フランス映画「愛されるために、ここにいる」のステファヌ・ブリゼ監督の新作
は、愛する肉親の決断に心が揺れる荘厳な人間ドラマです。
48歳のトラック運転手アラン(ヴァンサン・ランドン)は、出来心で麻薬密輸の
片棒をかつき゜逮捕され、服役していたが出所、昔から犬猿の仲である母親
イベット(エレーヌ・ヴァンサン)が暮らす実家で再出発を図ります。でも望むよ
うな仕事が見つからず、几帳面な母と衝突してばかりいます。
実家の隣人で母に控え目な好意を寄せる老人とアランは、気晴らしにボウリ
ングに出かけ、そこで知り合った女性(エマニュエル・セニエ)と一夜を共に・・・。
そんなある日、アランは母の引き出しから、母が重度の脳腫瘍に冒されており、
意識が混濁する前に、フランスでは禁じられているが、スイスの施設では実行
出来る尊厳死を実行しようとしていることを知ります・・・。
最後まで息をひそめて見入りましたし、私としては珍しく涙が止まらなかった作
品です。
日本では考えられない境遇と結末を、この監督はどこまで冷静なのだろうと思
いながら見ていたのですが、尊厳死の場面でさえ淡々と描いて行く姿勢を私は
大いに評価します。
更に撮影も音楽もが見事に調和しているこの作品は、もしわが身に降りかかっ
てきたらどうするだろうの課題を課されたものでもあり、特にお薦めの一本です。
予告編で何度も劇場で観ていて、絶対見逃すまいと、、良かったです。
見逃していました。探して見に行きます。
日本では許されていない尊厳死ですが、人間の終を深く考えさせられる佳作です。
追っかけてもても損はしません・・・。