〇深川江戸資料館(江東区白河)
門前仲町の住民になって8年目、ようやくご近所・深川江戸資料館を見てきた(コロナ禍でなかなか機会がなかったのだ)。こじんまりした施設ではあるけれど、天保年間頃の深川佐賀町の町並みの「情景再現、生活再現展示」が見どころである。
私が展示場に入ったときは夜の設定で、夜空に月が浮かんでいた。舂米屋の土蔵の隣り、長屋の屋根でぶち猫が眠っている。その下は三味線のお師匠さんの住まいという設定。
八百屋の店先。青物だけでなく、卵やコンニャクも商う。
棒手振りの住まい。深川らしく、桶の中には貝がゴロゴロ。私は子供の頃、夏休みになると、深川森下町の従兄弟の家(母親の実家)に泊まりにいくのが楽しみだったが、昭和40年代でも、朝早くアサリ売りが町を歩いていた。寝床で聞いた「ア~サリ~シ~ジミ~」という売り声を覚えている。
蕎麦屋の屋台。稲荷寿司や天ぷらの屋台もあった。必要な食品・調理道具・食器などを効率よく収納できる構造になっていて、おもしろい。
川岸の杭には、都鳥ことユリカモメ。赤い嘴と赤い脚が特徴である。
狭いエリアに、船宿、火の見櫓、稲荷、共同井戸と便所など、見どころをうまくまとめていると思ったが、解説パネルを読んだら、実際に深川佐賀町(隅田川東岸、永代橋の北側)の絵図に基づいて再現されているのだそうだ。
なお、同館は昭和61年(1986)開館とのこと。私は、昭和の終わりか平成のはじめに、三谷一馬氏の『江戸物売図絵』の展覧会を見に来たことがあり、展覧会も楽しかったが、この街並み展示も面白かったことを強く記憶している。30年ぶりに再訪できてうれしかった。次は何かイベントの時に来てみよう。
1階には、江東区名誉区民でもある横綱大鵬を顕彰するコーナーがあった。私は大鵬を覚えている世代だが、それよりもこのひとは樺太(サハリン)の敷香町(ボロナイスク)の生まれで、現地の郷土博物館に関連展示があったことを思い出し、その距離感をしみじみ味わった。