日常のあれこれをそこはなとなく

料理、わんことの日々、海外ミステリを中心とした読書、ソフトバンクホークス、JAZZなどを書いていきます。

本当はエロかった昔の日本

2018-06-14 05:01:35 | 読書
大塚ひかりさんの『本当はエロかった昔の日本』を読みました。



この本は、日本の古典文学のエロネタを集めて紹介した本です。ただ、エロ集めをしただけでなく、その背後にある当時の日本社会の性愛に関する認識をしっかり検証しています。日本の文学、特に散文は、先行文学である中国の文学の影響を受けて書かれて行きました。さらに仏教も入ってきて、日本社会に多大な影響を及ぼします。そんな中で日本人の性愛感がどう変化していくのか、様々な文献から紐解いて行きます。大変な労作です。ネタ本というよりは、学術寄りの本と言っていいと思います。

この本を読んで考えた事を書いておきます。近世に出版が盛んになるまで日本文学は、写本によって流布していました。文学作品を受容できうる層が、ごく一部の上流階級に限られていました。当然作者もそこを意識して作品を書きますから、言ってみれば大学の文学サークル内の同人誌みたいな側面があったという事です。例えば平中物語などは、平貞文が主人公とされていますが、当時宮中で有名になった色恋事件が作品に反映されていることは十分にあったと思います。作品を読んだ人は、ああ、あれねという内輪受けをしていたのだと思います。

大塚さんには、さらに古典文学で新たな地平を切り開いて欲しいと思いました。
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