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中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

永田雅一氏のこと、その11

2011年07月20日 | 日記

       
          永田社長と長男の秀雅夫妻          永田雅一氏のサイン


     大映・永田社長といえば、業界のことに詳しい方は、連想する一つに永田社長
     が手がけた五社協定があります。しかもこれは映画界で稀にみる悪協定として
     語り継がれているものです。今日はこれに触れます。
     もとより永田社長は業界にとっていい結果をもたらすと、高邁な気持ちから
     発想したものなのですが、いい面もあり悪い結果もありで、様々な悲喜劇を
     発生させました。
     私のこれに関する感想も書かせていただきますが、まずは永田社長の言い分
     をご覧ください。


     (永田社長の著述から抜粋引用)

     映画界のことは、他の分野に比較すると、どうも事実の真相が伝わりにくい。
     十の話ならば七つくらいは間違いがある。その間違いにさらに尾ひれがついて、
     常に映画界だけが真実が伝わらないことについて、私は非常に遺憾としている。
     と同時に、どこに欠点があるか、自分自身反省するが、映画界も大いに反省
     すべきだ。

     昭和32年7月に日活も加えた六社協定にしても、真相を掴まずに、無責任に
     報道される。ここに私は六社協定の真相を説明しておこうと思う。

     松竹・東宝・大映・新東宝・東映の劇映画製作五社は、昭和28年9月10日
     に、いわゆる五社協定を先に締結していた。それは協定五社間の不公正な競
     争を防止するのが目的であった。五社がお互いに切磋琢磨して、作品の競争
     に火花を散らすことは、お互いの芸術と企業の進歩のためにいいことであるが、
     それぞれの会社は、それぞれの芸術家を民法で定められた法律によって、
     個人契約をしている。専属家手役と年間何本という本数契約の2種類がある。

     ところがたまたま一部少数の芸術家やブローカーが、法をくぐって拡大解釈を
     し、甲から乙、乙から丙の会社に売り込む。そうすると自由競争のはき違い
     から、会社側も相互の確認もせずして、契約してこれを使用する。そうすると
     必ず製作途上にトラブルが起きる。

     例えば甲という会社が企画をして、いよいよある芸術家をそれに仕事をさせる
     べく編成しようとすると、それがおらぬ。調べてみると他の乙の会社で撮影を
     やっている。これはとんでもない話だ。ということになる。

     また責任本数契約者は、甲とは年間四本撮りましょう、乙とは三本撮りましょ
     うという本数契約があって、大体撮影の日取り基準が設けてある。しかも甲の
     会社に優先出演する契約になって、他社に出演するときは、優先契約会社の
     都合を訊ねた上で他にいくことになっている。それが常識になっているにかか
     わらず、本数契約の名の下において、甲乙両会社の作品に、同一の時期に
     出演の契約をしてしまう。ところが両方とも同時に撮影することは出来ない。
     ここで無理なかけ持ちになる。こういうことが、昭和26年ころから次第に
     ひどくなってきた。その上、無理な出演から映画の質が落ちる。ただ撮影した
     というだけで、うけるとか、うけないということは別問題として、質のいい
     映画がこれで出来るはずがない。
     映画の場合は個人芸術と違ってすべてが総合されての上に立っているもので
     あることを、まず十二分に把握していないと、ものが間違ってくる。

     そこで昭和28年に、私は、こういうことを繰り返しておったならば、映画
     製作企業はは社会的な地位から没落する、同時に映画産業に投資する投資
     家もなくなるし、金融機関も不安で金融しないだろう。映画産業は自ら墓穴
     を掘るものだから、そういう不公正な競争は止めよう、それにはどうしたら
     いいか、ということを提案した。

     事故を未然に防止する方法として、専属契約をしている者、本数契約をして
     いる者の氏名を各会社から提出して、これを五社一つにまとめて印刷にし、
     保管してお互いの会社が何か変わった配役がいるとか、変わった芸術家が
     欲しいというときは、どうしてもそれが必要なら契約している相手会社に
     頼みに行って、交渉が成立したらいいじゃないか。そういうふうに、契約
     者の内情を明快にしておけば、一部の人に映画界が振り回されるようなこと
     はなくなる。

     さらにどんどん新人を養成しなければいかぬということになった。新人俳優を
     養成するのには3年ないし5年かかる。技術家はもっとかかる。大学を出て、
     助手から助監督になり、監督になるまでおおむね12年間、センスのある人
     でそうだ。その他カメラマンにおいても然り、脚本家でも、センスのある人で
     早い人が5年から6年、大体10年間ほどかかる。俳優が一番短期だが、
     ニューフェースということで会社がどんどん宣伝して、名前だけは売れるが
     まだ演技はできていない。そんな状態なのにこれを他社に引き抜かれるという
     ようなことでは、次の新人を養成していく情熱がなくなる。だから新人は養成
     年限中お互いが手をつけない。各社は道徳上こういう約束を守ろうじゃないか
     というので、これも五社協定に加えた、これが協定の真相である。

     ところが、たまたま第六番目の日活が撮影を再開するときだったので、あたか
     も世間では、日活を圧迫するために、こういう協定を結んだ如く伝えられ、
     日活もまたこれを信じて、五社を向うに廻して映画界の英雄的存在として花々
     しく出発したわけだ。だからデマからデマが飛んで、世間に誤解を招いてしま
     ったというのが真相だ。(永田社長の文章引用は以上)


     日記の冒頭で私の感想も書きますと記しましたが、この協定が実際にどんに
     影響を及ぼしたのかとか、私なりの感想も改めて書かせていただくことにして、
     本日は長くなり過ぎたので一応ここまでとし、この続きは次回に延ばします。
      -続く-

  
   協定少しが緩んで浅丘ルリ子さんと    大映当時の南田洋子(左端)、私も入ってます
   
   
   雷蔵・お富士・川口浩の記者会見。仕切は私  お富士さんの舞台挨拶も私が仕切りました  

  
   左から私・田宮・川崎・藤巻         左から勝・川上・若松・永田秀雅氏・私

  
   左から渚まゆみ・坪内ミキ子・私     ああ江田島ではこんなおふざけも。右端は私
 
        左端の若尾ちゃんに、よからぬ事を教えている私は右端です    
 
        撮影現場でのスナップ。一番前は私の親友・上原明(撮影監督)後で打合せしてるのは私
               
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