昨年、中国が自国の人工衛星を衛星軌道上でミサイルにより破壊。これによって衛星軌道上に大量の「スペース・デブリ」(ゴミ)が残されたことで、今後の宇宙開発に大きな懸念を残すことになりました。このブログでも紹介しましたけれど・・・今見てみると、プラネテスのことについて言及していないですね。追記しておきます・・・当時、中国は世界中から非難を浴びました。
まず最初に断っておきますが、今回のアメリカの行動について、私は現時点において肯定的です。衛星軌道から数トンの物体が地上に落下し、且つ有害な化学物質をまき散らす可能性があるとき、地上の人間がとれる手段というのは非常に限られています。落下してくる地表近く・・・十分に加速され、摩擦熱で高温になっている状態では何も出来ませんし、衛星軌道上で破壊するなら中国のケース同様、大量のスペース・デブリをまき散らす要因になります。
ならば、今回アメリカが採った、「成層圏ギリギリで破壊し、破片を大気圏で燃え尽きさせる」という手段は、限りなくベストに近いものだったのではないでしょうか。
ワシントン(CNN) 米国防総省は20日、制御不可能となり、地球に落下、衝突する恐れがあった米軍事用スパイ衛星を同日の東部時間午後10時半(日本時間21日午後12時半)ごろ、海上配備型迎撃ミサイルSM3で約247キロ上空で撃墜したと発表した。
ハワイ西方の太平洋上でイージス艦「レイクエリー」からミサイルを同10時26分ごろ発射、衛星が大気圏に突入寸前の軌道で撃墜に成功したとしている。
ミサイル防衛システムを使ったことで、中国やロシアからは批判もされていますけれど・・・この「実験」は大きな意味を持つと思うのです。と良いますのは、今後、世界中のどこ国もこの様な事態、つまり「加害者」になる可能性があるからです。
「衛星軌道上から、(A)の人工衛星が(B)の都市部に落ち、多数の死傷者と物的被害が出た。」
今回は(A)の部分にはアメリカが入ります。もちろん、地球表面の70%は海ですし、残りの陸地でも、人間が住んでいるところはほんの僅かです。でも、そのような事態が起きる可能性はゼロではないのです。(A)に日本、(B)に中国や北朝鮮といった国を当てはめてみましょう。恐ろしいことだと思いませんか?
実験によって、そういう事態が起きそうになったときに、脅威を排除する有力な選択肢に「ミサイルによる破壊」が盛り込めるようになったのですから、他国にしてみても決して不利益なモノではないはず。
もっとも、アメリカが積極的に情報開示を行ったなら、の話ですけれど。中国を批判した手前、ある程度の情報開示には応じるものと予想されますが、今後起こりうる国際紛争の種を未然に防ぐためにも、アメリカの良心的な対応が望まれます。
しかし、中国の面の皮はどれだけ厚いんでしょうね・・・
ミサイルによる破壊を受け、中国外務省報道官は米国が国際社会に必要な情報を迅速に提供することを求めると指摘。また、米国の今回の行動で宇宙で予想される被害を綿密に警戒しているとも語った。中国は昨年1月の衛星破壊実験で関連情報を国際社会に流さず、批判を受けている。
他人を諭す前に、まず自分の態度を見直せ、と。先日のサッカー東アジア選手権もそうですけれど、この国には「フェアプレイ」という言葉が無いんでしょうね。