「過去のない男」(2002年)「街のあかり」(2006年)で映画ファンを魅了した、
アキ・カウリスマキの製作・脚本・監督作品が久し振りに登場ということで
心待ちにしていました。
2011年のカンヌ国際映画祭では国際批評家協会賞エキュメニック賞獲得
に加えて、愛犬ライカにもパルム・ドック審査員特別賞が贈られるという粋
な計らいも話題になっています。
かってはパリで芸術家として暮らしていたマルセル(アンドレ・ウィルム)は、
今はフランスの港町ル・アーヴィルの駅前で、靴みがきをしながら生計をた
てています。
家庭では愛妻(カティ・オウティネン)と、愛犬ライカも一緒でつつましい暮ら
しに満足しています。
ある日、港に不法移民が乗ったコンテナが漂着し、マルセルは警察の検挙
をすり抜けた移民の少年イングリッサ(ブロンダン・ミゲル)と出会い家に匿お
うとします。
そのころ妻のアルレッティは医師から不治の病に冒されていると宣言され、
それを夫に言わぬまま入院します。
そんな状況の中でマルセルは、少年の母が住むロンドンになんとか行かせ
てやりたいと思うのですが・・・。
映画を見ながら始めの内は、この話は一体どのように〆るのだろうと少々心
配したのですが、じわじわと心地良さが増してきてハッピーエンド。
こんなに気持ちの良い典型的なハッピーエンドは、実に嬉しいし幸福感が湧
く思いです。
さすがアキ・カウリスマキ監督と思わしめますが、ファンがカウリスマキ・マジ
ックと呼ぶのも納得です。
人によっては、この作品の展開があまりにも出来過ぎているとか、ご都合主
義だという人もいますが、そっけないほどの表情と行動をとりながら、全編に
流れている人情味は日本人によく理解出来る筈です。
(4/28 KBCシネマ 初日 12:20の回 49人)
今回の人を食ったとぼけたエンディングもいいですね。
いつも有難うございます。
こんなヤリトリの行ったり来たりが楽しいです。
カウリマスキってユニークな監督ですね。