イタリアのアカデミー賞にあたるダビッド・ディ・ドナテッロ賞で、作品・監督
・音楽など6部門を受賞していることと、「ニュー・シネマ・パラダイス」「海の
上のピアニスト」のジュゼッペ・トルナトーレ監督作品なので、随分前から期
待を募らせていた作品です。
美術品のカリスマ鑑定士として審美眼を誇るバージル・オドマン(ジェフリー・
ラッシュ)は、ひそかに将来高額になると思われる女性肖像画の収集をして
います。
そんな彼のもとに、クレア(シルヴィア・ホークス)という女性から、資産家の両
親が残した絵画や家具の鑑定をしてほしいという依頼を受け、屋敷にやって
来ますが、依頼人のクレアは屋敷内の隠し部屋にこもったままで姿を見せま
せん。
美術しか愛せず人間嫌いの彼でしたが、チラリと覗いたクレアの美しさに心を
奪われ、夢中になり翻弄されて行きます。
さらにバージルは、美術品の中に歴史的発見ともいえる美術品を見つけるの
ですが・・・。
「英国王のスピーチ」のジェフリー・ラッシュは流石に上手いのですが、もともと
暗い役柄ではあっても、もう少し明るさがあった方が良かったと思います。
音楽はトルナトーレ作品常連のエンニオ・モリコーネで非常に効果的で楽しめ
ます。
主人公の役柄は、本来見ている側に好まれるものではないのですが、最後に
は少しばかり可哀想になってくるのは不思議です。
ストーリーも日本人好みで最後まで楽しめますが、ラストはあれで終わりにせ
ず、出来たら続編でこの後始末物語が出てもおかしくない作品でもあります。
大人が観賞して面白い娯楽ミステリー作品としてお薦めです。