今までに何本の斧を使ったことか。刃の形状、刃の厚み、刃の重量、柄の長さ等により、斧の使い勝手がずいぶん違う。現在私がメインに使っているのが、このドイツ製SPALTHAMMERである。ヘッド(刃)部分だけの重量でちょうど3kgある。通常の薪割り斧としてはかなり重い方になる。この斧の重量、柄の長さ(90cm)は、日本ではあまり人気がないレンジに属するだろう。やや重過ぎ、長過ぎるのである。これはその商品名の通り薪材を「割る」あるいは「裂く」道具であって、決して「切って」いるわけではないので、あまり鈍いのは困るが刃の「切れ味」自体はそれほど斧の能力に影響がない。
これでバンバン薪を割り、玄関脇に積み上げる。理想的には、適度な時期に薪を全部割って積み上げ、必要に応じて使うのが本来の姿である。しかし私はその方法を取らない。玉切り状態で放置し、山荘滞在中に必用な分だけ割って使っている。玉切り状態で長期間放置すると、中には異様に硬くなる薪材もあるが、この斧とさらに強力なマジック斧で全部割っている。
いろいろ斧を使って来たが、20年前、最初に手にしたのはこれだった。和斧である。刃の厚みが最も太い部分で4cm。
使わないものを取っておく趣味はない私だが、なんだかこれは捨てる気にならず、初めて自分のものになった斧の刃として今も保存している。
私は薪割りの土台としての太い輪切り丸太を利用しない。これは異端的方法だ。あるサイトでそのことを書いたらいろいろな反応があったが、最多なのは「足元に斧の刃が来て危険だ」というものだった。しかし90cmの柄のこの斧(下の画像)を米国製シャツなら16 1/2 - 34インチを着るアームの長さの私が使うと、刃が足元に来ることはあり得ない。常に足先から1m近く先に刃があることになる。斧は頭上から円を描いて振り降ろし、肩の高さまで来たら、あとはずっと下までほぼ垂直に落ちるよう腰を落とす。足元に来させようと思っても無理である。
私は米国についてはマンハッタン以外をほとんど知らない。ハワイすら行ったことがない。でも一か所だけニュージャージー州の森の中のある豪邸を訪問したことがある。その豪邸の主は、今思い出しても異様に長い柄の斧を使い、土台なしで大木の玉切りを斧で薪に仕立てていた。玉切りを数十個一列に立てて並べておいて物凄いスピードで順番に割って行くのである。土台など悠長に使っていられないのだろう。斧の柄の長さは1mを軽く超えたと思う。最近そのような柄を持つ斧を探してみたが、どこを見ても売っていなかった。しかし柄だけをオーダーすることは可能なようである。
斧をどう使うかというテクニカルな問題は斧の破壊力に影響する。しかしどういう斧を選ぶかは、遥かに大きく破壊力に影響する。テクニカルな問題を克服することで100のパワーが120にはなろう。しかし斧を替えるだけで、そのパワーがあっさり250にもなる。このことをいろいろな斧で私は体験した。ハンドカット・ログハウス全盛時代の昔はもっと薪ストーブや薪割りについてのスクールみたいなものが多かったのだ。また20年の間に個人的にもいろいろな斧を買ってみた。だから以前は斧の振り方や他のテクニックをあれこれ試したりしたが、今は止めてしまった。現在利用中の斧なら、どんな使い方をしてもあっさり薪が割れるからだ。斧の選択論と比較すると、技術論はあまりに小さな問題なのである。
結局破壊力の多くが刃の厚みと重さ、さらに少しは柄の長さで決まってしまう。このヘッド3kg、柄90cmのSPALTHAMMER(下)は、通常の斧の中では破壊力的に最大級のものだろう。重さも大事だが、刃の厚みは非常に重要だ。この厚みで薪を裂くのである。
刃の厚みと重さという要素を極めたのが、これだ(下)。マジック斧である。どうしようもない木(よほどの癖があるか、硬過ぎる場合)に対して、たまに使う。これを振り回すのはかなりの体力を必用とするので、便利と知りながらも実際に買う人は少ない。
マジック斧は米国製である。いかにも米国製で「・・・クサビとして使用してはいけません。使用時は専用のメガネをしなければいけません。ハンマーの代わりに使ってはいけません。肉の調理に使ってはいけません・・・」などと書いてある(最後のは冗談、念のため)。メーカー名はBrave Products Inc.というらしい。これまたちょっと滑稽な名前だの会社だ。
斧の作業をする時は、薪材を持って歩くことも多い。だからいつもこの革手袋をしている。ご存じアウトドア通販の雄Cabela's社特製の手袋である。分厚い革で、ほっそりした形だ。長靴のふくらはぎ部分同様日本製の手袋の甲は幅広なものが多く手にフィットしにくい。なぜかアチラ製だと長靴のふくらはぎも手袋の甲もスッと密着して激しい動きにも耐えるものが多い。Mサイズだと私にぴったりである。
この手袋をはめて私が薪割りをしていると、ご近所の方がちょうど散歩にお出掛けになるところで、私に声をかけて来た。斧、薪、ストーブについて話をする。私が以前書いていたホームページ(今はない)を彼はご覧になっていたらしい。そして「最近八ケ岳山麓の山荘生活密着型ホームページがなくなり、代わりに観光日記のようなブログばかりが増えた」とこぼしておられた。
確かに私もそんな気がする。ブログなんて形態が存在しなかった10年くらい前には、八ケ岳の山荘オーナーが苦労してホームページをシコシコと作成し、建設機械を使った土地の開墾、簡易舗装による進入路づくり、山荘建築、ハンドカット・ログハウスのチェーンソーワーク、カッティング方法、チェーンソーのメンテや比較、薪割り斧やストーブ比較、米国事情、クルマの使い方、工事中の電気のないところでのクッキング等についての彼らの長く深い経験を、自分の言葉で自分の意見として語っていたように思う。その後そうしたサイトの多くが姿を消した。
数の上ではそれ以上に新しいサイトが生まれているが、確かに昔のホームページと比べるとなんだか軽い。ひとつはこの私のサイトと同様、ブログというなんとも軽い形式を利用する人が多いのが理由だろう。もうひとつは新たにオーナーになった人が多く、時間的にも物量的にもあらゆることについてあまり経験がないので、他との比較も不可能なのだ。隣人が言うようにそれらは「観光日記」的であり、それはそれで寧ろ明るく楽しい。しかしかつてインターネットが急速に広がった90年代後半に八ケ岳山麓関連ホームページの先兵となったオーナー達は、その時点ですでに別荘でも薪ストーブでも長い体験を持っていて、それを延々と彼ら自身の言葉で語っていて内容がかなり濃いものだった。雑誌「田舎暮らしの本」と同じである。あれは昔の方が内容が濃くて、自給自足的田舎人あるいはそれに近い別荘族、永住者のための雑誌だった。今は気軽な別荘族、あるいは退職後の年金族のための雑誌になっている。
お世辞を言うわけではないが、同じ原村で私の山荘から近い場所に山荘をお持ちの原村さんのブログ「週末を原村で」は面白い。カテゴリーは広い。その中でしばしば原村の生活についての原村さんの実体的経験が、ご自身の言葉で詳細に語られている。別荘族ではあるがブログの言葉や分析に迫力があるのだ。
草刈機、チェーンソーの分解掃除をし、その経過を紹介なさる。複数をご利用であり、その比較も出来るのであろう。ご自身の別荘からスグの諏訪南ICを使って中央道に乗るのと、鉢巻道路を通り小淵沢ICから中央道に乗るのと、距離と時間がどう違うかを比較する!なんてことを大真面目にやって公開もしておられる。斧も同様である。いつだったか、ご自身も持っておられる北欧の人気斧ブランドを「人気倒れ」と評された。他人の真似やどこかに書いてあることの孫引きではなく、多様な経験、独自の意見をご自分の言葉で明確に語られるところが貴重であり、私には面白い。
これでバンバン薪を割り、玄関脇に積み上げる。理想的には、適度な時期に薪を全部割って積み上げ、必要に応じて使うのが本来の姿である。しかし私はその方法を取らない。玉切り状態で放置し、山荘滞在中に必用な分だけ割って使っている。玉切り状態で長期間放置すると、中には異様に硬くなる薪材もあるが、この斧とさらに強力なマジック斧で全部割っている。
いろいろ斧を使って来たが、20年前、最初に手にしたのはこれだった。和斧である。刃の厚みが最も太い部分で4cm。
使わないものを取っておく趣味はない私だが、なんだかこれは捨てる気にならず、初めて自分のものになった斧の刃として今も保存している。
私は薪割りの土台としての太い輪切り丸太を利用しない。これは異端的方法だ。あるサイトでそのことを書いたらいろいろな反応があったが、最多なのは「足元に斧の刃が来て危険だ」というものだった。しかし90cmの柄のこの斧(下の画像)を米国製シャツなら16 1/2 - 34インチを着るアームの長さの私が使うと、刃が足元に来ることはあり得ない。常に足先から1m近く先に刃があることになる。斧は頭上から円を描いて振り降ろし、肩の高さまで来たら、あとはずっと下までほぼ垂直に落ちるよう腰を落とす。足元に来させようと思っても無理である。
私は米国についてはマンハッタン以外をほとんど知らない。ハワイすら行ったことがない。でも一か所だけニュージャージー州の森の中のある豪邸を訪問したことがある。その豪邸の主は、今思い出しても異様に長い柄の斧を使い、土台なしで大木の玉切りを斧で薪に仕立てていた。玉切りを数十個一列に立てて並べておいて物凄いスピードで順番に割って行くのである。土台など悠長に使っていられないのだろう。斧の柄の長さは1mを軽く超えたと思う。最近そのような柄を持つ斧を探してみたが、どこを見ても売っていなかった。しかし柄だけをオーダーすることは可能なようである。
斧をどう使うかというテクニカルな問題は斧の破壊力に影響する。しかしどういう斧を選ぶかは、遥かに大きく破壊力に影響する。テクニカルな問題を克服することで100のパワーが120にはなろう。しかし斧を替えるだけで、そのパワーがあっさり250にもなる。このことをいろいろな斧で私は体験した。ハンドカット・ログハウス全盛時代の昔はもっと薪ストーブや薪割りについてのスクールみたいなものが多かったのだ。また20年の間に個人的にもいろいろな斧を買ってみた。だから以前は斧の振り方や他のテクニックをあれこれ試したりしたが、今は止めてしまった。現在利用中の斧なら、どんな使い方をしてもあっさり薪が割れるからだ。斧の選択論と比較すると、技術論はあまりに小さな問題なのである。
結局破壊力の多くが刃の厚みと重さ、さらに少しは柄の長さで決まってしまう。このヘッド3kg、柄90cmのSPALTHAMMER(下)は、通常の斧の中では破壊力的に最大級のものだろう。重さも大事だが、刃の厚みは非常に重要だ。この厚みで薪を裂くのである。
刃の厚みと重さという要素を極めたのが、これだ(下)。マジック斧である。どうしようもない木(よほどの癖があるか、硬過ぎる場合)に対して、たまに使う。これを振り回すのはかなりの体力を必用とするので、便利と知りながらも実際に買う人は少ない。
マジック斧は米国製である。いかにも米国製で「・・・クサビとして使用してはいけません。使用時は専用のメガネをしなければいけません。ハンマーの代わりに使ってはいけません。肉の調理に使ってはいけません・・・」などと書いてある(最後のは冗談、念のため)。メーカー名はBrave Products Inc.というらしい。これまたちょっと滑稽な名前だの会社だ。
斧の作業をする時は、薪材を持って歩くことも多い。だからいつもこの革手袋をしている。ご存じアウトドア通販の雄Cabela's社特製の手袋である。分厚い革で、ほっそりした形だ。長靴のふくらはぎ部分同様日本製の手袋の甲は幅広なものが多く手にフィットしにくい。なぜかアチラ製だと長靴のふくらはぎも手袋の甲もスッと密着して激しい動きにも耐えるものが多い。Mサイズだと私にぴったりである。
この手袋をはめて私が薪割りをしていると、ご近所の方がちょうど散歩にお出掛けになるところで、私に声をかけて来た。斧、薪、ストーブについて話をする。私が以前書いていたホームページ(今はない)を彼はご覧になっていたらしい。そして「最近八ケ岳山麓の山荘生活密着型ホームページがなくなり、代わりに観光日記のようなブログばかりが増えた」とこぼしておられた。
確かに私もそんな気がする。ブログなんて形態が存在しなかった10年くらい前には、八ケ岳の山荘オーナーが苦労してホームページをシコシコと作成し、建設機械を使った土地の開墾、簡易舗装による進入路づくり、山荘建築、ハンドカット・ログハウスのチェーンソーワーク、カッティング方法、チェーンソーのメンテや比較、薪割り斧やストーブ比較、米国事情、クルマの使い方、工事中の電気のないところでのクッキング等についての彼らの長く深い経験を、自分の言葉で自分の意見として語っていたように思う。その後そうしたサイトの多くが姿を消した。
数の上ではそれ以上に新しいサイトが生まれているが、確かに昔のホームページと比べるとなんだか軽い。ひとつはこの私のサイトと同様、ブログというなんとも軽い形式を利用する人が多いのが理由だろう。もうひとつは新たにオーナーになった人が多く、時間的にも物量的にもあらゆることについてあまり経験がないので、他との比較も不可能なのだ。隣人が言うようにそれらは「観光日記」的であり、それはそれで寧ろ明るく楽しい。しかしかつてインターネットが急速に広がった90年代後半に八ケ岳山麓関連ホームページの先兵となったオーナー達は、その時点ですでに別荘でも薪ストーブでも長い体験を持っていて、それを延々と彼ら自身の言葉で語っていて内容がかなり濃いものだった。雑誌「田舎暮らしの本」と同じである。あれは昔の方が内容が濃くて、自給自足的田舎人あるいはそれに近い別荘族、永住者のための雑誌だった。今は気軽な別荘族、あるいは退職後の年金族のための雑誌になっている。
お世辞を言うわけではないが、同じ原村で私の山荘から近い場所に山荘をお持ちの原村さんのブログ「週末を原村で」は面白い。カテゴリーは広い。その中でしばしば原村の生活についての原村さんの実体的経験が、ご自身の言葉で詳細に語られている。別荘族ではあるがブログの言葉や分析に迫力があるのだ。
草刈機、チェーンソーの分解掃除をし、その経過を紹介なさる。複数をご利用であり、その比較も出来るのであろう。ご自身の別荘からスグの諏訪南ICを使って中央道に乗るのと、鉢巻道路を通り小淵沢ICから中央道に乗るのと、距離と時間がどう違うかを比較する!なんてことを大真面目にやって公開もしておられる。斧も同様である。いつだったか、ご自身も持っておられる北欧の人気斧ブランドを「人気倒れ」と評された。他人の真似やどこかに書いてあることの孫引きではなく、多様な経験、独自の意見をご自分の言葉で明確に語られるところが貴重であり、私には面白い。
連日更新御苦労さま。
私も昔八ケ岳関連のHPをやってました。
ユンボで土地の開発もしたり、その記録も
載せたり。でもそんなHPはたくさんありました。
それに比べれば最近のサイトのほとんどは
確かに新米別荘族の「観光日記」的ですねえ。
あのレストラン行きました。おいしかったです。
この斧買いました。すごくよく切れました。
みたいな。
経験が少なく、比較も分析もない。
ブログという媒体のせいもあるでしょうねえ。
日記になってしまっている。
ホームページを維持している人も、よく見ると
ブログをあまり変わらない。
世の中がどんどん簡単になっていますね。
偏屈者の天邪鬼のブログを紹介頂き恐縮です。
言いたい放題、偏った考えも世の中にあるという偏屈者のブログです。
訪問される方も気分を害する人も居ると思いますので、訪問は程ほどに。
大変恐縮です。
先日、おちゃさんの記事を読み、今は亡き小田原の友を想い記事を書かせえ頂きました。
ありがとうございます。
はじめまして。
おいしそうな名前ですね。
タケノコさんは硬派田舎人的HPを運営して
おられたのですね。昔は大変なHPがいろいろと
ありましたね。今はキレイにブログなんだけど、
多くが確かに観光日記的です。
それもまた楽しいですけど、明らかに昔のHP
とは違う。
私もそうですが、ブログも日記でなく、
カテゴリーを目次に使って、HPとたいして
変わらない使い方も出来ますが、
なにせブログ形態ですから、見る人は
日記として見るでしょうし。
また是非硬派のHPを作って下さい。
いやーーいつも原村さんのご意見は独創的だ
と感心しておるのです。単に独創的だという
と誤解されるかもしれません。むしろ
読者が同感するしないとは別に、御自分で
経験し、分析して、その見解を堂々と発表
なさるとことは立派です。
小田原のご友人の記事、読みました。
長い間にはいろいろとありますね。
あけましておめでとうございます。
本年もよいお年でありますように。
薪ストーブ、あったかいでしょうね。
薪割りも一仕事ですが、その分あたたかくなるんですね。
我が家には薪ストーブがないので、あこがれです。
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
七里もさすがに寒いですね。
当り前ですけど。でも冬至を過ぎると
日増しに日照時間が長くなるのが感じられる
気がします。
薪ストーブはいいですよ。楽しみのひとつ
です。ただ薪代が馬鹿にならない。灯油の
値段が以前の倍以上になってますが、それでも
まだ安いですね。タダでもらえる廃材や
カラマツもありますが、いろいろとやっかいな
点もあり、それは使っていません。
七里でも最近結構見かけますね。なんだか
そのうちトラブルになりそうでちょっと怖い
けど。前の住宅街ではもめてましたから。
風向き次第でお隣の洗濯物が燻製みたいに
なりますから。