「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

真冬の滞在@八ヶ岳西麓原村(11)  斧

2010-01-02 10:22:36 | 八ヶ岳西麓の楽しい暮らし
今までに何本の斧を使ったことか。刃の形状、刃の厚み、刃の重量、柄の長さ等により、斧の使い勝手がずいぶん違う。現在私がメインに使っているのが、このドイツ製SPALTHAMMERである。ヘッド(刃)部分だけの重量でちょうど3kgある。通常の薪割り斧としてはかなり重い方になる。この斧の重量、柄の長さ(90cm)は、日本ではあまり人気がないレンジに属するだろう。やや重過ぎ、長過ぎるのである。これはその商品名の通り薪材を「割る」あるいは「裂く」道具であって、決して「切って」いるわけではないので、あまり鈍いのは困るが刃の「切れ味」自体はそれほど斧の能力に影響がない。



これでバンバン薪を割り、玄関脇に積み上げる。理想的には、適度な時期に薪を全部割って積み上げ、必要に応じて使うのが本来の姿である。しかし私はその方法を取らない。玉切り状態で放置し、山荘滞在中に必用な分だけ割って使っている。玉切り状態で長期間放置すると、中には異様に硬くなる薪材もあるが、この斧とさらに強力なマジック斧で全部割っている。



いろいろ斧を使って来たが、20年前、最初に手にしたのはこれだった。和斧である。刃の厚みが最も太い部分で4cm。



使わないものを取っておく趣味はない私だが、なんだかこれは捨てる気にならず、初めて自分のものになった斧の刃として今も保存している。



私は薪割りの土台としての太い輪切り丸太を利用しない。これは異端的方法だ。あるサイトでそのことを書いたらいろいろな反応があったが、最多なのは「足元に斧の刃が来て危険だ」というものだった。しかし90cmの柄のこの斧(下の画像)を米国製シャツなら16 1/2 - 34インチを着るアームの長さの私が使うと、刃が足元に来ることはあり得ない。常に足先から1m近く先に刃があることになる。斧は頭上から円を描いて振り降ろし、肩の高さまで来たら、あとはずっと下までほぼ垂直に落ちるよう腰を落とす。足元に来させようと思っても無理である。

私は米国についてはマンハッタン以外をほとんど知らない。ハワイすら行ったことがない。でも一か所だけニュージャージー州の森の中のある豪邸を訪問したことがある。その豪邸の主は、今思い出しても異様に長い柄の斧を使い、土台なしで大木の玉切りを斧で薪に仕立てていた。玉切りを数十個一列に立てて並べておいて物凄いスピードで順番に割って行くのである。土台など悠長に使っていられないのだろう。斧の柄の長さは1mを軽く超えたと思う。最近そのような柄を持つ斧を探してみたが、どこを見ても売っていなかった。しかし柄だけをオーダーすることは可能なようである。



斧をどう使うかというテクニカルな問題は斧の破壊力に影響する。しかしどういう斧を選ぶかは、遥かに大きく破壊力に影響する。テクニカルな問題を克服することで100のパワーが120にはなろう。しかし斧を替えるだけで、そのパワーがあっさり250にもなる。このことをいろいろな斧で私は体験した。ハンドカット・ログハウス全盛時代の昔はもっと薪ストーブや薪割りについてのスクールみたいなものが多かったのだ。また20年の間に個人的にもいろいろな斧を買ってみた。だから以前は斧の振り方や他のテクニックをあれこれ試したりしたが、今は止めてしまった。現在利用中の斧なら、どんな使い方をしてもあっさり薪が割れるからだ。斧の選択論と比較すると、技術論はあまりに小さな問題なのである。

結局破壊力の多くが刃の厚みと重さ、さらに少しは柄の長さで決まってしまう。このヘッド3kg、柄90cmのSPALTHAMMER(下)は、通常の斧の中では破壊力的に最大級のものだろう。重さも大事だが、刃の厚みは非常に重要だ。この厚みで薪を裂くのである。



刃の厚みと重さという要素を極めたのが、これだ(下)。マジック斧である。どうしようもない木(よほどの癖があるか、硬過ぎる場合)に対して、たまに使う。これを振り回すのはかなりの体力を必用とするので、便利と知りながらも実際に買う人は少ない。



マジック斧は米国製である。いかにも米国製で「・・・クサビとして使用してはいけません。使用時は専用のメガネをしなければいけません。ハンマーの代わりに使ってはいけません。肉の調理に使ってはいけません・・・」などと書いてある(最後のは冗談、念のため)。メーカー名はBrave Products Inc.というらしい。これまたちょっと滑稽な名前だの会社だ。



斧の作業をする時は、薪材を持って歩くことも多い。だからいつもこの革手袋をしている。ご存じアウトドア通販の雄Cabela's社特製の手袋である。分厚い革で、ほっそりした形だ。長靴のふくらはぎ部分同様日本製の手袋の甲は幅広なものが多く手にフィットしにくい。なぜかアチラ製だと長靴のふくらはぎも手袋の甲もスッと密着して激しい動きにも耐えるものが多い。Mサイズだと私にぴったりである。



この手袋をはめて私が薪割りをしていると、ご近所の方がちょうど散歩にお出掛けになるところで、私に声をかけて来た。斧、薪、ストーブについて話をする。私が以前書いていたホームページ(今はない)を彼はご覧になっていたらしい。そして「最近八ケ岳山麓の山荘生活密着型ホームページがなくなり、代わりに観光日記のようなブログばかりが増えた」とこぼしておられた。

確かに私もそんな気がする。ブログなんて形態が存在しなかった10年くらい前には、八ケ岳の山荘オーナーが苦労してホームページをシコシコと作成し、建設機械を使った土地の開墾、簡易舗装による進入路づくり、山荘建築、ハンドカット・ログハウスのチェーンソーワーク、カッティング方法、チェーンソーのメンテや比較、薪割り斧やストーブ比較、米国事情、クルマの使い方、工事中の電気のないところでのクッキング等についての彼らの長く深い経験を、自分の言葉で自分の意見として語っていたように思う。その後そうしたサイトの多くが姿を消した。

数の上ではそれ以上に新しいサイトが生まれているが、確かに昔のホームページと比べるとなんだか軽い。ひとつはこの私のサイトと同様、ブログというなんとも軽い形式を利用する人が多いのが理由だろう。もうひとつは新たにオーナーになった人が多く、時間的にも物量的にもあらゆることについてあまり経験がないので、他との比較も不可能なのだ。隣人が言うようにそれらは「観光日記」的であり、それはそれで寧ろ明るく楽しい。しかしかつてインターネットが急速に広がった90年代後半に八ケ岳山麓関連ホームページの先兵となったオーナー達は、その時点ですでに別荘でも薪ストーブでも長い体験を持っていて、それを延々と彼ら自身の言葉で語っていて内容がかなり濃いものだった。雑誌「田舎暮らしの本」と同じである。あれは昔の方が内容が濃くて、自給自足的田舎人あるいはそれに近い別荘族、永住者のための雑誌だった。今は気軽な別荘族、あるいは退職後の年金族のための雑誌になっている。



お世辞を言うわけではないが、同じ原村で私の山荘から近い場所に山荘をお持ちの原村さんのブログ「週末を原村で」は面白い。カテゴリーは広い。その中でしばしば原村の生活についての原村さんの実体的経験が、ご自身の言葉で詳細に語られている。別荘族ではあるがブログの言葉や分析に迫力があるのだ。

草刈機、チェーンソーの分解掃除をし、その経過を紹介なさる。複数をご利用であり、その比較も出来るのであろう。ご自身の別荘からスグの諏訪南ICを使って中央道に乗るのと、鉢巻道路を通り小淵沢ICから中央道に乗るのと、距離と時間がどう違うかを比較する!なんてことを大真面目にやって公開もしておられる。斧も同様である。いつだったか、ご自身も持っておられる北欧の人気斧ブランドを「人気倒れ」と評された。他人の真似やどこかに書いてあることの孫引きではなく、多様な経験、独自の意見をご自分の言葉で明確に語られるところが貴重であり、私には面白い。
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真冬の滞在@八ヶ岳西麓原村(10) 薪ストーブ / アンコール・エヴァーバーン

2010-01-02 00:01:31 | 八ヶ岳西麓の楽しい暮らし
茶々之介もスヤスヤ。薪ストーブの暖房はほんわりと部屋を暖かくする。

今の薪ストーブは私にとって3台目の薪ストーブだ。1台目は以前所有していた山荘で使っていたもので使い易かったが、その山荘の売却とともに手放す羽目になった。2台目は今の山荘の建築時に設置したものだがあまりに使い勝手が悪く、9年使用したところで嫌気がさしてこの3台目に置き換えた。3台目は薪ストーブ好きな人なら誰もが知る米国Vermont Castings社のストーブで、機種名をアンコール・エヴァーバーンという。有名な同社のストーブにアンコールという機種名のものが以前からあって、それは二次燃焼に関しは触媒付きで処理するモデルある。一方このアンコール・エヴァーバーンは触媒なしのクリーン・バーン方式を採用して、只今人気急上昇中だ。



ただし米国本国では触媒ありとなしをアンコールとアンコール・エヴァーバーンという機種名で区別する方式はとっていない。もっと単純直截にCatalytic Encore、Non-Catalytic Encoreと呼ぶようだ。同じクルマの呼び名を市場で分けて、日本と米国で異なる名で発売するのと似ている。それぞれのマーケット事情があるので、そういう営業判断が働いたのだろう。



クリーン・バーン方式についても、米国製より北欧製のストーブの方が先行していたと思う。環境対応については米国はなんでも後追いだ。ところが北欧製のストーブの新しいモデルはデザインがあまりに現代的なものが多い。その点VC社はなぜだか知らないが、いつまで経っても同じようなクラシックなデザインのモノを作り続けている。私にはそれが有難い。下の画像は鍋置き棚の支柱。デフォルメされたドラゴンの模様だ。



面白いのはレバー類がすべて木製であることだ。これは薪ストーブのレバーでは少数派的な考え方だと思う。触る時に手袋を必要としないので便利だ。下の画像は側面左側のダンパーのレバーである。



次の画像は側面右側の空気取入れ口のレバー。これも木製である。ストーブ本体がどんなに高温になっていても、このレバーは素手で触れる。なにせ熱く乾燥する場所だから、金属製にした方が耐久性もありそうなものだが。どのような木を使っているのだろうか。レバーの中心部に穴を貫通させてあるので、全部が崩壊するようなことにはならないだろうが、よほど粘り気のある木でないと、乾燥により亀裂が入るのではないかと心配になる。ひょっとしてバラを用いているのか? 私は晩年の父に英国製の杖をプレゼントしたが、その取っ手部分はバラ材で作られていた。バラ材をこうした部品に使うと言うと、日本ではちょっと驚かれるかもしれないが、英国ではよくあることだ。



次の画像には3つのレバーが写っている。一番上のが天板の開閉のためのもの。真ん中の白いのが前面扉の開閉のためのもの。右下隅にある小さく黒いのが灰受け皿の扉の開閉のためのものだ。この中で真ん中の白いのだけが、セラミック製である。どうしてここだけがセラミック製なのかと考えると、想像するに、ここが一番温度が上がるからであろう。ガラスの前で非常に熱くなる場所だから、木製を止めてセラミックにしたのだろう。しかし逆にそうだとすると、他の木製レバーも時間をかけて破損への道を歩んでいるのではないか。他の場所も十分熱く、乾燥しているのだから。私がメーカーなら、きっと金属製にするだろうなぁ・・・などと言うと日本に多数いる熱烈なVCフリーク達に叱られるか。



ミトンラックに濡れた手袋をぶら下げたところ。



このようにして使う。



クラシックな薪ストーブには、銅製のケトルが合う。新潟の銅製品メーカーから通販で購入した。見た目だけではない。実際お茶を淹れるには科学的にも鉄のものより銅が良いと、いろいろな本に書いてある。



ストーブ下のゴミつかみに注目。ステンレス製のホームセンターで200円くらいで売っているやつ。よくある高価な鋳鉄製の「薪ストーブ用お道具4本セット」など不要。これがあれば、後は工夫と馴れですべて片付く。



この分厚いスエードの手袋を薪の投入に使う。これも薪ストーブ専門のものではない。ダッチ・オーブンで有名なロッジ社のダッチ・オーブン用手袋を米国の通販で安く買って流用している。燃え盛るアンコール・エヴァーバーンというか、Non-Catalytic Enocreに薪を追加投入するために開けられるのは天板だけである(文句ばかりで悪いが、その点はちょっと不便なストーブである。側面が開かないストーブなのだ。珍しいのではないか)。そうしたストーブに薪を投入し、燃え盛る炎に対抗して薪の位置を微調整するには、これが要る。

加えて言えば、灰の受け皿が今まで見た中で一番小さいのがVC社のストーブ達だ。朝から晩まで焚くなら2日間灰を貯め込むのはちょっとつらいくらいの容量しかない。



VC社のストーブにケチばかりつけているように見えるかもしれない。しかし物事はなんでもOK、100点満点というわけではない。実際のビジネスや芸術や土地建物や人間自身と同じだ。

同社のストーブも良い所はいっぱいある。先述のオプションが豊富なところも有難い。VC社の営業戦略の勝利である。そしてやはり「賢い」ところが最大のメリットだろう。巡航速度に入ったら後はうまく炎を調整し、適度に薪を補給して行けば、一定の燃焼を確保するところは見事である。私が個人的に今まで経験したストーブの中では、このNC Encoreが最も見事にそれをやってのける。非常に楽である。ストーブの基本性能で最も重要なポイントだ。



なるべく室内温度も一定に保とう。焚き過ぎは不快であり、薪がもったいない。



補助暖房の石油ストーブ。微弱なものだが、薪ストーブで室内が暖まるまで、このそばにいれば少しは助かる。電気もかなり使い、40畳くらいをスグに温める強烈な石油ストーブを以前は使っていたが、マイナスになる寒冷地で普段は使わず、たまに来て作動させることを繰り返すうちに、あっさり壊れてしまった。それ以来これを利用。これなら壊れようがない。



ストーブ設置場所は不揃いなレンガで作ってある。焼きムラあり、形も不揃い。おまけに間に入れたセメントもはみ出し放題。最後のは意図的なものだ。ベテラン左官屋さんの現場での思いつきでこうなった。「こういうレンガはこうして」ということらしい。



こちらも同じレンガ。焼きムラだらけ。



暖かいよ、とーちゃん。眠いわ、おれ。おれはストーブの仕組みや比較には関心ないの。

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