今回は三島雅夫さん。前回の進藤英太郎さんに引き続いて超悪人役の登場です。
この方は単なる悪人役ではなく、色欲が加わる第一人者です。三島さんは明治39
年(1906)東京生まれ、育ちは新潟県長岡で、大正13年に旧制中学を卒業して新劇
の世界に飛び込んでいます。
戦前戦後と色々な劇団に所属したのち劇団俳優座に落ち着くのですが、昭和10年
頃から映画に出演するようになり、戦後も東宝を中心に渋い演技を見せてくれました。
後年は超悪役や色欲坊主などが主流になりましたが、温厚な父親役、時代劇の悪
役、加えて三枚目なども出来る演技幅の広い俳優さんです。俳優座で映画出演が多
い俳優は、田中邦衛、東野英治郎ら次いで3番目だそうです。
戦後は各社作品に出るようになり、生涯の映画出演は300本に及び、独特な存在感
と個性的な演技で常に目立つ俳優さんでした。
大映には「王将」「われ幻の魚を見たり」「鼠小僧忍び込み控 子の刻参上」「朱雀門」
「情炎」「雁の寺」「新・忍びの者」「獣の戯れ」「若親分乗り込む」「座頭市海を渡る」な
ど十数本に出演していますが、なんと言っても「雁の寺」(1962監督・川島雄三)の彼し
か出来ないと思われる北見慈海役が白眉です。
この惜しむべき名優は昭和48年(1973)に67歳で生涯を閉じました。
映画では、東京映画の豊田四郎監督の『四谷怪談』の按摩の宅悦が最高だったと思います。
五社協定にしばられず、どの会社の映画を観ても、必ずといっていいほどお顔が見えますね。
「雁の寺」も好きですが、私は「不信のとき」で加賀まりこさんに右往左往させられる、印刷会社の社長さん役がとても印象に残っています。
ユニークで素晴らしい脇役の一人でした。
仰るように各社に素敵な作品を残している方ですね。
お立寄りいただき有難うございます。
↑にも書きましたが、各社に素敵な作品を残している個性俳優のお一人でした。
この人の前には五者協定は吹っ飛んでいますね。