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見もの・読みもの日記

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2025年3月関西:大阪市立美術館、大和文華館

2025-03-16 23:49:11 | 行ったもの(美術館・見仏)

大阪市立美術館 リニューアルオープン記念特別展『What’s New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開!!』( 2025年3月1日~3月30日)

 2022年春の『華風到来』展から、2年半に及ぶ休館期間を経て、リニューアルオープンを記念する特別展。施設の印象は既に書いたので、本稿は展覧会そのものについて書く。会場は1階に2つ、2階に2つ。各会場がさらに複数の展示室の連なりになっており、考古から近代絵画まで、幅広い分野の作品約250件を一堂に展観する。ボリュームとクオリティは、国立博物館の常設展示並みかそれ以上だと思う。

 第1会場は近世の風俗画から。田万コレクションの『洛中洛外図屏風』(江戸時代17世紀)、こんなのも持っていたんだっけと驚く。そのほかにも『寛文美人図』『舞妓図』『扇屋軒先図屏風』など。江戸初期の風俗図が好きなので嬉しい。今年の大河ドラマで名前を覚えた磯田湖龍斎の『秋野美人図』にも目が留まった。

 次いで日中の金工品→日中朝鮮の考古コレクション。古代中国の銅製の小物(水滴や文鎮)の造型があやしげで楽しい。このへんで、ときどき展示キャプションに「珍品」「名品」のマークが入っていることに気づく。次いで仏教絵画と経典。

 第2会場は、同館コレクションの粋(と私が考える)中国の仏像から。冒頭の石造如来坐像に「はつらつと弾力のある肉体を堪能ください」というキャプションが付いていて、ちょっと笑ってしまったのだが、その後も北斉の如来坐像頭部に「波のようにうねる唇がセクシー」とか、唐代の如来像頭部に「切れ長の目のほとけさまはお好きですか?」などとあって、学芸員さんの仏像愛を感じてしまった。一番好きだったのは西魏の石造四面像に加えられていた「両手を挙げて悲しむ女性の癖が強すぎます」というやつで、こんな作品。

 それから酒器(漆工)、拓本が続いた。日本民藝館のコレクションで親しんでいる『開通褒斜道刻石』の拓本は同館にもあるのだな。

 第3会場は中国絵画から。鄭思肖『墨蘭図』(元時代)は根を描かないことで、異民族支配に抵抗する姿勢を示したというが、乾隆帝はじめ清朝皇帝の鑑賞印がたくさん押されていた。かなり大きめの普通の風景画『彩筆山水図』に朱耷(八大山人)の名前があったのにはびっくりした。そして奥まった別室には、見上げるような巨幅の謝時臣『湖堤春暁図』『巫峡雲濤図』が掛けてあり、キャプションに「ようやく展示できた~」とあって微笑ましかった。改修で新造された展示スペースだとしたら、おめでとうございます。次いで、陶磁器、近世絵画。

 第4会場は住友コレクションの近代絵画、富本憲吉と近現代のうつわ、大阪の洋画。最後に「広報大使就任記念」の『青銅鍍金銀 羽人』が展示されていたけれど、ポツンとひとりぼっちで少し寂しそうだった。同時代の仲間と一緒に置いてあげればいいのに。

■大和文華館 『春の訪れ-梅と桜-』(2025年3月1日~4月6日)

 もう1ヶ所寄っていきたかったので、奈良の学園前に出た。本展は、春の代表的な花である梅と桜を表した絵画や工芸を展示する。同館の庭園では、色鮮やかな梅が盛りを迎えていたが、三春桜はまだつぼみも見えなかった。

 展示品は梅と桜が半分ずつかと思ったら、梅が四分の三くらいを占めていた。美術品(特に工芸品)には梅のほうが取り入れやすいのかもしれない。気に入ったのは『五彩飛馬文碗』(清前期)。全体に青色の釉薬を掛け、黄色と水色の馬が波の上(?)を走っている。舞い散る梅の花も、白、黄、水色などで表現される。本展のポスターにも使われている『青花梅文皿』(天啓年製)は、古染付らしい、ゆるゆるの雰囲気が大変よい。『織部梅文香合』は、藍色の下に着色が覗く不思議な色合い。梅といえば紅白という先入観を完全に裏切られて、おもしろかった。


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