Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

東芝、HD DVDから完全撤退 その先に見えるもの

2008-02-19 20:31:38 | Thinkings

 メディアの歴史に、また重要な一ページが刻まれました。
 良い言い方をすれば、DVDの未来が開けた。悪い言い方をすれば、”第二のベータ”が決定したのです。

 二つ前の記事で、このネタは後2回くらいと書きましたが・・・これがその最後の一回になりそうです。

東芝がHD DVD事業終了を正式発表,Blu-ray対応AV機器の販売計画はなし ITPro

 東芝は2008年2月19日,HD DVD事業を終了すると正式に発表した。HD DVDプレイヤーやレコーダーだけでなく,パソコンやゲーム機向けのHD DVDドライブに関しても新製品の開発と生産を終了する。流通への出荷も3月末に終了する。

 確かに、HD DVDの開発資産や設備投資、市場に出回った分を考えれば「残念」と言えるかも知れません。そもそも、製品発表前の歩み寄りの時点でBlu-Rayと規格を一本化してしまえばこのようなことは起こらなかった、と言うことは簡単です。ですが、製品発売から一年、ワーナーのBlu-Ray一本化の発表からわずか1ヶ月半での東芝の撤退判断は、ベストとは言えないまでも、ベターだったと言えるでしょう。少なくとも一年間は規格争いにからんだ価格競争も行われましたし、次世代メディアへの関心も少なからず引くことが出来ました。さらに言えば、その次世代メディアの市場がまだまだ小さかったことも幸いし、ベータとVHSほどの傷跡は残らなかったのです。

 総じて言えば、潔く、適切な幕引きだったといえるでしょう。これで漸くメディア規格の争いは終焉を迎え、普及期へ向けて舵を取ることが出来そうです・・・が、もう一つ興味深い・・・というよりも、むしろこっちの方が重要だと思われる下りがありました。

 今後のAV機器事業に関しては,現行のDVDプレイヤー/レコーダー事業を継続するが,Blu-rayを採用した次世代DVDプレイヤーやレコーダーに関しては「販売する計画は無い」(西田社長)という。また今後は,「半導体NANDフラッシュ・メモリーや小型HDDといったストレージ,画像処理技術,無線技術,暗号処理などの強みを生かした,デジタル・コンバージェンス世代に適した事業を検討する」(同)とした。

 以前、このブログでも紹介したシーゲイトCEOの講演の内容を覚えているでしょうか。

「勝者はBlu-rayでもHD DVDでもなく、ハードディスク」--シーゲイトCEOが発言 CNET

「Blu-rayが競争に勝利したと言われているが、それは問題ではない。本当の争いは物的流通と電子的配信との間で行われており、Blu-rayもHD DVDもこの争いでは敗者だ。この争いでは、フラッシュメモリとハードディスクが同じ陣営にいる。決着はすでについており、物的流通の陣営は敗北した」

 Blu-Ray陣営に参画せず、NANフラッシュやHDDストレージの強化を宣言した東芝社長の言葉は、このシーゲイトCEOの発言を思い出させました。
 東芝もREGZAを持ち、AV事業を続けていく以上、フルHDメディアサービスからは避けて通れないはず。そう考えると、パッケージメディアを捨て、ネットワーク等に新たな活路を開くしか道は残されていないでしょう。

 期待するのは、換装などを含めた、使いやすいHDDメディアストレージシステム。そもそも、ムーブやダビング10も、光メディアに焼くから起こる問題なんですから、HDDにためて、いっぱいになったらHDDだけを簡単に交換できるような、「ムーブしない」レコーダーが出来たならおもしろいのでは。
 また、色々とブレイクスルーが必要ですけれど、日本版のAppleTVを目指すというのが一番わかりやすい路線でしょう。お世辞にも、どころか、国内では全くヒットしなかったAppleTVですが、フレッツやYahoo!といった企業、もしくはCSと組むことが出来るなら、もしかしたら化けることが出来るかも知れません。

 東芝は確かに「撤退」はしました。けれども、決して「敗走」ではないと思うのです。今のBlu-Rayの普及状況もふまえて、東芝の動向いかんによっては、市場に風穴を開けるかも知れませんね。

 

 ・・・精一杯好意的に解釈すれば、ですけれどね。「Blu-Rayに絶対に屈しない事を期待する」東芝の今後に期待です。


自販機の商品拡充を効率化

2008-02-18 21:09:03 | Technology

 ロボット、と一口に言っても、何もアトムのような人型をしているものばかりではありません。懐かしのAIBOのような犬型や、工場で使われている手だけのロボットなど、様々な形や目的のものがあります。

 ロボットと言うと意外に思う方も多いかも知れませんが、例えばATMも、「人間の窓口業務の替わりをする」という意味で、ロボットの範疇に含まれます。お客と対話しサービスを提供、現金を間違いなく扱う業務をまるまる肩代わりするのですから、夢がないですけれど、ASIMOよりも立派に役に立っているロボットです。

 そう考えると、世の中でもっとも身近で、かつ有用に役立っているロボット像が見えてきます。

 いつも街角に立ち、お客に商品を選ばせ精算し、的確におつりを返す・・・そう、ジュースや、時には軽食やお菓子などを扱う自動販売機です。これも、商店の替わりをしているロボットの仲間で、いつ何時でも冷たい炭酸飲料や、暖かいコーヒーを提供してくれる現代人の味方です。

 しかし、この自動販売機にも大きな弱点があります。普通の商店なら、品切れになりそうなら早めに発注を行うなど、臨機応変な対応が出来ますが、自販機はサービスマンを待つことしかできません。つまり、商品の仕入れ調整が出来ないのです。
 せめて、商品が無くなりそうになったら発注をかけるか、本部に対して売り上げを逐一報告できるような仕組みがあれば・・・日本コカコーラが考えたのは、そこまでは行かないまでも、在庫を的確に、しかも遠距離から取得するシステムでした。

 FOMAを活用して自販機の商品補充を効率化,日本コカがドコモと共同で新システム ITPro

 新システムでは赤外線通信機能に加え,FOMAのデータ通信カードを携帯端末に実装。同じくFOMAのデータ通信カードを搭載した自動販売機との間で遠隔から在庫情報を取得できるようにする。担当者は自動販売機とトラックとの間を1回往復するだけで済むようになる。特に高層ビルの上層階や駅構内にある自動販売機の場合は移動に時間がかかり,「1回の商品補充に平均30分程度かかっている。新システムの導入で5~10分程度短縮できる見込み」(日本コカ・コーラ)である。

 簡単にまとめるなら、自販機から離れていても、在庫状況が分かるシステムです。内容を読む限り、こちらからの問い合わせに対してそれぞれの自販機が在庫情報を送信。それを見て、サービスマンが配送車で補充在庫を準備することで、手間を大幅に省くことが出来るとか。
 以前、宅急便で、配送ルートを自動で選定してくれるプログラムを使っているという事を聞きましたが、自動販売機網でも同じようなことが出来そうです。これによって、人間の手間が一つ省けることになりますので、効率化という面で正しい技術の使い方なのではないでしょうか。

 「こんなちょっとしたことで」と思うかも知れませんが、何も、派手で大きな成果だけが技術の使い方ではありません。むしろ、こういう小さな手間を省いていく事こそが正道であり、その積み重ねで今の生活が成り立っていると思うのです。

 半ばFOMAのコマーシャルに使われているかのような今回の報道ですけれど、これでまた一つ、世の中が便利になりました。次はどんな小さな手間が無くなるのか・・・こういう、「あ、便利」とつぶやけるくらいの技術の方が、世の中に広く、長く浸透するものですよ、多分。


映画「earth」を見てきた

2008-02-17 23:59:59 | Dialy

 今週末はどこのニュースサイトも東芝のHD DVD撤退の話題で持ちきりですね・・・もともと土日は新しいネタが入りにくいのに、今回は極めつけですよ。

 と、言うわけで、今回はドキュメンタリーにしては大ヒット上映中の「earth」を見てきたので、そのことについて書きたいと思います。

 正直に言うとですね、見に行く前は不安だったのです。と、言いますのも、以前「ガイアシンフォニー」という映画を見たのですが・・・内容を確認せずに見た私もいけなかったんでしょうけれど、地球の映像を追うドキュメンタリーと言うよりは、「スピリチュアルに傾倒した人間の恣意的ドキュメンタリー」という側面が圧倒的に強く、常々「人間の思いこみと現実世界をごっちゃにするな」と考えている私にとっては拷問のような2時間を過ごすことを強いられました。今回もそんなだったら本当にイヤだな、と思っていた訳です。

 果たして、その思いは良い意味で裏切られました。映画のパンフレットまで買ってしまうなんて、本当に久しぶりです。
 内容は、ただ淡々と生き物の営みを記録している、実にまっとうなドキュメンタリーでした。ただ、「どうやって撮ったのか」と驚くような画や、この一瞬の為に一体どれだけの時間をかけたのか分からないような決定的瞬間など、陳腐な言葉しか出てこないような美しい映像が何度も画面に映し出されますので、ナショナルジオグラフィックとかNHKのネイチャードキュメンタリーが好きな人ならば、間違いなく楽しめることでしょう。

 ・・・盛り上がりには欠けるので、ちょっと人を選ぶかな、とは思いますが。

 映画を最後まで見終わると、制作者側からの「地球を大切に」というわかりやすいメッセージを受け取ることになりますけれど、この映像を見た後ならば、「ああ大切にしなきゃなあ」と素直に思えるから不思議なもの。ただ、それを実行に移せるか・・・というのは別の話なのが困ったものですけれど。

 とりあえず、小学生など含む、学生への環境教育には、その辺の教養映画を見せるよりもずっと効果があるように思います。動物もたくさん出てきますし、家族で映画館に出かけてみるのも良いんじゃないでしょうか?


ウォルマート、HD DVD全撤去

2008-02-16 19:17:35 | Thinkings

 もしかしたら、このネタで記事を書くのも後2回くらいかも知れませんね。

 ワーナーがBlu-Rayに一本化し、もはやプレイヤーの低価格さくらいでしか優位性の無くなってしまった東芝のHD DVD。メディアからも東芝のHD DVDからの「撤退」やBlu-Rayへの「鞍替え」と言う憶測がでるなど、「もうだめかもわからんね」という空気は漂っていましたが・・・ある意味とどめとも言える発表がされました。

 新世代DVD、米でブルーレイの優位拡大・小売りが支持 Nikkei Net

小売り最大手のウォルマート・ストアーズが15日、東芝陣営の「HD―DVD」規格の製品を徐々に店頭から撤去し、6月以降はBD製品だけを扱うと発表した。映画会社の間でもBD支持が広がっており、HD―DVD側は主要な販路を失いつつある。

 アメリカでのウォルマートの影響力は正に絶大で、DVDソフト販売の約4割を握っています。今回の発表は、全米の4割の店舗からHD DVDが消えると言うことと同意なのです。

 ワーナーがHD DVDを切り捨ててから、あれほど強気だった東芝のスポークスマンもすっかり鳴りを潜め、そもそもHD DVDについての声明を出すことすら無くなってしまいました。前回はコンテンツホルダーでしたが、今度は小売店と言うことで、よりユーザーに近い存在です。単純に、手にとってもらえる機会が激減するわけですから、前回のワーナーの時よりも甚大な影響があるのではないでしょうか。

 もう、こうなってしまっては、3つくらい奇跡が起こらないことにはHD DVDの勝利はあり得ないでしょう。つまり、敗北はほぼ確定しました。

 今後、東芝の取り得る道は、HD DVDと心中するか、Blu-Rayにも対応するユニバーサルプレイヤーを作っていくか、HD DVDから撤退するか・・・というアナリストが予想した通りの道しか、順当に考えれば残されていないように思います。何というか、この下りはDreamCastからの撤退を決めたセガに重なってしまいますね。もともとDVDレコーダーではファンの多い東芝のこと。Blu-Ray陣営に加わり、市場を活性化させる方向へ動いてくれた方が業界の為になると思いますけれどね。

 後は東芝が折れるだけ、という状況になった次世代メディア戦争・・・ようやく集結の兆しが見えたところで、安心してBlu-Rayを人に勧めることが出来ますけれど・・・そもそも、そういう高画質のコンテンツにお金を余分に払えるような、成熟した市場になっているのかという根本的なところや、iTunes Storeをはじめとするネットワークコンテンツの台頭による新たな闘争という問題も頭をもたげてきています。そのあたりはレンタルビデオショップがレンタルBlu-Rayの取り扱いを始めたら、徐々に解決していくようにも思いますけれど。

 メディアの一本化という問題が終わったとしても、まだまだ混迷は続きそうですよ。


携帯に求めるもの

2008-02-14 20:51:19 | Thinkings

 「シンプルなケータイがいい」

 最近、何となく思っているのはそんなことで、その理由とは、結局通話とメール、たまに暇つぶしのスタンドアロンゲームにしか携帯電話を使っていないと気づいたからです。

 携帯でより快適にインターネットを楽しみたくて選択したauのW51Hですが、インターネットをやめてみると月々の料金が半額になったため、ばかばかしくてやめてしまいました。自慢の高解像度液晶も、せいぜい壁紙とか写真を表示するくらいしか生かせていないのが現状。同様の理由で着うたもさっぱりダウンロードしていないし、スケジュール管理と音楽はiPodが引き受けてくれるため、最終的に「携帯でしか出来ない」通話とメール用途だけが残りました。それ以外は、今のケータイには必要ありません。そりゃ、やむを得ない事情で、ブラウザを立ち上げることはあるかも知れないですが。

 そんな用途にしか使わないなら、シンプルなヤツがいい・・・いや「シンプルなケータイ」というか、より正確には「スタイリッシュなケータイ」でしょうか。もはや、「シンプル」なんていう携帯は絶滅寸前で、シニア携帯がかろうじて名乗れるくらい。他のメインストリーム機は、なんやかんやで色々と機能がひしめき合っているものです。冗談みたいに薄くても、ブラウザはもちろん、カメラやFelicaなど、一通りの機能を備えた過剰なケータイばかりです。

 そう、薄さというのも一つのトレンド。二つ折りで10ミリ前後のものがよくニュースになっていますけれど、確かに薄いのはかっこいい。しかしながら、薄すぎると指への引っかかりが無いので、正直ものすごく開けづらい。店頭で触ってみたのですが、慣れないと片手で開けるのは至難の業みたいです。そういう状況に配慮してか、ボタン一発で開くようにした薄型携帯が発表されたりとか、なんというかそこまでするかという世界が広がっております。

 後はワンセグも、新機種では付いているのが当たり前とでも言いたげなくらい、どのメーカーもこぞって付けている機能ですね。自分のには付いていないので、正直これはちょっと興味があります。周りからは「いや、ほとんど見ないから」という声も聞こえてきますけれど・・・たぶん、いざ付いていてもほとんど見ないというのが本当のところだと思うし、そうなった自分の姿は容易に想像できます。でも、付いているのが普通になったんなら、付いてたって良いじゃない。と、言うわけで、個人的に欲しいのはこのあたりでしょうか。

au、薄さ約12.9mmの「W61P」を2月15日より全国で発売 CNET Japan

 W61Pの薄さは約12.9mmで、胸ポケットにも違和感なく収まるサイズになっている。片手で簡単に開く「ワンプッシュオープン」を装備し、薄くても開きやすいように工夫した。

W61P 「W61P」

 液晶サイズは2.9インチで、最大約400カンデラを実現。美しいワンセグ画面が楽しめる。

 薄くって、ワンセグでスタイリッシュ。完璧だ。私の要求にぴったりと当てはまります。でも、多分しばらく様子見です。買い換える理由も無いですし。電池もまだ3日持ちますしね。
 それに、私が本当に携帯に求めているのは、こういう方向性じゃないというのは、うすうす分かっているんです。私は、通話とメールに特化・・・とまでは行かなくても、メールを快適に打てる携帯が欲しいのです。そういう意味でSoftBankの「インターネットマシン 922SH」が発表されたときは衝撃でした。スマートフォンではない通常の携帯電話だけど、QWERTYキーボード付きというコンセプトは、正に待ち望んでいたものに見えました。多分、他社も追随してくれると信じていますけれど、その願いが叶わなかったときは、あっさりとキャリア替えをしてしまうかも知れませんね。

 今、携帯の多機能化で付加価値を上げる方向性は一段落したと言って良いと思います。最大のキモであったワンセグが当たり前になったことで、各社が方向性を模索しているところにみえますが・・・スマートフォンとデザインがそれになるのでしょうか。

 以前は、「通話エリア」、そして「料金プラン」から「各社の色」、今となってはどれもが同じに見えてしまう携帯電話界隈。コモディティ化の果てが「無個性」というのはある意味頷けますけれど、やっぱり少し寂しいもの。閉塞感を打ち破るような、「とんがった携帯」が、今の市場にはもとめられているんでしょうかね。


液体レンズ量産へ

2008-02-13 19:46:55 | Technology

 例えばカメラ。Webカムだったりビデオカメラだったりデジカメだったり、はたまた銀塩カメラにも。ピンホールカメラは除く。

 例えば望遠鏡。数百円で買える小さな物から、天体望遠鏡、お仲間の双眼鏡やオペラグラスにももちろん。

 例えば顕微鏡。子供用のオモチャみたいな物から、研究用に使う特殊な物まで。

 例えば投影機。プロジェクターはもちろん、OHPや映写機、ピンホール式でないプラネタリウムとか。

 これらの機械には全てレンズが使われています。レンズの発明によって、人類は様々な発見や発明を重ねてきました。今では工業製品として世の中に欠かせない物の一つになっています。

 レンズの材料としては、ガラスやプラスティックなどが使われてきました。これらはもちろん固体ですので、焦点距離を合わせるためには複数のレンズを組み合わせる必要があります。対して、人間の目に使われているレンズ、水晶体は厚さを変えることによって、シンプルな形で焦点距離の調整を実現しています。

 水晶体と同じようではありませんが、レンズ自体を可変させることによって焦点距離を調整するレンズが量産されることになりました。

液体で焦点を合わせるレンズ Varioptic社の液体レンズを今秋にも量産 セイコーインスツルメンツ(株)プレスリリース

 Varioptic社が開発した液体レンズは、レンズホルダー(容器)内に水溶液と油を封入し、容器の上下の電極から水溶液に電圧を加えることで水溶液と油の境界面の形状が変化する技術を利用したものです。この境界面がレンズとなり、電圧の変化によって焦点距離を合わせる可変焦点レンズとなります。

 初めて読んだときは、正直なところよく分かりませんでした。複雑な機構が必要なく、スムーズな可変が可能、衝撃にも強い・・・と確かに搭載スペースの関係で複数のレンズ搭載が難しい携帯電話やバーコードリーダーなどの小型化に貢献しそうですが、どうやって液体をレンズ上に固定するかがさっぱり分からないのです。

 ウェブニュースにもレンズの「製品」の写真はのっているんですけれど、ガワからは中身は全く想像できませんでした。そこでプレスリリースを探してみると、ありました。

 なるほど液体とオイルをフィルム状に封入するわけですね。すると、境界面がたわんで、それぞれの屈折率の違いからレンズの役割をするという仕組みのようです。この方式のユニークなのは、単体で凹レンズにも凸レンズにもなるところ。実はこれって画期的な事じゃないでしょうか。もしかするとレンズを使っている様々な分野で革命を起こす「かも」知れないですね。

 それにしても、この技術もそうですけれど、メイドインジャパンじゃないんですよね。日本発の画期的な技術が今後、活発に発表されることを祈っています。


メールをPDFで暗号化・・・はどのあたりが「新しい」のか

2008-02-12 23:59:59 | Technology

 セキュリティに対しての意識は日々徹底されているように思いますが、それでもまだ足りないという分野はたくさんあります。例えば電子メールもその好例です。確かに、セキュリティスイートによって迷惑メールやマルウェアについては対策がとれているかも知れません。ですが、情報漏洩という観点から見ると、あんまり優秀とは言えません。POP形式の平文だと読み取りリスクはかなり大きくなります。・・・ちょっと違うかも知れませんけれど、少なくとも管理者には丸見えです。

 メールによるより安全な連絡、と言うのは、今後結構重要なファクターになることでしょう。それは確かにそう思いますけれど、現在の仕組みを変えずにセキュリティを向上させるのはなかなか難しいチャレンジです。今回のネタである日本PGPのシステムは、パスワード付きPDFをキーとして、システムを構築した模様。

日本PGP,メール暗号化ゲートウエイにPDF暗号化機能を追加し“クライアント・レス”拡充 ITpro

まず送信側がメールを送ると,パスワード設定用のURLを記した登録メールを相手に送信。受信側が設定したパスワードを使い,メール本文や添付ファイルを暗号化PDFに変換・送信する

 このシステムの画期的なところは、相手側にパスワードを決めさせると言うところでしょう。公開鍵をばらまくより、お手軽且つクライアントごとの鍵が異なるため、結果的に読み取りリスクは少なくなるはずです。この仕組みをメールにも導入し、さらに、一般にほぼ普及しきっているPDFを使ったことは、汎用性について大きな利点となります。
 後もう一つの大きな利点は、一度受信してしまえば、オフラインであっても自由に参照が出来ると言うこと。これは、PDFという”閉じたシステム”のみで完結しているところによります。送られてきたPDFを利用する限り、セキュリティーが「継続」するというのも、考えてみれば有用かも知れない効果です。

 もちろん、平文に比べてトラフィックが増えるとかのデメリットもあります。この問題は、返信が暗号化されないというこのシステムの、

「明細書や請求書を一斉配信するのに向いている」

という性質に真っ向から対立するような気がしますけれど・・・。プレーンテキストをPDF化したところで大してサイズは大きくならないとか、最近の回線速度だと特に問題ではないと言えばそれまでかも知れませんが。

 ざっと見て、使えそうなシステムだと言うのが個人的な感想ですが、1ユーザーあたり2万円の導入コストに見合うかどうかはそれぞれの判断で。部署に1ユーザーくらいずつ、と考えると、実はそんなに大きな支出ではないように思いますけれど・・・

 後は、PDF運用とパスワード設定が、顧客に対しての枷にならないか・・・このシステムの一番の導入障壁はこの点にありそうですね。


特に注目はされてないけれど・・・世界最小PC「MTube」

2008-02-11 22:14:26 | Thinkings

 PCでも家電でもそうですけれど、とりあえずはどんどんと小さくなる物です。特に、ソニーにとってはお家芸で、パスポートサイズのハンディカムとか・・・ウォークマンもメディアケースくらいの大きさで収まってしまっていました。

 こういう流れは携帯とかノートPC等のモバイル機器でも顕著ですけれど、ウォークマンやデスクトップPCとはまた違った制約が出てきます。・・・要するに、あんまり小さくしすぎてはいけないんです。快適に操作できないから。
 ただでさえボタンの塊であるキーボードとか、携帯電話のテンキーを小さくした場合、指先で早く、正確に打鍵するのは難しくなってきます。加えて、本体が小さくなると操作時にホールドしにくくなりますから、それだけストレスがたまりやすい仕様になるわけですね。携帯電話だとNECからかつて発売されていたPremini、ノートPCだとVAIO Type Uなんかが、小ささと操作性のトレードオフ限界に挑戦していますね。と言うわけで、個人的な見解としては、PCはLOOX程度、携帯は最近の最薄二つ折り程度が限界なんじゃないだろうかと思うわけです。

 「人間の構造上」の限界を超えるには、さらなる入力インターフェイスのブレイクスルーが待たれるところですけれど、そのような状況下においても、チャレンジフルな製品というのは発表され続けるものです。

ちょい遅だけど…世界最小PC「MTube」をご紹介(動画) GIZMODE

ほんと、手のひらサイズ。

おっとっとと。すっかり抜けてしまっていました。世界最小のPC「MTube」のこと。CESでも発表されていたのに…。 8.5cm x 8.5cm x 2cm で、重さ150g。そして、Linuxベース、WiMaxネットワークとWi-Fi無線ネットワーク搭載!

 さすがにWindowsは搭載できなかったみたいですけれど、モバイル用途でかなりの機能限定が入るようなので問題はなさそうです。ちなみに、リンク元の記事にある動画は何故か「ASUS EEE PC」の紹介動画になっていますので、MTubeの動画を探してきました。いや、動画の隅に”ASUS”って書いてあったからおかしいとは思ったんですよ・・・EEE PCって割ともっさりしてるんですね。Linux版でも。

MTube: 2.8" VGA pocketable Linux prototype MiniPCPro

 とはいえ、どうも最新の動画が映される仕様になっているようなので、画面横のメニューから選んで見てください。多分数日で見られなくなる模様。

 2.5inchのVGAタッチパネル搭載で、割とさくさく動くように見えるメディアプレイヤー・・・ってのが見てみた正直な印象でしょうか。入力デバイスが限られるので、言葉通りのPCとして考えるよりも、対応するメディアファイルがたくさんあって、データの転送制約が薄いiPod Touchとして見た方がよさそうな感じです。あんまりスマートじゃないですが。これでターミナル操作はむずかしそうだし、少なくとも表計算は使いたくないですね。

 画面が大きい分だけ、touchの方がマシかな・・・?でも動画変換の手間を考えなくて良い、汎用性をフル活用、Windowsに換装とかをやろうとすると、おもしろい選択肢かも知れないですね。

 

 この分野のPDAとかメディアプレイヤーもたくさん出ていますけれど、とりあえず、iPod TouchのSDK(ソフトウェア開発キット)が正式発表されたら一区切り付きそうな予感がします。事実上、世界で一番有名なPDAですし、Palmも落ち目ですしね・・・


海自がシンクライアント大量導入・・・転機となるか

2008-02-10 23:59:59 | Technology

 今はある程度下火になったものの、一時期騒がれていたWinny等による情報漏洩問題。騒がれなくなったとはいえ、PCとネットワークを使っている以上、今後無くすことは難しい問題です。例えWinnyを使わなくとも、データを流したり奪われたりする手段などいくらでも考えられるわけですから。

 情報セキュリティ上重要なことは、データの入りと出を確実に管理することです。怪しいソフトをダウンロードさせない、怪しい接続先と通信させない、機密情報を送信させない、記憶媒体に記憶して外部に持ち出させない、端末を盗まれない・・・しかしながら、これらを完全に防ぐには、PCを使用させている限り困難です。

 そこで登場するのがシンクライアントという、全ての作業とデータ管理をサーバー上で行い、端末はその結果を受け取るだけ、というシステムですが、導入初期コストや汎用性の問題でそこまで普及はしてきませんでした。しかし、今回のニュースにより、少なくとも政府関係では、その方向に転がる可能性が出てきました。

 記憶装置なしパソコン、海自が3万台全面導入・10年度までに NIKKEI.NET

 防衛省は機密情報の流出防止を狙い、記憶装置を持たないパソコン「シンクライアント端末」を2010年度までに海上自衛隊に全面導入する。海自のパソコンのほぼ全量に当たる約3万台を対象に、米国防総省が使う米サン・マイクロシステムズ製の端末に置き換える。国内でのシンクライアント端末の導入台数では過去最大とみられる。

 海自での運用結果如何によっては陸自と空自にも導入すると言うことらしいですので、自衛隊の導入結果によっては、今後政府関係のシンクライアント化が一度に進む可能性があります。気になる導入シンクライアントシステムは、ペンタゴン・カスタムなんてものが存在するならば多分外には漏らさないはずですので、大方これだと思います。

SunRay サン・マイクロシステムズ

 端末は専用設計で、搭載記憶装置は画面のバッファだけという、徹底的に手元にデータを残さないシステムとなっています。また、サーバーOSにSolarisを使い、「マニアックなのでウイルスの標的にならない」という利点を有効活用し、さらにセキュリティを高めています。
 使用できるのはUNIX、Linux、そしてWindowsアプリケーションと、業務使用に支障のない互換性を整備。正確には、Solaris対応アプリケーション以外は、それぞれの実行サーバー(例えばWindows Server)と連携し、あたかもSunRayのシステム上で動いているように動作させられると言う事みたいです。それによって、例えWindowsアプリケーションを使用する場合でも、細かな実行制限や、データを手元に残さない利点を利用できるということです。

 今回の措置は、国防上重要なセクションのセキュリティリスクを減らすと言う意味で、非常に有意義な事だと思います。また、シンクライアントの波が広がっていくことは、今後の大きな流れなのだろうか、とも思います。ただ、中央集権型であるシンクライアントの欠点として、サーバーが落ちているときは何人も作業が出来ないということや、管理者にかかる負担という新たなリスクもきちんと頭に入れておく必要があるでしょう。加えて、メーカーサポートが終了した時点で、導入システムの全てを入れ替えるか、だましだまし使っていくかを選択しなければならないと言うことも忘れてはいけません。・・・Webサービスのように、「サービス終了とともに全てが終わる」よりはマシでしょうけれどね。

 そう考えると、スタンドアロンシステムや端末って言うのは、ある意味リスク分散という側面もあるんでしょうね。どっちが良いかはその集団の性質にもよるのでしょうけれど。ただ一つだけ確実なのは、組織が大きければ大きいほど、シンクライアントのような中央集権型のシステムは生きると言うこと。そういう意味で政府関係というのはもってこいの実験材料となるでしょう。ちょっと大げさかも知れませんが、ある意味今回の事例は、日本のシンクライアントにとって大きなマイルストーンになるかも知れませんね。


そのブログ、どんな感じ? ブログの印象判定サービス・・・なんだけど

2008-02-09 23:01:48 | Technology

 どんなブログでも、何かしら”色”が出てくるものです。例えば、書いている人の個性だとか、テーマに関する縛りだとか・・・もっと具体的なことを言うと、「日記」だとか「ニュース系」だとか・・・さらに分ければ、「ごはん」だったり「写真」だったり「スポーツ」だったり「ガジェット」だったり・・・「このブログはこういうブログ」という何かしら主張する物があるわけです。

 私のブログは典型的な「IT系ニュースブログ+α」だと個人的には思っていますけれど、世の中の人がそう思ってくれているかどうかはよく分かりません。自分のブログの客観的な方向性を見ることが出来れば、よりネタも拾いやすくなり、また、思った方向への修正も可能でしょう。ええと、前者はとても重要ですよ?
 しかしながら、自分のブログを客観的に見ると言うことはなかなか難しいですし、また、周りの読者に感想を求めるのもなんだかおかしな感じです。一番お手軽且つ良さそうなのは、やはり機械に任せることですよ。

 「清くかしこまった感じ」などなど ブログ「雰囲気」も判定するサービス ITmedia

 ブログのURLを入力すると、RSSフィードの内容をもとに分析する。記事に使われているキーワードから、ブログの話題や雰囲気を判定する。自分のブログと似たキーワードをよく使っている著名人のブログも表示する。

 まず、データベースに単語と単語の雰囲気を登録しておきます。指定されたブログのRSS情報から単語を引っ張ってきて、データベースと照合。見つかった単語からそのブログの性質を分析しようって事ですね。

 MyBoo ベータ版

 さっそくこのブログも解析してみましたよ。

Cafe de Kerm ?毒味ブログ?

恐怖感  がブログからにじみ出ています。

話題に関しては  事件  について多く書かれているみたいです。

 ・・・は?恐怖感?事件なんてたまにしか取り上げないんですけれど・・・あれか?hp電卓を買った事?

「恐怖感」

判定ワードギョーザ、 冷凍、 食品、 事件、 リアルだ、 世の中、 行為...

「事件」

判定ワードギョーザ、 輸出入、 河北、 事件、 製造元、 冷凍、 食中毒...

 どうやら一週間ほど前の冷凍ギョーザのところ「だけ」を抽出してきたみたいです。確かにIT関連って一般的じゃないかも知れないけれど・・・ちなみに、このブログからリンクを張らせてもらっている銀河系壱見たくない書評さんを判定してみると、

おいしい!と感じていること  がブログからにじみ出ています。

話題に関しては  スイーツ  について多く書かれているみたいです。

 えーと、そういう部分からはかけ離れている、まじめーなビジネス書評ブログなんですけれどねー。他のところもいくつか試してみましたけれど、どうも登録単語がずいぶんと偏っているというか・・・総じて当てにならないと言うのが正直な印象です。だいたい、ギョーザや冷凍から恐怖を感じるなんて今だけだろうに・・・単語だけではやっぱり限界があるみたいですね。

 結論を言えば、人に頼るな、自分の信じる道を行け・・・機械なんてもっての他!ってところでしょうか。まあ、ブログなんて趣味で書いている人がほとんどでしょうから、他人の印象を気にしてもしょうがないですね。まあ、こういうサービスもハハハと笑ってネタにするのが一番良さそうですよ。

 ・・・いや、しかし恐怖感ねえ。ちなみにhamaさんのannexの窓辺からも恐怖感と・・・あと競馬ですって。見に行ってもらうと分かりますけれど、やっぱり当てにはならなさそうです。