ジェラルディン・ブルックの『古書の来歴』を読みました。
シドニーに住む古書鑑定家のハンナの元に、伝説の古書『サラエボ・ハガダー』の鑑定の依頼が来ました。第二次世界大戦の時に、サラエボに侵攻して来たドイツ軍に奪われる寸前に、当時の博物館長が命懸けで隠したという、伝説の一冊です。ボスニアは内戦中とあって、国連軍の監視下で与えられた期間は1週間、ハンナはこの鑑定を引き受けて、サラエボに飛びました。
ハガダーはユダヤ教の過越の祭りに使用される本で、通常は文章中心で書かれています。この「サラエボ・ハガダー」は各ページに美しい絵が描かれており、そちらの価値も非常に高い作品でした。ハンナの鑑定作業をベースに、物語は、この稀有な書籍がどのようにして焚書の時代や宗教的迫害から逃れて来たのか、そしていつ、どのように作られたのかを丁寧に追って行きます。ミステリーというよりはドキュメンタリーのような風合いの作品です。
ずっと以前から気になっていた作品でした。これはこれでとても面白く読めました。羊皮紙って触った事がないのですが、どんな感じなのでしょう?
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