見もの・読みもの日記

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2024年3月関西旅行:醍醐寺から山科散歩

2024-04-01 22:47:44 | 行ったもの(美術館・見仏)

醍醐寺(伏見区醍醐)

 3月最後の週末に金曜有休をプラスして、関西へ2泊3日の花見旅行に行ってきた。当初の計画では、東京の開花を見届けてから関西へ赴くはずだったが、今年のサクラは全くの予想外れ。関西方面もあまり期待はできないかなあと思いつつ、京都へ向かった。

 JR山科駅から醍醐寺へ。拝観料は三宝院(庭園)・霊宝館・伽藍の3点セットで1500円。これは2018年と同じだった。まず露店の並んだ参道(桜馬場)の奥の伽藍に向かう。朱塗りの仁王門の前には、満開ではないが、ほどほどに花の開いた紅枝垂れ桜。よかった!仁王門を潜ると桜園なのだが、ここはまだ咲いていない。五重塔を見上げ、金堂、不動堂などに参拝し、納経所である観音堂に立ち寄る。観音堂の先にある大きな池のまわりには、色味の異なる数種類のサクラが重なり合って咲いていた。

 納経所のシステムが、ちょっと以前とは変わっていて、まず申込用紙にどのご朱印がほしいかを記入し、売店で料金を支払い、用紙に「支払済」のハンコを貰う。それを納経受付のブースに持っていくと、ご朱印をいただけるのである。ご朱印(墨書)を書くのは一種の専門技能なので、代金の受け渡しなどは他の人に任せて、書くことだけに専念してもらうほうが効率的だろう。加えて、売店では支払いにバーコード決済も導入されていた。paypay払いでご朱印をいただく初めての体験をした。

 次に霊宝館へ。白壁の施設を囲む桜は、平均的には五分咲きというところだったが、十分楽しめた。霊宝館には「仏像棟」と名づけられた別館がある。醍醐寺には数組の五大明王像が伝わっているが、ここに安置されている重文五大明王像が私は一番好きだ。「大威徳」の名前に全くふさわしくない牛さんに再会できて嬉しかった。

 最後に三宝院へ。2018年の記録では、書院の途中まで通常の拝観券で入れたが、今年は庭園と売店エリアだけになっていた。しかし快慶の弥勒菩薩に会わずに帰るわけにはいかないので特別拝観500円を支払う。書院の建築美や新旧の襖絵、庭園美などを楽しみながら進み、風の通る質素な本堂(弥勒堂)に祀られた金色の弥勒菩薩を遠目に拝した。もし自分の持仏堂があったら、弥勒仏を安置したいなあ…と思った。現世利益とつながらないところが慕わしい。

随心院(山科区小野御霊町)

 醍醐寺から15分ほど歩いて随心院へ。小野小町ゆかりの寺院で、むかし一度来たことがありそうな気がするのだが、ほとんど記憶がなく、行ってみたら意外と大きな伽藍でびっくりした。真言宗十八本山の1つだった。

勧修寺(山科区勧修寺に仁王堂町)

 再び15分ほど歩いて、山科川を渡り勧修寺へ。白い築地塀に囲まれた参道を歩き、大きな山門を入る。拝観できるのは庭園のみ。広々した池泉庭園で、水辺の木の上にはサギがコロニーをつくっていた。本堂や書院の中は特別公開のときでないと見られないようだ。勧修寺といえば、藤原高藤が狩りの途中で一夜の宿をかりた宮道弥益の邸宅跡で、このとき高藤に見初められた宮道弥益の娘が身ごもり、生まれた女子が宇多天皇に入内したことで藤原家の繁栄が始まる。『今昔物語』で読んだ説話を思い出して、往時を偲んだ。

毘沙門堂門跡(山科区安朱稲荷山町)

 地下鉄小野駅から山科駅に戻り、駅北口から歩き始める。「山科の毘沙門堂」は、たぶん紅葉の名所として聞いたことはあるのだが、訪ねるのは初めてかもしれない。手作りの案内板に従って進むと、やがて激しい水の音が聞こえてきた。琵琶湖疎水(山科疎水)や山科川の支流である安祥寺川が縦横に流れている。雑木林と住宅に挟まれたケモノ道のような細道を通って、毘沙門堂に到着した。ここは文武天皇の勅願により開かれた天台宗の寺院。狩野派の襖絵を多数見せていただいた。

 帰りはケモノ道を避けて、広い参道を下る。ちょうど琵琶湖疎水を観光船が京都・蹴上へ下っていった。私は2022年にこの疎水クルーズを体験しており、桜と菜の花の取り合わせが美しかったことを覚えている。この日はまだ桜はなくて、黄色い菜の花だけが華やかだった。

 初日は大津泊。


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