見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

GWの特集陳列いくつか/東京国立博物館

2006-05-05 10:12:12 | 行ったもの(美術館・見仏)
 閉幕を間近に控えた『最澄と天台の国宝』はすごい人気である。まあ、その価値はあるものな。おかげで本館も、ずいぶん人が多かった。なんだか、日本の博物館でないみたいな。

http://www.tnm.jp/

■本館・歴史資料室 『上野公園の130年』

 おなじみ「日本の博物学シリーズ」の最新展示。今年は、明治9年(1876)に上野公園の開園式が執り行われてから、130周年に当たる。そこで、開園前から今日に至る、上野公園の沿革に関わる資料を展示。今年1月の特集陳列『博物館誕生』が、ちょっと物足りなかったのに比べると、今回は頑張っている。

 「展示作品一覧へ」をクリックすると、リストに『砲丸』(台東区上野公園にて採集)とあって、何のことかと思うが、実は彰義隊と官軍による寛永寺の戦いの際、立木にめりこんだ砲丸を、そのまま採集(!)したものである。このほか、大正12年(1923)の大震災後、公園内に建てられた『バラック配置図』(診療所、託児所などが設けられた)、同年の年末には罹災者慰安のため、博物館が無料開放されたことを示す書類などがあって興味深い。

 地図や錦絵が多いことも、目を楽しませてくれる。個人的に、かなりびっくりしたのは、明治時代、不忍池のまわりが競馬場だったことだ。迫真の錦絵が展示されている。

■本館特別1室・特別2室 『新指定国宝・重要文化財』

 今年、国宝・重要文化財に指定される美術工芸品から、国宝2件、重要文化財40件を展示するもの。美しいなあ、と思ったのは『春日龍珠箱』(南北朝時代)。内箱・外箱から成り、神仏の絵が描かれている。和様だけど、どこかエキゾチックな趣きがあり、沈んだ色彩なのに、ほのかに官能的である。

 幕末の銀板写真というのは初めて見た。ただし、蓋を開けて展示されているのは2点だけ。もう、開けても肉眼では像を確認できないものもあるそうだ。お雇い外国人ジョサイア・コンドルの建築図面も重要文化財である。もちろん歴史的にも芸術的にも、その価値あり。文化財に制作者の国籍は関係ない、というのは正しいと思う。でも、なぜか東大ではなく、京大の所蔵だった。

■本館2階「屏風と襖絵」 尾形光琳筆『風神雷神図屏風』

 光琳の『風神雷神』は久しぶりである。私は宗達作品のほうが好きなので、こっちは、少しないがしろにしているが、これは好みの問題だろう。光琳のほうが名品だという記述も読んだことがある。風神の緑と赤が金地に映えるあたり、たっぷりと豊かで、平和的で、ああ、いかにも光琳の色づかいだなあ、と思う。この感じは、やはり本物でないと味わうことができない。常設展示の一部なので、東博のサイト(前掲)でも大きな宣伝はしていないが、展示は今月下旬まで。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする