見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

本人は語る/本人伝説(南伸坊)

2012-09-28 22:23:37 | 読んだもの(書籍)
○南伸坊『本人伝説』 文藝春秋 2012.9

 またくだらない(※いい意味で)本を出して…と思って、立ち読みで済ませようと思ったのだが、あんまり面白かったので、買ってしまった。しかし通勤電車の中で開く勇気がなくて、本当に困った。南伸坊さんは、徹底して本人になりすました顔マネ写真を撮ることを「本人術」と呼んで、楽しんでいる。その極意は「顔をキャンバスに似顔絵を描く」ことであるそうだ。

 なかには無茶しすぎの作品もあるが、撮影の角度、距離の工夫だけで、こんなふうに印象が変わるものか、と感心する。麻生太郎の輪郭にも石破茂の輪郭にもなれるってすごい。でも鳩山由紀夫より幸夫人のほうが似てるけど…。

 話題になった俳優やスポーツ選手もきちんと入っているのだが、私には、政治家や思想家の印象のほうが強かった。吉本隆明、鶴見俊輔、姜尚中あたりは、かなりツボ。毒とくすぐりが、程よく効いている。本書は、モデルごとに、なりすまし写真+なりすましエッセイで構成されており、以前、たぶん著者が初めて「本人術」の本を出したときは、写真に惹かれて買ってしまったものの、エッセイは、さほど面白くなかった記憶がある。今回は、ずいぶん文章で笑わせてもらった。

 ガイジンさんも、そこそこ混じっているのだが、翻訳書や動画の字幕では、あんな喋り方をしているんだろうか。ステーブ・ジョブズとか。


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