見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

孫文と梅屋庄吉+博物館できもだめし、そのほか(東博)

2011-08-07 22:37:43 | 行ったもの(美術館・見仏)
東京国立博物館 本館・特別5室 特別展『孫文と梅屋庄吉 100年前の中国と日本』(2011年7月26日~9月4日)

 革命家・孫文(1866-1925)と親密な交わりを持ち、物心両面で支援した貿易商、実業家の梅屋庄吉(1868-1934)。彼らに関わった人々やゆかりの地を、当時の資料(主に写真)によって紹介する。

 企画趣旨の「中核となるのは、梅屋庄吉の曾孫にあたる小坂文乃氏の手元で大切に保管されてきたアルバム及び関連遺品」まで読んで、期待して見に行った。そうしたら、冒頭にあったのは、1901年(光緒27/明治34年)伊東忠太がおこなった北京紫禁城調査の写真(撮影・小川一眞)の一群だった。これ、何度も(写真美術館でも東博でも)見てるのに~、と思う。それから、梅屋庄吉旧蔵アルバムがちょっとだけあって、また長崎大学や東博所蔵の古写真群になるのだが、長崎港とか横浜居留地とか、あんまり珍しいものがない。

 後半の『亜東印画輯』収録の中国写真は、「東京帝室博物館」の分類カードに、100~150字ほどの解説(『亜東印画輯』の切り抜きらしい)と一緒に貼り付けるという、整理保存の姿のまま、展示されていて、ちょっと興味深かった。写真集『亜東印画輯』について、詳しくはこちら。写真の解説を、どんな人たちが書いていたのか、気になる。

 しかし、これらをまとめて「誰モ見テイナイ写真」というのは宣伝に偽りありだし、一般800円とはいえ、特別展のスタンプ1回分にカウントするのは、正直、ぼったくりだと思う。特集陳列で、いいんじゃない?

■本館・14室 特集陳列『運慶とその周辺の仏像』(2011年7月12日~2011年10月2日)

 2008年の特集陳列『二体の大日如来像と運慶様(うんけいよう)の彫刻』以来、久しぶりに(かな?)東京・真如苑蔵の大日如来坐像と、栃木・光得寺蔵の大日如来坐像が揃った。まわりは十二神将像。11人しかいない!?と思ったが、よく見たら、神奈川・曹源寺蔵が6体、伝浄瑠璃時伝来が5体だった。静岡・願生寺蔵の阿弥陀如来坐像は記憶になくて、おや新顔?と思ったが、調べたら、2008年にも展示されていた。端正で、力強くて、なかなかよいと思う。1089ブログに写真あり。

■本館・特別2室 親と子のギャラリー『博物館できもだめし-妖怪、化け物 大集合-』(2011年7月20日~8月28日)

 私は妖怪大好きなので、この企画はうれしい。展示品は、怪談本、浮世絵、面、根付などで、さほど目新しいものはなかったが、会場の装飾やパネルのつくりかたに、いろいろ工夫があって、おもしろかった。

入口で待ち構える「五輪塔の妖怪」。ちなみにGoogleで画像検索すると、出てくる。



著名人も多数出演。個人的には、この柳田国男翁が好きだ。



展示室の床にあやしい顔? こういうときは、真上に視線を移すのが、お約束。
振り仰ぐと、そこには…。



あとで、帰ってきてから知ったが、東博のスタッフブログ(1089ブログ)の記事『親と子のギャラリー「博物館できもだめし」 開催中です!」』でも、この「床の顔」に注意を促している。でも、会場で見ていると、気にする人は少ない(ほとんどいない)。

開催中の『空海と密教美術』でも、天井を使った演出がされてなかったっけ?(奈良博の記憶と、混ざっているかな?) いずれにしても、最近の博物館は、広い空間を自由に使った演出を、いろいろ試しているのに、観客の視線が、なかなか展示ケースから離れられないのは、残念に思う。

追伸。帰ろうとしたら、雷鳴を伴うゲリラ豪雨で、しばらく足止め。本館の車寄せで、大勢の人が呆然と雨やどりをしている図が、羅生門みたいだった。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする