北海道新幹線が具体化しそうだ

カネがあるなら新幹線だろうとモノレールだろうが、夢をのせることができる。そんなことはいうまでもない。しかし今どのレベルをとってもカネがないという声を聞かなくても良い所がないほど財政は苦しい。
そういう状況で、道新幹線の札幌延伸が決まったと今朝の北海道新聞はトップニュースで伝えている。来年着工とのこと。そして完成に20~25年かかるらしい。私は生きていれば100歳に近い。札幌から東京まで新幹線で行ってみることができるか、などと想像もしたいところだ。

この決定を、いろいろな所が「歓迎」し、喜んでいると記している。しかし道新の記事を注意深く見るとそう事態は甘くないことを知ることができる。
まず工事費だ。2003年の国交省の計算では1兆800億円とされる。この3分の1は地元負担、といってもその大半は道が負担する。解説によれば、3分の1の3,600億円の45%は地方交付税で穴埋めされるから、実質負担は1,980億円という。工期が20年とすれば、毎年99億円の負担になると記している。
とはいうものの、という感じがするのは、まず道新第一面で工事費の見込額は1兆4000~5000億円と報道する。こちらの方が最新資料なのだろう。だから負担額はもっと大きくなる。また地方交付税で穴埋めとあるが、「穴埋め」されたら置き去りにされた所はそれだけ大きな穴があくことになるではないか。

この新幹線が通ることになれば、在来線は今のJRから切り離されて、第三セクター鉄道となる。これまた沿線自治体の負担になる。反対という自治体(函館が最後まで反対したようだ)を、北海道が説得した。要するに、「道が最終的には面倒をみるから」ということらしい。ここから出てくる道負担額もある。

カネだけとってもちょっと想像を超える額が出てくる。しかし、この着工にともなう利点もたくさんあるとのことだ。雇用増、地元企業にも仕事が回ってくる、など。何よりも完成したら、人の往き来が活発になり、それだけ社会の活性化に通じる。

本当か?という心配がまた出てくる。新幹線で東京までの時間は5時間弱。運賃はいくらになるか、道新も想像料金も記していない。飛行機代がどんどん安くなって、1万円前後で千歳-東京がつながる時世だ。かかる時間も早い。北海道各地に関東・東北の人たちがどんどんやってくるかも知れないが、「とらぬ狸の皮算用」にならないだろうか。計算する「効果」は、足し算とかけ算でいくらでもプラスになるのだが、いうほどの利益にならないのではないか。そのプラス面よりも、重い重い経済負担が道民の肩にのしかかってくることを想像するなら、喜ぶことと心配することと、どちらが的を射ているか、どうも後者のようだという気がしてならない。
ましてこれからは人口減だ。20年先の日本人の数はどれだけ減っているだろう。なんでも心配の種が増えるし、この種が大きくなってくる。取り越し苦労だよ、と説明してくれる人はいないだろうか。

 

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