「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

鶏の照り焼き丼

2008-08-31 04:52:03 | 食べ物・飲み物


dancyuという雑誌をご存知だろうか。調べたことはないが、「男子厨房に入る」なんて意味なのだろう。飲食店の紹介が主だが、お店が公開するレシピも掲載されている。書店では料理雑誌のコーナーにはあまり置いてなくて、男性向けの総合月刊誌のコーナーに置いてあることが多い。

最新号は2008年9月号(上の画像)である。もうそろそろ書店から消えるはずだ。特集は焼鳥。紹介されている個性溢れる焼鳥店は無数。その紹介に混じって、鶏の照り焼き丼のレシピが載っていた。

作り方は簡単。まずは鶏のモモ肉をフライパンで焼き、表裏および中まで十分火が通ったところで、最後に5種類の調味料を混ぜて作ったタレのようなものを絡めるだけだ。調味料として必要な材料は以下のとおり:
 ●醤油
 ●酒
 ●みりん
 ●砂糖
 ●胡椒
この5種類を投入し煮詰まらない程度にサッと絡めるだけで、出来上がりだ。



ご覧のとおりである。焼いた時にモモ肉が縮まないように事前に筋を切っておくことや、焼いていると皮からドンドン出てくる脂を、こまめにペーパーで取り除くことが少しだけ面倒である。脂は取り除かないとしつこい味になってしまうらしい。また焼く時の火加減に悩んだが、妻にアドバイスを求めながら作ってみた。

調味料も絡み、なんとも美味そうに焼きあがったモモ肉を切ってご飯にのせ、その上からフライパンに残ったタレを少しかける。これがご飯にしみ込んで、子供も喜びそうな丼になる。レシピどおりに、我が家では上に海苔をのせただけだが、お好みで七味唐辛子も山椒も合いそうだ。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

のぼり梁(2)

2008-08-30 18:04:41 | 建築外観・構造

山荘ののぼり梁は前回述べたとおりのモノである。私はとても気に入っている。山荘は原村にある三井の森の別荘地内でも際立って小さいもので、すでにご覧の太い材を用いたティンバー・フレーム構法で建てようが、通常の在来軸組構法で建てようが、コストにそれほど大きな違いはなかったのである。ところが鎌倉七里ガ浜の自宅となると話は別だ。床面積も山荘よりは大きく、尚かつ土地取得にかかる費用が八ヶ岳山麓とは桁違いなので、建物にコストをかけている余裕が私にはなかった。

それでも私は自宅に対し、山荘に似た感覚を味わいたいと考えていた。画像は自宅ダイニング上の吹き抜けの天井である。白い部分が壁。山荘と異なり柱は露出していない。壁用ボードの上に下塗りをした上に、若干黄色味を帯びた白っぽいペイントが塗ってある。

天井材がパイン材。それと平行に走るのがダグラスファー(米松)の棟木である。のぼり梁は見られないが、抑えられた総コストの中で、ブレイスの丸山さんが上手く施工してくれたと思っている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

のぼり梁(1)

2008-08-30 02:36:43 | 八ヶ岳西麓の楽しい暮らし
八ヶ岳山麓の山荘を建ててもらうにあたり、私が重要視した外観・構造的概念は3つ。
①山小屋風で小さいこと
②正面から見てシンメトリーでシンプルな外観であること
③内部では柱等の構造を見せて昔の民家風にすること

①と②はお金がなくても簡単に実現可能だ。と言うよりも、①はむしろお金がない施主らしいリクエストである。しかし③は別で、これをするには、ある程度以上の木材を用いなければ貧弱で見ていられない。したがって③はコスト上昇要因である。



都市郊外の2階建て住宅とは異なり、別荘地では多くの建物が2階の壁を立ち上げていない。1階の壁を立ち上げ、その上にすぐ傾斜した屋根を乗せる。カネ勾配(45度の傾斜)の屋根も多い。その傾斜した屋根の下の、屋根裏とも言えるスペースを2階として使うことで、建物全体の高さを低めに保つ。

この背景には、建築家の多くが建物は低い方が美しいと考えていることがあるようだ。建物がいかに森の中に埋もれ溶け込めるか、いかに周囲の景観へのインパクトを減らせるか、という工夫のひとつなのだろう。長野県内の大型管理別荘地内で外壁の色、最低区画面積、建蔽率、容積率等と同様に、建物の高さについての法的規制がかなり厳しいのも、同様な行政側の考えによるものと思う。

画像は我が山荘の天井。我が山荘でも、2階の壁を立ち上げてはいない。1階の桁からいきなり屋根が始まるのである。私は屋根の構造、特にのぼり梁というものに憧れを持っていた。内部に壁面の柱や梁の構造を見せることにもこだわったが、屋根の勾配に沿って斜めに延びるのぼり梁を特に見せたかったのである。



小さな小屋でこんな大げさなことをしなくても、普通は桁、棟木の上にもっと薄い垂木を載せてしまえば、屋根の構造が完成する。内側から最終的にこれら全部を天井材となる板で塞ぐと、何も見えなくなる。それが普通の天井であろう。我が山荘では桁や棟木の上に太いのぼり梁を載せて、それを意図的に内側に見せているのである。

2階の屋根裏スペースを、山荘では寝室に充てている。この小さな山荘にはここしか寝室になりうる場所がない。私がのぼり梁をジッと見るのは、風呂上りで寝る前の時間に、ベッドに仰向けになっている時だ。のぼり梁が棟木と交差しているところを見て一人悦に入る。しかしその状態になると、私はたいして長い時間を起きていられず、たいていはすぐに寝てしまう。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

誕生日

2008-08-26 21:32:17 | 食べ物・飲み物

突然ですが、本日は管理人の誕生日(もはやあまりうれしくないが・・・)。

地元七里ガ浜のイタリアン・レストラン「アマルフィ」が最近出したケーキ店「アマルフィ・ドルチェ」(鎌倉市七里ガ浜1-3-14)で妻が買ってくれたケーキを食べた。画像の4個のうち右上と左下を私が食べ、それ以外は妻が。このお店のモノを初めて食べたがなかなかよく出来ていて、おみやげにも使えそうだ。本日は仕事で遠出して疲れているので、当ブログとしては短く終了。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

諏訪のハルピン・ラーメン

2008-08-24 09:58:24 | 八ヶ岳西麓の楽しい暮らし


我ら夫婦が八ヶ岳西麓で「お外でランチ!」と言えば、最も頻度高く訪問するのが原村の紅茶専門店DADAで紅茶と一緒に食べる食事か・・・あるいはぐっと標高が下って、諏訪のハルピン・ラーメンである。そしてそこで食べるのはニンニク・ラーメン。世にラーメン好きな人は多い。また最近はラーメン店もラーメンも新種が登場し、すこぶる品数が多い。誰もが「コレが一番」というラーメンを挙げることが出来よう。私もそうだ。私にとって「コレが一番」はこのハルピン・ラーメンが供する3種のラーメンのひとつであるニンニク・ラーメンである。

ハルピン・ラーメンの所在地は長野県諏訪市四賀飯島2336-2。国道20号線のバイパスで、平安堂諏訪店のある飯島交差点そばだ(と言ってもわかる人はわかるし、わからない人はわからないだろうが)。是非一度行ってみて欲しい。私もラーメンは小さい頃から食べ続けている。「3分待つのだぞ」のチキンラーメン以来、数多くラーメンを食べて来た。しかし、この店のニンニク・ラーメンは今まで食べた中で最高のラーメンだと思う。スープの味がなんとも複雑怪奇。秘伝のタレと称するものが私を魅了する。

ハルピン・ラーメンで食べられるラーメンは3種類:
●ハルピン・ラーメン 600円
●ニンニク・ラーメン 600円
●醤油ラーメン 500円
大盛り100円増し。
小麦粉を筆頭に食材の値段が高騰しているが、今年の盆休みシーズンには、ずっと前からのこの価格に変化はなかった。
尚、酒の用意はない。

上の画像はニンニク・ラーメンの大盛りだ。私はもっぱらこれである。麺は黄色い細めの縮れ麺でしっかりしている。スープは、何と説明すれば良いのだろうか。味噌味でも醤油味でも豚骨でもない、とにかく複雑で、(味覚的にもそこに溶け込む物質の重量的な意味でも)重ぉ~いスープなのである。スープの表面は茶色っぽい。しかし長年漬け込まれた様々な物質がスープの中に沈み込んでいるので、レンゲでスープを掻き混ぜると底から黒っぽい材料が浮き上がって来る。その黒い物質が浮き上がった瞬間に、縮れ麺をスープに絡め、一気に飲み込むと良い。そうすることで、スープの中に潜む何種類もの甘みと辛味とスパイス類をしっかりと感じ取ることが出来るだろう。中に含まれるいずれの味も強烈な個性を発揮しつつ見事に調和する。これで牛肉を煮込んで赤ワインと一緒にを食べたいものだ(店には売っていないが)。ラーメンとしては珍しい味わいである。



最近メニューに、このニンニク・ラーメンのスープによく漬けたゆで卵「寝かせにんにく卵」(150円)と豚飯(300円)が加わった。画像は半分サイズの子豚飯(150円)である。

11:00AM開店と同時にお客がどんどん入る。昼時は待ち席に行列が出来る。古くは諏訪の市街地中心部に店舗があったそうだが、こちらに移転した。何年も前に東京・高田馬場と早稲田の中間あたりに姉妹店が出来た(その後閉店)。東京で仕事中に私はその店の前を通ったことはあるが、その時はまだ開店前の工事中だった。工事の看板に「ハルピン・・・」と書いてあったので、これは?と思い調べたら姉妹店の工事だった。さらに今年は下諏訪にもお店が出来たと言う。未体験の方は是非一度どうぞ。

食べ方の2大原則:
●スープを掻き混ぜて底から黒い物質を浮かせ
●浮かせたらすぐに麺を絡め一気に飲み込む

尚、前記3種類のラーメンのうち、醤油ラーメンは辛いのが苦手な人用のメニュー。これも十分美味しい。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

御柱祭

2008-08-24 07:43:06 | 八ヶ岳西麓の楽しい暮らし


諏訪大社が出たのでついでに、御柱祭を。直近は2004年にあった。次は2010年である。来年の今頃は、次の御柱祭りに向けて諏訪地方は盛り上がっていることだろう。岡谷、下諏訪、諏訪、茅野、原、富士見の6市町村からなる諏訪地方は広大だ。また一口に諏訪大社と言っても上社と下社があり、上社には前宮、本宮、下社には春宮、秋宮がある。全部で4つ神社があるわけだ。

上社が荒っぽい感じがするのに対比して、下社は中山道や昔の温泉街も近く優美な感じがする。勝手に私が半住民だと思っている原村は、先の6市町村でも南に位置し、上社の地域に属する。したがって私も上社によくお参りする。下社にはほとんど行かない。



上の画像にあるのが上社本宮一の柱。2004年に八ヶ岳西麓で慎重に選定されて切り出され、原村の農場の横に設置。そこから祭りをスタートして皆でひきずり、穴山の大曲りも通り抜け、JR中央本線横の坂を落とし、宮川の冷たい水をものともせず、人力だけで持って来たものだ。なんとも原始的なイメージを保持する祭で、私は大好きである。真澄やダイヤ菊のパック酒を懐に入れて飲みながら歩き、グデングデンに酔っている人も多い。柱の坂落としでは怪我人も出る。不安定な丸太に大人が何十人も乗って、坂を滑り降りるのだからかなり危険である。

上社だけでも前宮に4本、本宮に4本の合計8本の柱を立てる。それを原村の農場から延々ひいて来るのだから大変だ。2004年の祭では、「今、何本目の柱がどのあたりを移動中」ということが、時々刻々更新され携帯サイトに掲載された。

下の画像は2004年に私が購入した諏訪地方統一法被である。本来法被は集落、地域ごとに異なるデザインがあるが、私はそれは持っていない。2010年の御柱祭もこの「統一」法被を着て、見に行ってみよう。

御柱祭の歴史を書いた本は多数ある。ウェブサイトもあるし、関心ある人は是非読んでみて下さい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

諏訪大社

2008-08-23 15:28:49 | 八ヶ岳西麓の楽しい暮らし


夏休み中に諏訪大社に行った。原村の山荘からはクルマで30分ほどだ。諏訪大社に行くのはこれで何度目だろうか。諏訪大社と言ってもいろいろある。私が行くのはたいてい諏訪大社上社の本宮である。諏訪大社については、本も沢山出ている。また多くのサイトで説明されているので、それらを参照して欲しい。男っぽい御柱祭を見るのも面白いが、諏訪大社の歴史を知ると御柱祭がもっと面白くなる。近くの神長官守矢資料館が楽しい。建築探偵こと藤森東大教授の設計による建物で、建築好きにはそれだけでも面白い。



ここで諏訪大社の歴史を書くつもりはまったくない。長過ぎて疲れそうだ。書きたかったのは上の画像。この夏上社本宮に行って驚いた。なんと駐車場がキレイに舗装されていた。ここは前回(半年ほど前か?)訪問した時まで、ずっと広い土(あるいは砂利)の駐車場であった。雨が降ると水溜りが出来るし、晴れれば砂埃がすごく、キレイに洗車した直後のクルマで行くのはちょっと気が引けるところだったのだ。

荒々しいイメージの上社本宮も、どんどん現代的にキレイになってゆく方向にあるらしい。お気軽にどうぞ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マグロの卵

2008-08-22 14:45:18 | 食べ物・飲み物

私の夏休み最後の平日である今日は、妻と三崎へお鮨を食べに出かけた。いつもの鮨処魚音である。なにもかもおいしい。素材は立派だし、ご飯の味加減やネタとご飯の関係も抜群で、「失敗した」という経験は今までにない。マグロも地魚も貝類もあれこれ食べまくり、最後はアナゴを二貫。ちょうど煮たてでラッキー。フワフワトロトロだった。お酒も含め食事全部のお値段はそれほど高いわけではないのだから、うれしい。帰り道はクルマのキーを妻に渡して、ドライバー交替。酔っ払いの私は、助手席へ。

食事後はすぐ近くの魚音本店へ。ここが本家の魚屋さんである。今日はマグロのみりん漬け、お店オリジナルのイカの塩辛(これがまたハラワタが効いてすごく深い味だ)、そして画像のマグロの卵を買った。マグロは、肉はもちろんのこと、内臓まで含めて全部食べられる。私が好きなもののひとつがこの卵だ。画像のような、あまり太くないものを濃い味に煮込んでごはんのおかずにする。「うまいうまい」といくらでも食べられる。ビールやお酒のつまみにも良い。ご覧のもので、本日の価格は1,000円。安かった。

マグロは三崎。三崎漁港の魚音ならマグロのどんな部位でも買える。前回訪問した時に買った魚音オリジナル・ポロシャツを着て行くのを忘れてしまった。また行こう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

管理別荘地(2)

2008-08-21 07:52:16 | 八ヶ岳西麓の楽しい暮らし


なんとも人工的な雰囲気であるという決定的に重要な短所を除くと、大手ディベロッパーの分譲別荘地も悪くない。むしろ長所はたくさんある。別荘地と言ってもいろいろあろうが、このしゃくなげの丘の別荘地の基礎的条件や管理体制として長所と思われるものは、前回書いた建築規制以外については、以下のとおり:

●道路の整備
これはかなり立派なものである。寒冷地の気候に耐える工事が行われている。三井の森の販売センターでもらった別荘地のパンフレットにも、その工程が書かれてあった。また上の画像のとおり、立派な側溝が設けられている。舗装をすればどうしてもこれが必要になる。

●ゴミの受入れ体制
これはいつでも可能。しっかりしたゴミ捨て場が別荘地内にある。いつもキレイに清掃されている。粗大ゴミは、別途有料で管理事務所が直接受け取ってくれる。これも別荘オーナーにとっては必要不可欠なサービスである。

●パトロール
管理センターのクルマが頻繁に別荘地内をパトロールしていて、怪しげな人、クルマの存在をチェックしている。

●防災
先ほどの側溝から流れ込む水が豪雨で一時的にものすごい量になった時、それを引き込んで貯める調整池(隣接のこけもも平)がある。火災については別荘地内の至るところに消火用の水栓とホースが完備されている。また別荘地オーナーは土地購入時にずいぶんな金額の大規模修理基金をデポジットさせられていて、災害の結果別荘地の大きな修復工事が必要となった場合、そこから経費が支払われるシステムになっている。

●除雪
これは重要だ。八ヶ岳山麓は驚くほど積雪が少ないが、それでも時々ドカ雪もある。別荘として利用する時、急にドカ雪になると除雪サービスがなければ別荘にたどり着けない。除雪作業は頻繁で、ちょっと雪が降るとすぐ巨大な除雪車が出動する。

●美観の維持・清掃
下の画像のとおり。道沿いの雑草が、よく刈られている。この状態を別荘地内の道路沿いの土地すべてについて常に維持している。

他にも道路に落ちた唐松の枝などを拾い集めたり、流れ込んだゴミが詰まる側溝の掃除、共用部分である公園の芝刈りや手入れ、テニスコートの管理などもある。

●その他有料サービス
これはいろいろある。水道管の冬季の水抜き、ストーブ用の薪の販売、別荘内の掃除や空気の入れ替え、敷地内の芝刈り、建物やデッキの修理や施工、浄化槽(設置している場合)の管理、敷地内の除雪等、あれば便利というものである。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

管理別荘地(1)

2008-08-20 15:31:58 | 八ヶ岳西麓の楽しい暮らし


我が山荘のある八ヶ岳中央高原三井の森しゃくなげの丘は、名前からしてわかるとおり、大手ディベロッパーの別荘分譲地である。標高1500m少しから1600m少しまでの森林を、木を残しながら造成し、盛り土、切り土、アスファルト舗装して水道と電気を引いて作り上げた、という感じの別荘地帯である。

分譲地は妙にきれいに整えてある。長野県側の八ヶ岳山麓の大型分譲地では、東麓も西麓も最低分譲面積の規制がある。ここは90年代前半の開発なので、1区画の最低面積が1000平米である。隣接した新しい分譲地のそれは1200平米である。都会で1000平米あるいは1200平米より大きな区画と言えば、お屋敷の土地だろうが、山の中ではたいして大きいとは感じはない。上下どちらの画像も山荘前を撮影したものだ。クルマはほとんど通らないのに、立派な2車線道路もついている。

土地の購入を検討するにあたり、こんな山の中まで来て、こうした人工的な分譲地に山荘を建てるのもなんだかなぁ、と考え込んでしまったものだ。私は出来ればもっと自然な里山というイメージの土地を買って、そこに山荘を建てたかったのだ。



それでも結局私がここに山荘を建てることを決めたのは、将来の予測不可能な変化を恐れたことが理由だと思う。管理別荘地である限り、厳しい規制がある。まず敷地を分割しての土地売買は不可能だ。建物を建てる前には株式会社三井の森の厳しいチェックがあり、建蔽率、容積率から始まって、高さ、外壁の色彩、道路あるいは敷地境界からの後退距離をチェックしてくれる。分離した複数棟建ても防いでくれる。変な建物が建つ可能性が著しく低いのである。いきなり隣の樹木が切り払われてカラオケ・スナックや産業廃棄物処理場が出来たりすることもない。

同じ長野県諏訪郡原村の下の方になんとも素敵な森があるが、そこに有名な漫画家が赤と白の太いストライプの外観で山荘を建てた。この漫画家は東京の自宅も同様な外観で建て、近隣の顰蹙をかって話題になった。彼は彼の山荘が、周囲のすばらしい景観から恩恵を受けられると考えたから、そこに山荘を建てたのであろう。周囲が雑居ビルなら彼はそこに山荘を建てなかったはずだ。同時にそうであるとすれば彼は、自分の山荘も周囲の景観の一部であり、周囲の景観に大きな影響を与える一要素であるという単純な事実に思い至らねばならない。法律的に処罰されないなら何でも好きなことをして良いとは、なんとも未成熟な考え方である。

日本では自分だけが「山荘にふさわしい環境を保とう」と思っていても無理である。景観鈍感後進国なので、この漫画家のような人がいるし、行政もあっさりそれを許してしまう。どんどん周囲が無秩序、アンバランスに開発されてしまう。そうしたわけで、私は管理別荘地に山荘を建てた。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする