長野県諏訪郡原村の標高1600mにある土地を、私は新たな山荘を建てる場所として選んだ。以下が私の土地選びのポイントとなったと思う。
①標高が高いこと
その時点ですでに所有していた一軒目の山荘は、長野県東筑摩郡麻績村の標高1000mあたりにあった。東京に比べれば夏などはるかに快適なのだが、慣れてしまうとそれほど涼しいとも思わないのである。「もっと涼しいのが良い」と思い、八ヶ岳山麓では標高1500mあたりにある土地を数多く見て回った。
②土地の形状、地勢
使いやすさを考え、土地の形が正方形に近くて、あまり起伏のないことを条件とした。真っ平らな土地は面白みがないので嫌だが、傾斜地もあまり好まない。その代わり、すばらしい眺望にあこがれる、ということもなかった。というか、あきらめた。眺望の良いところは傾斜地が多かったのである。
③別荘地の地勢
自分の土地は平らでも、別荘地内にはある程度高低差があることを希望した。その方が私の好みである。周囲の景観に変化が出るのだ。
④別荘地の周りの環境
別荘地だけが森ですぐその周囲は開けた畑や集落、というところはあまり好みではなかった。開けた場所を希望するオーナー予備軍も多いらしいが、私は森が浅いのは嫌で、別荘地もそしてその周囲も森であり、別荘地にアプローチする時も森を抜けて行くようなところを希望した。
⑤大手の開発分譲地
これは意見の分かれるところである。出来ることなら、私も開発分譲地でないところに山荘を持ちたいと思う。ところがただの雑木林や元は畑だったようなところに山荘を建てた場合、すぐ隣に何が出来るかわからないのである。日本では残念ながらいきなり隣接地の木々が伐採されたり、そこが廃棄物置場になったり、あまりにも景観を乱すような建物が建ったり、ミニ開発になったりする可能性がある。長野県の大手分譲地の場合、多くは1000~1200平米という1区画あたりの最小面積規制を設け、分筆も法律的に不可能になっている。建物の高さ、色、面積等についてもいろいろと規制がある。悪い変化、つまりでたらめなものが隣に建ったり、ミニ開発状態になることもないと思われた。また標高が高いところでは、積雪もそれなりにある。除雪サービスは必須で、それにはしっかり管理された別荘地が望ましかった。
⑥所有権の土地
またもやお金の悩みである。当時私にキャッシュはない。あるのは自宅のローンだけだ。八ヶ岳西麓にも安くて大きな賃借権の別荘地分譲が結構あったが、その頃、賃借権の土地では銀行ローンを引き出すことは難しかった。銀行が抵当権を設定出来てローンを貸すことの出来る所有権の分譲地をみつけなければ、現金のない私は土地を買えなかった。所有権であることは、私の場合絶対に必要な条件だったのだ。
とまあ、なんだかんだと条件があった。あれこれ探して見つけたのが大手ディベロッパーの開発による分譲地の一区画である。その土地の形はほぼ正方形で、概ねフラットだった。しかし道路から離れ奥に向かって、ほんのわずかに高くなって行くのも理想的だった。正方形の4辺のうち2辺が道路に面していた。道路はしっかりしたアスファルトのつくりで、側溝も大きなものがついていた。その道路は別荘地の幹線で、とても幅が広かった(2車線)。しかしそこは別荘地の端っこに位置し、訪れる人も少なく非常に静かな環境だった。その土地を初めて訪れた時、6月というのに十分寒くて私の希望に合致(?)し、下界からの隔絶感があって初夏らしくカッコーが鳴いていた。周囲に建っている山荘も皆きれいで、ゆったりと建っているし、別荘地の管理状況も良いように思われた。ということで、あっさりそこに決めてしまった。決めただけで、まだ私のモノではなかったが。先立つものがなかったからだ・・・。