黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『さすらう者たち』イーユン・リー(河出書房新社)

2010-04-02 | 読了本(小説、エッセイ等)
1979年3月21日。その言動から反革命分子として捕らえられ処刑されることになった女性・顧珊。
その父である顧師は、文盲の女性たちに勉強を教えていたが、そんな自分の人生を悔いていた。
河北省にある母方の祖父母の村で育てられた少年・童は、小学校に入る年になったので、半年前に両親の暮らす渾江へとやってきた。村から付いてきた犬の<耳>を可愛がっている。
拾った子供たちを育ててきた、華じいさんと華ばあさん。
女の子ばかり4人の妹が生まれている両親の元に生まれた12歳の少女・妮妮。胎内にいた時に母が受けた暴力がきっかけで、障害を負った彼女は、家では家政婦同様に使われている。そんな彼女は自分に優しくしてくれる、顧師夫妻の子供になりたいと願っていた。
国内初のパイロットだった亡父のおかげで祖母とともに暮らしていた裕福な家の青年・陸八十。女性に、そして少女に異常なまでに興味を抱いている。そんな彼は、処刑された死体を埋葬する男・昆に仕事を手伝うことを申し出る。
珊のかつての同級生であるアナウンサー・呉凱は、市政府でも指折りの大物夫婦の一人息子・寒と結婚し、明明という子供を授かり、幸せを手に入れていたが、やがて凱は、珊の名誉回復の為の運動をひそかに計画する……

亡くなった女性活動家の死を発端とし起こる悲劇の顛末。
群像劇的に、さまざまな人によってそれぞれに語られ、登場人物が交わったりしています。
実話を元にしているとか。
前作とはまただいぶ雰囲気の違う作品ですが、読み進めると妙にひきつけられる感じですね~。

<10/4/1,2>