見もの・読みもの日記

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安徽・湖北・西安2011【3日日】毫州→合肥

2011-08-13 23:57:08 | ■中国・台湾旅行
■合肥:安徽省博物館~包公祠~明教寺~李鴻章享堂~李府(李鴻章旧居)

 専用車で毫州から合肥へ。安徽省博物館は、中国の省級博物館としては、小じんまりして地味。近代女流画家の作品展示にスペースを割いていて、めずらしいと思ったら、潘玉良(1899-1977)って、ドラマ『画魂』の女主人公のことか!

 昼食後は、包公祠。清廉潔白な官吏の代表とされる包公こと、包拯(ほうじょう、999-1062)も、中国のTVドラマ『包青天』で覚えた名前である。

 繁華街にある明教寺は、石積みの舞台の上に築かれており、曹操が弩(いしゆみ)訓練の為に築いた教弩台(きょうどだい)であると言われている。いまは若者の行き交う歩行者天国を見下ろしている。



 しばらく歩行者天国を散策した後、やや郊外にある李鴻章享堂(墓苑)に向かう。ガイドの小黄(シャオホワン)君が「李鴻章というのは清代の政治家です」と、真顔で間の抜けた解説をする。え? おめー日本人に対して、その解説で終わりかよ? 日本語が巧くないので、それ以上の説明ができないのか、そもそも歴史を知らないのか、判別ができない。

 李鴻章といえば、日清戦争の講和条約である下関条約で、清国の欽差大臣として(清国にとって)屈辱の調印を行った人物である。中国の近代史を語るには欠かせない大政治家で、小説『蒼穹の昴』にも登場するし、ドラマ『坂の上の雲』第一部にもちらっと出てきた。私は、中国のTVドラマ『走向共和』を見て以来の李鴻章ファンなので、今回のツアーでいちばん楽しみにしていたのが、実は、ここなのだ。

 私の李鴻章好きを知っている友人が、はじめは予定に入っていなかったここを、わざわざ日程に入れてくれたので、「ありがとう! でも李中堂閣下は、日本人が来ることを喜ばないかもしれないけど」なんて、冗談めかして笑っていた。

 そうしたら、現地に近づくにつれ、笑いごとではなくなってきた。わずか15分ほどの間に、一天にわかに掻き曇って、雷鳴が轟き、大粒の雨が落ちてきたのである。やがて車は停まったが、享堂とおぼしき門の前は、工事現場のごとく、大きく土が掘り崩され、全く人の気配がない。改修中? ローカルガイドの女の子が、どこかに携帯電話をかけながら、車を下りて様子を見に行ったが、叩きつけるような雨足に、慌てて戻ってきた。「スミマセン。李鴻章享堂は閉まっています」と小黄(シャオホワン)。なんだと~。

 まあ中国では「よくあること」なんだが、せめて車を下りて写真を撮りたくても、横なぐりの雨が強すぎて、車の窓も開けられない状態。李鴻章閣下の、日本人に対する恨みは、かくも深いか…と慨嘆するばかり。下関で暴漢に狙撃されたときに着ていた、血染めの衣服とかも展示されているらしいんだけどな。



 合肥のローカルガイドさんの提案で、さっきの明教寺のあった繁華街に、もうひとつ李鴻章ゆかりの展示施設があるというので、そこに向かう。再び車で15分ほど走って、到着したときには、すでに雨が上がっていた。



 何だったんだ、あの一瞬の豪雨は…。

 歩行者天国に面した李府(李鴻章旧居)には、豊かな中国を満喫する若者の姿が絶えない。これはこれで李鴻章の魂を喜ばせているのではないかと思った。でも、お墓参りしたかったな。

(8/24記)
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