黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『土井徹先生の診療事件簿』五十嵐貴久(幻冬舎)

2009-12-29 | 読了本(小説、エッセイ等)
殉職警官を父に持つ立花令子は、東大卒ながらのんびりした性格が災いし、就職戦線に乗り遅れてしまう。母の勧めで公務員試験を受験。他の省庁を受けたが落ちてしまい、警察庁に入庁することに。
父が伝説の刑事だったことから、南武蔵野署の副署長に任命されるも、危険から遠ざけられ、毎日暇な日々を過ごしている。
そんなある日、署長・佐久間から、小山田伝一郎という警察OBのノイローゼ気味の老人が、自分を殺そうとしている人間がいると訴えており、その相談に乗って欲しいと頼まれる。
話を聞くため、鳥井刑事とともに小山田家に出かけた令子は、そこで小山田家の飼犬・ダックスフントのトムを診察にやってきた、初老の獣医・土井徹と孫娘の桃子に出会う。桃子曰く、動物とはなせるという先生は、令子に犬が“語った”、ある事実を告げる……『老人と犬』、
署長が電話で不審な会話をしているのを聞いた令子。その後、自分のデスクを何者かが漁った形跡を感じ、状況から犯人は署長ではないかと疑う令子。
そんな彼女に先生は……『奇妙な痕跡』、
先生たちと井の頭公園でおでんを食べようとしている令子の元に、殺人事件発生の報が届いた。
現場は、折りしもすぐ近くのローレルスクエア・タワーというマンション901号室。
令子が、現場に駆けつけるとすでに犯人は捕まえたという。
殺害されたのはローン会社を経営する佳山。風邪で休んでいるところに窃盗の常習犯である、野々山貞三という男が押し入り、そこを大森というバイク便の男が取り押さえたという。野々山は、部屋でカエルの声を聞いたと証言しているが、水槽はあるものの、その姿はなく……『かえるのうたが、きこえてくるよ』、
吉祥寺の名物屋敷のひとつ、猫屋敷…何十匹もの猫を飼っている…の問題に関わることになった令子。
家主は老婆で大伴美佐江。ひきこもりの孫・正人と暮らしているという。特に一週間ほど、猫の夜鳴きと臭いがひどいというのだ。
美佐江はガン告知を受けており、甥夫婦の娘・松前佳美が面倒を見ているのだが、彼女からの依頼で様子を見に行った令子は……『笑う猫』、
社交的な母の友人である川越夫人から相談を受けた令子。
夫の仕事の関係で、転勤してきたという一家には、中一の息子・良雄と幼稚園の娘・友香の2人の子どもがいる。
夫人は、子供部屋の天袋に隠されていた成人雑誌を発見、良雄が、万引きしているのではないかというのだった……『おそるべき子供たち』、
その立場故に、署内の人間となかなか親しくなれない令子が、唯一友人と呼べるのは、鑑識係に所属する警察犬の訓練士・竹内冬子。
そんな彼女から訓練所の石鹸がたびたび盗まれている件について相談を受けた。ホームレスの仕業ではないかと疑う彼女に、先生は……『トゥルーカラー』、
父のかつての後輩だが、交番勤務にこだわり、とどまり続けた近藤巡査。
昔から令子の家に出入りし、近藤のおじさんと慕っていた彼が、何者かに殺害された。関西の暴力団・砥川組の先鋒部隊のひとりである大蔵尚也という男が、拳銃を奪うために襲ったと名乗り出たが、その話をきいた先生は、大蔵の発言に気になることがあるという……『警官殺し』の7編収録の連作短編集。

亡き父が優秀な刑事だった所為で、分不相応な役職に置かれてしまった令子と、動物の行動からいろんな事柄を読み解くことができる獣医の土井先生が関わる事件のお話。ミステリ。
謎を解いてしまう土井先生は素敵なのですが、それゆえに令子の不甲斐なさが目立ってる感じ…警察の副署長なのにそれでいいのか!とツッコミたくなります(笑)。
まだ続きそうな気配もあるので、今後の活躍に期待、かな?
……表紙が、各話のネタバレになってます(笑)。

<09/12/29>