かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

古代史の謎は「鉄」で解ける

2016年09月09日 | Books



長野さんの新作。
前作では、古代、瀬戸内海を航海する技術はなかった、能登半島は、陸路を横断したなど、斬新な説を打ち出し、本作でも、目から鱗の説が飛び出した。

前作では、海路という切り口から、古代史を読み解いたが、今回は、鉄の流れから、古代史を読み解こうとしている。
まず、驚いたのは、鉄文化は、朝鮮半島からスタートしているということ。
漠然と、中国発と思っていたのだが、中国も、朝鮮半島の鉄を求めていたのだ。
そして、高句麗の強大化に伴い、日本に倭人が、流入。
そして、日本の各地に、鉄の文化が伝播した。
しかし、その伝播は、局地的なものもあり、決して、日本書紀が説くようなストーリーにはならない。
特に、大和への伝播は遅く、日本書紀でいう歴史のほとんどは、作り話としか考えられない。

私は、九州の遺跡を回った時、鉄の武具の多さに圧倒されたが、まさにそういうことなのだろう。

もっとびっくりは、多く造られた前方後円墳は、鉄の交易のための施設だったと説く。
確かに、祭祀の場所と言われているが、その根拠は、多くない。
場所といい、その姿といい、交易市場という説はありえる。
前方後円墳が作られなくなったのは、鉄の供給が安定し、交易の重要性が低下したからと説く。
しかし、確かに石室があって、遺骨が収められているケースもあり、その辺をどう考えるかの説明はない。

長野さんの説は、実際の発掘物を、時代毎に分析し、韓国の情勢、ヨーロッパでのケースとの比較等を加え、独自性があり、面白い。
ここから、新たな議論の発展があれば、古代史も塗り変わっていくのだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする