CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】中国古陶磁入門

2018-03-16 21:52:56 | 読書感想文とか読み物レビウー
中国古陶磁入門  著:中島 誠之助

中島先生の20年以上も前の本であります
まだこの頃は相当に元気だったんだろうなと
文章から伝わってくるようでありました
ちょうど、鑑定団が当たって載りに乗っていたときなのかもしれない
そんなことを思ったりしながら、じっくりと読んだのであります

入門という本ながらも、書いてある内容は、
どちらかといえば、先生の駆け出しの頃から培ってきたことや、
経験した内容の集積といったところで
入門書として使うものとは感じないのでありました
読み物として、非常に面白いと思ったから、
もっといい名前があったんじゃなかろうかしら

題名の通り、中国古陶磁を古いものから順番に、
そしてとても丁寧に解説していまして
ここのところ濫読していた、中国陶磁器の知識が
かなり整理されて、最初からこれ読んでおけばよかったのかと
ちょっと圧倒されてしまったのでありますが
非常に楽しめてた次第であります

先生得意の伊万里に通ずる部分の解説が
やはり、冗長かしらと思わなくもないものの、
宋代の陶磁器が、一等といえばいいか、一種極めたのだというところが
ありあり伝わってくるような熱量で、
非常に楽しい読み物でありました
特に、青磁に関する細かな解説が役に立つというか
なるほどなぁと思うところも多くて、
本物の汝窯の在り方というものなんかもわかったりして
楽しいことこのうえない

中国の歴史もさらりとながら、丁寧になぞってくれていますので
そういう方面からも、なかなかに楽しく読めて
いつぞやにも思った、陶磁器をめぐるということが
歴史を巡ることに通ずるなというところを
再認識させられたような気分でありました

あまり騒ぎ立てるのもいかがなものかというところながら、
天目に関しての詳細な記述も興味深くて、
先生なりに、耀変というものを国宝のそれだけに限っていない
そう読める書き方であったことから、
例の鑑定結果についても、耀変という定義そのものが、
騒ぎ立てたなにかれと、異なるものだったんじゃないかとも
思わされたりしたのであります

ともかく、中国陶磁器についての詳細が
非常にわかりやすく読めて、これは一冊手元においといたほうが
いいんじゃないかと思えるほど
優しく解説されていた、いい本だったと思ったのでありました
文章が上手なのかもしれない、そう思ったりしつつ
読み終えて、満足なのである

本を読んでしまうと、やはり、そういうものが
欲しくなってくるものでありますね