芥川賞候補に何度もノミネーとされながら受賞がかなわず、41歳で自ら命を
絶った不遇の作家・佐藤泰志の唯一の長編小説を映画化したもので、今から
24年前に書かれた愛を捨てた男と愛を諦めた女の出会いを描いた内容は現
代に置き換えてあります。
仕事を辞めブラブラと過ごしていた佐藤達夫(綾野剛)は、粗暴だが人懐こい青
年・大城拓児(菅田将暉)とパチンコ屋で知り合いますが、ついて来るようにと案
内された拓児の住いはバラックで、寝たきりの父、その世話に追われる母、水
商売で一家を支える姉の千夏がいました。
家族のために時には身を売って稼ぐ千夏でしたが、世間からさげすまれたその
場所で、ひとり光輝く千夏に達夫はひかれて行きます。しかしそんな時に事件
が起こり・・・。
監督は「オカンの嫁入り」の呉美保(オ ミポ)ですが、この在日韓国人三世で37
歳の女性監督は、この暗くて悲しい物語をラストまでぐいぐい引っ張って行く力
強い演出で感心します。
置き換えた時代描写に若干の錯誤があるし無駄なカットも散見しますが、小さ
いアラ探しは無用と思いながら見ましたし、ラストも希望が持てる扱いで中々い
いです。
綾野剛と菅田将暉の演技も拍手ものですが、池脇千鶴の熱演というか役者魂
を感じさせる演技が実に素晴らしいです。
こんな内容なのでR15+だし、メジャー配給ではないので上映館が少ないと思
いますが、是非とも見ていただきたいお薦めの一本です。
PS: 今から上京するため福岡空港行きです。明日5月1日は「宇津井健の
お別れ会」に出席します。
申し訳ありませんが、明日1日このブログをお休みさせていただきます
ので宜しくお願いします。