↑ 左から永田社長、上田吉二郎、雷蔵、三隅監督
私は割と早い時期から永田社長が出席する宣伝会議に出席出来るようになりました。
会議では緊張して聞いている人が大半でしたが、私は社長の話を聞くのが大好きでした。
その永田社長の口癖の一つは「芸術意識は馬鹿げていて、映画は全部娯楽作品だと思
っている。娯楽作品でなくちゃいかん。但し脚本も監督もカメラも、全ての分野の技術が最
高度に結集された場合に、それが芸術性を持つということだけなのだ。だから芸術映画と
か大衆向きの映画だとか個別する方がどうかしている。高度な文学作品を映画化するとそ
れが芸術映画だというようにジャーナリズムが喧伝する。これが間違いなのだよ。その作品
をどのように消化し切ったかという結果について批判しなければいかん。その作品が映画
的に消化されていなかったらそれは映画の負けなのだ。映画は所詮大衆を愉しませる娯
楽を目標にせよ。そうして作られたものの中で、たまたま出来上がった結果論から世間の
人が見てこれは芸術的な匂いがあると思ってくれればいい」と・・・。私が自分のブログに時
々書いている映画の感想も、この線に沿っていると思っています。