Googleがやっきなって勧めている、Webアプリの拡充。AjaxやFlashを使うことで、ローカルと見た目には変わらないようなWebソフトウェアを続々量産していますが・・・マイクロソフトとの合併話があがっているYahoo!も、どうやらその波に乗るようです。
Yahoo!メールが10年目のリニューアル、タブ切り替えのインタフェースに ITmedia
ヤフーの提供するWebメールサービス「Yahoo!メール」がローカルのメールソフトのようなインタフェースにリニューアルする。同じ画面内にタブを設け、切り替えられることが特徴だ。2月20日にβ版の事前申し込みを開始し、先着20万人を受け付ける。
GMailやGoogleカレンダーを見たときも驚きましたけれど、今回のはまるっきりローカルのメールソフトそのままですね。Webアプリでもここまで出来るのか・・・と言うよりも、Flashの表現力というか汎用性ってものすごくあがっているんだなあ、と今更な感想がよぎりました。
ローカルメールソフトでは、Outlookをはじめとした「3ペイン型」というスタイルがスタンダードとなっています。Yahoo!メールもこのスタイルを採用し、見た目だけでなく操作性もWebアプリケーションらしからぬものを実現しています。右クリックメニューなどWindowsライクなギミックも搭載しており、Outlookを使っていたなら違和感なく移行できるでしょう・・・つまり、Yahoo側もそれが狙いなんです。
Yahoo!メールを毎月利用するユーザーは、Yahoo!JAPAN IDベースで1500万以上。国内最大のWebメールサービスだ。Yahoo!JAPAN IDのアクティブユーザーが月間2200万IDであることから、約7割のYahoo!JAPAN IDユーザーがYahoo!メールを利用している計算になる。
そんなユーザーが慣れ親しんでいるのは、GmailのようなWebメールサービスではなく、Outlookのようなメールソフト。ヤフーでは、今回のリニューアルによって新規ユーザーの獲得を見込むほか、既存顧客の満足度向上、Yahoo!JAPANのほかのサービスとの連携を狙う。
Gmailをはじめとする他のWebメールサービスと一線を画す、「ローカル同様の操作性と見た目」を提供することで差別化し、新規ユーザーの獲得を目指すというわけです。確かに、こちらの方がユーザーにとっては取っつきやすいでしょうから、この点を強調することでセカンドメールアドレス需要を喚起することができるかもしれませんね。
さて、今回のようにローカルと変わらない見た目を持ったWebアプリケーションが登場すると、このままWebに移行してしまい、ローカルは廃れてしまうのか・・・と考えがち。気の早い人なら、「これからは全部Webでできるのか」と思ってしまうかも知れませんし、「ローカルの時代は終わった」とかベンチャー企業の誰かが言い出しそうな雰囲気ですが・・・私は決してそんなことは無いと思います。
いや、Webアプリって怖いんですよ?確かに、データを管理しやすかったり、自分でソフトを用意したりしなくて良かったり、PCを選ばずに自分の環境が使えたりと良いことはたくさんあります。しかし、逆に言えば、データは全てサービス提供元が管理しているし、サービス終了と同時に愛用のソフトが使えなくなってしまうし・・・最悪なのが、
「気づいたら終わってた」
というパターン。しばらく使っていなくて、ふと思い出してメールボックスを見ようとお気に入りをクリックしたら・・・「サービスは終了しました」という表示ともに、Webアプリは使えないし、データも全て吹っ飛んでるし・・・ここまでひどくなくても、アクセスを忘れてて、メールボックスが空になった、なんて経験はしたことがある人が多いでしょう。ちなみに、私もhotmailでやりました。
企業で使う場合でも、例えばGoogleのWebオフィススイートであるDocsとかSpreadSheetなどをメインで使っていたとします。もし、Googleが「やめます」と言ったら、嫌でも選択を迫られるわけですよ。
その点、ローカルならば、例えサポートが終了したとしても、自分で管理する分には使い続けることが出来るわけです。提供側の都合でいきなりインターフェイスが変わったりとか、メニューの内容がいつの間にか変わっていた・・・っていうのはないのです。何というか、今Webアプリケーションの議論には、そういう点が全く語られていないように思います。もちろん、みんな承知の上で、何を今更というならいいんですけれど。
ところで、今回の件でYahoo!は新規ユーザーを獲得できるのでしょうか?確かに取っつきやすいけれど、私は微妙ではないかと思います。Webメールサービスはただでさえ飽和状態なんですから、よほどうまく、利点をPRしていかないと、大幅なユーザー獲得にはいたらないのでは。それに、今回の件を受けて、競合他社も同じような試みを始めそうな気がしますしね・・・なんてったって、見た目や操作性に「全く新規性がない」のが売りな訳ですから、他社が真似したって何にも言えないですものねえ・・・