Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

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第9惑星発見か?神戸大のチームが発表

2008-02-28 21:21:11 | Technology

 かつて・・・と言ってもほんの1年半ほど前のこと。それまで9つあった太陽系の惑星のうち冥王星が準惑星に降格され、太陽系で確認されている惑星は8つになりました。76年に渡って惑星として親しまれてきた冥王星のまさかの降格と、惑星の定義の厳格化により、しばらくの間新しい惑星は発見されないだろう・・・という空気がありましたが、その雰囲気はあっさりと破られることになりました。

 あくまでまだ理論計算の段階ではありますが、神戸大の研究チームが、コンピューターシミュレーションにより、第9惑星の存在を予測したというのです。

海王星外側に第9番惑星の可能性、神戸大が理論予測 Yomiuri online

 リカフィカ研究員らは、太陽系ができ始めて間もない40億年前から現在までの惑星や太陽系外縁天体の軌道の変化を、最も有力な太陽系形成理論にもとづいてコンピューターで計算した。その結果、水星から海王星までの8惑星では変則的な外縁天体の軌道を説明できず、新たな「惑星X」を仮想的に加えて計算することで初めて、それが可能になることがわかった。これが、惑星Xが存在することの理論的な証拠になるという。

 リカフィカ研究員らによると、突き止められた惑星Xは海王星の外側にあり、長半径が150億~260億キロ・メートルの楕円(だえん)軌道を回っている。重さは地球の3~7割で、この領域に多い氷と岩石でできた天体だと仮定すると、直径は、地球の約1万2700キロ・メートルに匹敵する1万~1万6000キロ・メートルになるという。

 AstroArtsの記事の方が詳しいですが、内容が専門的すぎて分かり難いのでYomiuri Onlineを採用。簡単に言えば、冥王星などの海王星よりも遠くにある天体の軌道が傾いている理由を説明するのに、惑星Xを試しに置いて計算したらうまくいったという話です。理論予想なんですけれど、実際の観測結果と計算結果の整合性を”証拠”に出来るため、信頼性は高いと思われます。

 もしもこのコンピューターシミュレーションの結果に基づいて本当に天体が発見されたとき、問題となるのは果たして惑星と認められるかどうか。やはり一番気になるのはそこでしょう。

 まず、冥王星を惑星の座から引きずり下ろした定義をWikipediaでおさらいしておきましょう。

    1. 太陽のまわりを公転していること。
    2. 自己の重力によって球形になるほど十分な質量を持っていること。より明確にいうと、自己の重力により重力平衡形状になっていること。
    3. 軌道上の他の天体を排除 (clear) していること。

 冥王星は3番の条項に引っかかって降格しました。ちなみに、1番と2番の条件をクリアーしている小惑星は冥王星の他にも無数にあります。
 3番の条件とは、つまり、地球や他の惑星のように、太陽から同じくらいの距離を回る天体のうち、圧倒的に巨大であることです。冥王星の場合、近年発見されたエリスやクワオワーなど、他の小惑星も同じような軌道を取っていたため降格となったのです。

 今回の惑星Xが発見された場合、質量が地球の3割から7割という事ですから、形は間違いなく球形になっているはずです。しかしながら、3番の条項を満たしているかどうかは実際に観測し、丹念に調査しないことには分かりません。それらしい天体を発見=即惑星認定といかないのが歯がゆいところですが、冥王星降格の後、最大とも言える発見の兆しではないでしょうか。

 そして、一番楽しみなのが、今回の発見は日本のチームによるもので、さらに言えば、日本がこの惑星の発見国になる可能性も十分にあると言うことです。そのときは一体どんな名前が付くのでしょうか・・・続報が楽しみですね。