【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

ジーン・ケリー/スタンリー・ドーネン監督「踊る大紐育(On The Town)」(アメリカ,1949年)

2018-05-18 21:25:08 | 映画


アメリカ,あるいはアメリカ人の良い面での明るさが全編に横溢したミュージカル,ダンス映画の傑作である。「雨に唄えば」(Singin’ in The Rain)(アメリカ,1952)に先だって作られた完成度の高い作品である。

 水兵の三人,ゲイビー(ジーン・ケリー),チップ(フランク・シナトラ),オジー(ジュールズ・マンシン)はニューヨークで二四時間の休暇をもらい観光に出掛けつつ,それぞれが三人の女性,アイビィ・スミス(ヴェラ・エレン),ヒルディ(ベティ・ギャレット),クレア(アン・ミラー)と恋に落ちるという設定である。主人公ゲイブが地下鉄のポスターで見つけた「今月のミス地下鉄」とどのような愛を展開させていくのかが物語の骨子で,チップとオジーは相手の女性陣におしまくられながらも愛の花を咲かせる。そして,もうひとつ。オジーが博物館で恐竜の模型を壊したかどで,警察に追われる話しが絡んでいて,最後まで追跡がつきまとう。時刻の進行が,テロップで流れ,これも一興である。

 ゲイビーは地下鉄でアイビィに逢ったが,すぐに見失ってしまった。水兵三人は協力して彼女を懸命に捜すが,見つからない。この間,チップはタクシー運転手ヒルディに捕まり,オジーは博物館で女性人類学者のクレアを見初めた。ゲイブはダンス練習所で漸くアイビィを探し当て,夜八時半にエンパイア・ステート・ビルで逢う約束をとりつけた。他の二組のカップルもここで合流。その勢いで街の飲み屋に行くが,アイビィは踊り小屋での夜の仕事があって,ゲイビーに黙ってこっそりと途中退席。ゲイビーは慌てた。ゲイビーはあまり器量のよくないルーシーというヒルディのルーム・メートをあてがわれ,彼の愛の末路は危うくなるが,漸くコニー・アイランド遊園地の舞台でアイビィと再会。警官に見つかり再び,追われたが難局をきりぬけ,三つのカップルは幸せな結末を向かえた。

 ニューヨークの波止場,午前5時50分。太った港湾労働者がバリトンで I Feel Like I'm Not Out of Bed Yet 唄って出勤。そして六時。水兵たちが一斉に上陸。主人公三人の「ニューヨーク,ニューヨーク」の歌がここではじまる。以後,全編,物語展開の要所に多くの歌と踊りが挿入され,楽しい。アイビィが男の子たちを相手に,六つのスタイルに早替わりして,自己紹介しながら踊る場面は出色,衣装と背景との色の調和も見事というほかはない。クレアが自然博物館で踊る Prehistoric Man,ヒルディがチップを口説く場面での Come Up to My Place,ゲイビーがバレエ教室でアイビィに故郷の町を紹介する時に歌う Main Street,エンパイア・ステイト・ビルディングの頂上で六人が歌い踊るOn The Townは,いずれも見ごたえがある。

 ラストシーンでは,港湾労働者が歌いながら再登場,水兵たちが艦に戻ると代わって別のグループの水兵たちが上陸して来るという場面設定の着想は工夫されている。