去年行なわれた第62回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞した作
品なので、期待して見ました。
この映画の舞台は、東西分断時代の'80年東ドイツが舞台です。
東ドイツの田舎町の病院へ赴任してきた小児科女医バルバラ(ニーナ・ホス)は、
西ドイツへの移住申請をして却下され左遷されてきた女医で、危険人物と見な
され秘密警察に監視されています。
そんな彼女は、西側にいる恋人ヨルク(マルク・ヴァシュケ)のもとへ脱走する計
画を進めていたのですが、勤務する病院で誠実な医者の男アンドレ(ロナルド・
ツェアフェルト)に出会い、医師としての自分を求められている東の生活と、自由
で豊かな西への生活に、加えて2人の男性の狭間で心が揺れ動きます。そして
刻々と脱出決行の日が近づいて・・・。
情熱を内に秘めた容姿の女医バルバラを演じるニーナ・ホスがとても魅力的で、
このヒロインに興味を持つ人が多いと思いますし、抑制された東ベルリンの冷た
い雰囲気が上手く醸し出されていること以外は、あまり褒めたくありません。
ベルリン国際映画祭で監督賞を獲ったクリスティアン・ペッツォルト監督で、脚本
も同人ですが、結末に緻密さが不足し安易であるため、共感する気持ちが希薄
になります。