を作りそれを売る。
ナマコも捕っている。
近代的な漁船団が進出して、彼らの活動の場が狭まっているという。
日本の干物は東南アジアから極東に広がる漁業の、
北のはずれに近い産物なのだ。 続く
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