敬震丹

　どういうわけか最近頭が痛くなることが多い。塾が始まる頃になると突然左のこめかみ辺りがズキズキ痛みだすので、「塾がやりたくないのかな・・」などと軽口を叩いているが、痛みの程度が少しばかりきついので、頭痛薬を飲むことも多い。しかし、塾の置き薬の中にある頭痛薬ではなかなか利き目が現れず、仕方なく我慢して授業を続けることになる。しかし、つい先日は我慢が出来ずに、何かもっと利く薬はどこかにないものか、と思い巡らしてみたところ、妻が少し前に買った頭痛薬があるのを思い出した。それは3月末に京都からの帰り道、高速道路を運転していたら頭が痛くなった時に飲んだ薬であり、妙に変な匂いのする薬ではあったが、その効果は覿面で、服用後しばらくしたら痛みがすっと収まったのを覚えている。「そうか、あの薬ならきっとこの頭痛も退治してくれるに違いない」、そう思って妻に持ってきてもらうように内線電話で頼んだ。


　「敬震丹」という薬だ。解熱鎮痛薬としての効能は、
１.頭痛、歯痛、抜歯後の疼痛、咽喉痛、耳痛、関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛肩こり痛、打撲痛、骨折痛、ねんざ痛、月経痛（生理痛）、外傷痛の鎮痛
２.悪寒・発熱時の解熱
と欲張りなほど多岐にわたっている。まさかそんなに効くはずがないと思ってしまうが、事実私の頭痛はこの薬を飲んだらピタッと収まってしまった。その効果は抜群で、こんなに効く薬を探しだした妻に感謝しなければならない。
　妻はかなりの薬マニアで、限られた薬局でしか売っていないような薬を見つけては、家に備蓄している。風邪薬だけでも何種類かあって、いったいどれが本当に効くのか選ぶときに迷ってしまうほどだ。この「敬震丹」も、いつも映画を見に行くシネコンに併設したショッピングセンターの中にある薬局で見つけたもので、レトロな包み紙に惹かれて買ったのがきっかけのようだ。確かに昔から飲み続けられてきた生薬、といった雰囲気のある包み紙だが、この薬を発売している富山の「丸三製薬」には、同じようなレトロな包み紙の薬が他にもあって、見ているだけでも楽しい。

　　　　　　　
　左はかぜ薬の「だるま　ハイトン」、効能は、かぜの症状（鼻水、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛み、悪寒、発熱、頭痛、関節の痛み）の緩和 。右は、胃腸鎮痛鎖痙薬「越中富山　反魂丹」で、胃痛、腹痛、さしこみ（疝痛、癪）、胃酸過多、胸やけなどに効くのだそうだ。これら２つの薬は服用したことがなので、どれだけ効き目があるのかは何とも言えないが、昔ながらの包み紙だと、「敬震丹」と同様に効き目が高いのではないかと思ってしまうから不思議だ・・。

　私には頭痛薬を飲みすぎると体に良くないという思い込みがあって、できる限り我慢するようにしてきたのだが、この頃では、そんなやせ我慢をする方が精神的によくないと思い始めたので、きちんと時間を空けながらも、細かなことは気にしないで薬の世話になるように心がけている。
　でも、薬を飲んで楽になるのは一時のことで、その効能が切れるとまた痛みがぶり返してくるのは何故だろう。本当はそのあたりの原因を確かめておく必要があるのだろうが、病院に行くことなどとてもできない。何か悪いところが見つかったら、と思うととても足が向かないのだ。困ったものだ・・。