この二つの作品とも監督の手腕に期待して楽しみにしていたのですが、2作
品ともに私は大不満で、余程感想アップをスルーしょうと思ったものの、話題
作ではあるので取り上げました。
「黄金を抱いて翔べ」は高村薫が1990年に発表し、第3回日本推理サスペンス
大賞を受賞したクライム小説の映画化です。
過激派や犯罪者相手に調達屋をしてきた幸田(妻夫木聡)は、大学時代からの
友人・北川(浅野忠信)から、銀行地下にある15億円の金塊強奪計画を持ちかけ
られます。
幸田と北川は、銀行のシステムエンジニア・野田(桐谷健太)、自称留学生のス
パイ・モモ(チャンミン)、北川の弟・春樹(溝端淳平)、元エレベーター技師の爺ち
ゃん(西田敏行)を仲間に加え、大胆不敵な作戦を決行することにします・・・。
映画を見て、原作はさぞかし面白い小説なんだろうと思いました。
映画は物語の上っ面をなぜているだけで、ましてや複雑な人間関係や若者の
苦しみなんて上滑りしていて上手く描かれていません。
井筒和幸監督は心臓をドキドキ&バクバクさせると言って自信満々でしたが、
肝心の強奪場面などチャチもいいとこで、初期の井筒監督作品に見られたキレ
は見当たらず、同監督の自己満足作品に終わっています。
(11/8 大洋映劇 6日目 12:55の回 13人)
「ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋」は、マドンナの監督第1作「ワンダー
ラスト」が新鮮で個性的だったので、期待して見た彼女の監督第2作でした。
1930年代、イギリス王室最大のスキャンダルと言われた、英国王エドワード8世
とアメリカ人女性ウォリス・シンプソンの王位継承権を放棄するまでに至ったロマ
ンスと、現代ニューヨークに暮らすひとりの女性の物語を交錯させて描く構成に
なっています。
ニューヨークに住む女性ウォリーは、子どもを欲しない夫との夫婦関係に悩んで
いましたが、ある日、エドワード8世とウォリスをテーマにした展覧会に足を運ん
だウォリーは、同じ女性としてウォリスの生き方にひかれて行きます。
しかし、自由奔放ですべてを手にしたと思われるウォリス・シンプソンにも、知ら
れざる苦悩があったのです・・・。
監督マドンナは、富や名声は好きだが、それを手にしても何か虚しさが残るとい
うところに共感したと述べているそうです。でも物語の構成・展開の全てに説明
が不足している演出で、今作は不満です。
良かったのは自分自身が歌っている主題歌で、ゴールデングローブ賞で主題歌
賞を獲得しているようには上手く運ばなかったようです。
(11/6 T・ジョイ博多 4日目 13:45の回 12人)
PS: イギリスに出かける前に出来るだけ映画の感想をアップしておきたい
ので、明日土曜日もご覧ください。
↑ マドンナの監督風景。